Googleのメールサービス「Gmail」がアメリカ共和党のキャンペーンメールを不当に高い割合で「スパム」と認定しているとの調査結果を受け、共和党議員らが企業のメールフィルタリングサービスに透明性を要求できるようにする法案を提出しました。このことを受け、Googleが特定の政治組織から発信されたメールをスパムと認定しない特例措置を設けたと、ニュースサイトのAxiosが報じました。

Scoop: Google moves to keep campaign messages out of spam

https://www.axios.com/2022/06/27/google-campaign-email-spam-gmail

Google spam proposal sparks partisan backlash in Washington - The Verge

https://www.theverge.com/2022/6/28/23186742/google-spam-proposal-republicans-democrats-campaign-fundraising

ノースカロライナ州立大学が行った(PDFファイル)調査によると、Gmailが特定のメールをスパムとして認定するフィルタリングアルゴリズムは共和党に厳しく、共和党のメールは民主党のメールよりもスパムとして認定される確率が50%以上高いとのこと。反面、競合他社であるYahooやOutlookでは、民主党のメールがスパムとして認定される確率は共和党のメールよりもそれぞれ14%と20%高いことが判明していました。

この調査結果を受けて、共和党のデビー・レスコ議員らは2022年6月16日に(PDFファイル)Political Bias in Algorithm Sorting (BIAS) Emails Act(政治的バイアス電子メール法案)を提出。ビッグ・テックがアルゴリズムを使用してメールをフィルタリングすることは検閲の一種であるとし、ユーザーが自らメールをスパムと認定しない限り、メールサービスが政治キャンペーンまたはキャンペーン委員会からのメールをフィルタリングすることを禁止しようとしています。



Axiosによると、非難の的となったGoogleは、政党委員会や政治行動委員会などの連邦選挙委員会に登録された組織からのメールへのフィルタリングをやめ、Googleの各種ポリシーに違反しない限り、スパム検出システムから除外することができる特例措置を考案。連邦選挙委員会に提出し、承認を求めているとのこと。

この措置が承認されれば特定の政治組織からのメールがスパムとして認定されることはなくなり、ユーザーが初めてこれらのメールを受信すると目立つような通知が表示され、メールを継続して受信するか、以後フィルタリングするかを選択できるようになるとのことです。

Googleは広報担当者を通じて「迷惑メールを最小限に抑えるなどの対策を行い、すべてのユーザーに素晴らしい体験を提供したいと考えていますが、政治的派閥に基づくメールのフィルタリングは行っていません。最近、我々は政治家からのメール受信率を向上させ、メール配信の透明性を高める可能性があるパイロットプログラムを認可するよう要請しました。可能な限り最高のGmail体験を提供する新しい方法を模索することを楽しみにしています」と述べました。

前述の法案導入に携わった共和党のケビン・マッカーシー議員はAxiosの報道を受け、「Googleはついに政治的メールをフィルタリングする偏ったアルゴリズムを変更する動きを見せました。ビッグ・テックは自らが悪であることを証明しました。反撃する時間です」とツイートしました。





海外メディアのThe Vergeは、元アメリカ大統領のドナルド・トランプ氏が誤解を招きかねない件名や送信者で大量のメールを支持者に送信していた事例を紹介。民主党全国委員会の副コミュニケーションディレクターであるダニエル・ウェッセル氏が「単にスパムメールの送信を止めるのではなく、共和党が悪意のある圧力キャンペーンを行ったことは悲しいことであり、Googleがそれに屈したことはさらに残念なことです」と述べたことを伝えました。