ツヤツヤの髪を目指してヘアオイルを毎日使っていますが、なかなか結果が出ません。なぜなのか気になり、美容師で美髪ケアを追求する三谷遥さんにその理由を尋ねてみると、「ヘアオイルの選び方や使い方にもコツがあります」とのことです。その方法について、教えてもらいました。

ヘアオイルには「植物性」「動物性」「鉱物性」の3種がある

三谷さんはまず、ヘアオイルの働きと種類についてこう話します。

「ヘアオイルは髪をオイルの膜でコーティングして表面を整え、種類によっては内部の補修をします。具体的には、髪をまとめる、うねりを抑える、静電気や紫外線、熱、摩擦によるダメージの進行を抑える、保湿する、ツヤを与えるなどの役割があります。

ヘアオイルは大きくわけて3種類あります。主に、『植物性オイル』『動物性オイル』『鉱物性オイル』です」

次に、その3種類の特徴を次のように挙げます。

・植物性オイル…椿オイル、オリーブオイル、ホホバオイル、アルガンオイル、ローズヒップオイルなど、天然成分を原料としています。素材になじみがあり、ほかの種類に比べてさっぱりした使用感なので、ヘアオイルビギナーは使いやすいでしょう。

内部のダメージを補修し、適切に使用することで髪質の改善が期待できます。また、刺激が少ないため、敏感肌で悩む人にも向きます。髪のほか、顔、手、体にも使用できるタイプも市販されていて利便性にも富みます。

・動物性オイル…ハンドクリームやスキンクリームで知られる、馬油、スクワランオイルなど、昔から使われてきたタイプです。原料は生き物から採ったオイルで、植物性オイルに比べるとしっとりと重めの質感が特徴的です。保湿に優れていて、つややかに仕上がりやすいでしょう。髪のパサパサ感や乾燥が気になるときに向き、スタイリング剤としても使いやすいでしょう。

・鉱物性オイル…ベビーオイル、ワセリン、シリコンなどで、原料は石油などから抽出、加工した純度の高い鉱物油に由来します。パーマやカラーを頻繁にする人、髪のダメージが気になる人に向きます。シリコンを配合して毛髪の表面をコーティングするタイプが主で、髪をなめらかにし、指どおりを良くします。

「それぞれの特徴を理解して、自分の髪質に合ったタイプを選ぶ、また、ダメージの状態や、ツヤを出したい、まとまりよくしたいなどの悩みや目的に応じて使い分けるとよいでしょう」(三谷さん)

濡れた髪の毛先から中間に数滴つけるのがコツ

では、へアオイルのそうした働きを発揮するためには、どう使えばいいのでしょうか。

「重要なポイントは、入浴後など、濡れた髪に使用することです。髪は水分に触れると、表面を覆うウロコ状のキューティクルが開きます。そのときにヘアオイルを塗ると、そこから成分が吸収されて内部の補修や保湿、コーティングができるわけです。

スタイリング剤としても働くので、まとまりよくしたいときや、仕上げにつやをアップしたいときなどには適量をドライヘアにも使用するといいでしょう。

次に順を追ってポイントを紹介しますので、まずは10日〜2週間ほど継続して、髪の様子を確認してください」と三谷さん。

(1)先にタオルドライをする
濡れた髪に使用します。洗髪後、まずは髪の水分を落とすために手でギュッとしぼります。次に、毛先をタオルではさんで水分を吸収させるように、軽く手のひらでポンポンとたたきましょう。さらに頭部をタオルでくるみ、手のひらや指先でポンポンと押さえて数分間、水分をタオルに吸収させます。

このとき、タオルで髪をごしごしこすると、髪同士やタオルとの摩擦でキューティクルがはがれやいすので注意してください。

 

(2)オイルは毛先から中間につける
ヘアオイルのパッケージの説明どおりに、適量を手のひらに取ります。おおよそ、ショートヘアは1〜2滴、セミロングは2〜3滴、ロングは3〜4滴が適量です。

オイルを両方の手のひらの体温で温めながら指先まで伸ばして、毛先から毛髪の中間部分まで、髪に浸透させるイメージでつけていきます。ただし、根元から2〜3センチまでの毛髪は健康な状態なので、つける必要はありません。また、頭皮にオイルをつけるとべたつくので避けましょう。

 

(3)まず目があらいブラシで髪をとく 
髪全体を整えるために、目があらいブラシで髪をときます。

(4)次に細かい目のブラシでとく
毛髪全体に、均等にオイルの成分が行き渡るように、クシやコームタイプの細かい目のブラシでときます。

(5)ドライヤー後、仕上げに数滴つける
ダメージが気になる、パサパサしているとき、ドライヤーで髪を乾かしてから、毛先や、乾燥が気になる部分に1〜2滴オイルをつけます。ツヤや保湿をキープしやすいでしょう。つけ過ぎると、髪がべしゃっとなってボリュームがダウンする、べたつくなどデメリットもあるので、量は少なめにとどめましょう。

さらに三谷さんは、結果が出ないときや、ヘアオイルを使うタイミングについて、こうアドバイスを加えます。

「ヘアオイルを使ってもあまり効果がないと思うときは、選んだオイルが自分の髪質や目的に適しているかどうか、またコツを得て使っているかどうかを確認しましょう。ほかに原因があるかもしれないので、美容院で相談するとよいでしょう。

また、ヘアオイルは洗髪後だけでなく、朝のスタイリング時、ダメージが気になるとき、保湿をしたいときにも使用するとよいでしょう」

聞き手によるまとめ

こうして教えてもらうと、これまでは適当にちょちょっとつけていただけだったと気づきました。さっそくこれらのコツを実践してみたところ、3日ほどで、仕上げ後と、翌日の髪の指どおりが良くなったことを実感しました。そして10日も継続すると、ついにツヤが出てきたように思います。髪質や悩みに合わせて選んだヘアオイルを、ていねいに使いこなすことでツヤ髪になれるのかもしれません。試してみてください。

(構成・取材・文 藤原 椋/ユンブル)