25日、東京地裁に入る岡本文人被告(撮影:吉川忠行)

証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)の罪に問われているライブドア(LD)元幹部4人の公判が25日、東京地裁(小坂敏幸裁判長)で開かれた。企業買収に絡む自社株の売り上げ計上について、金融子会社ライブドアファイナンス(LDF)元社長、中村長也被告(38)は被告人質問で、「問題ないと考えていた」と証言した。

 中村被告は当初、株式交換を予定していた携帯電話販売のクラサワコミュニケーションズ買収について、クラサワ側が現金を要求したため、元エイチ・エス証券副社長の野口英昭さん(死亡当時38)に相談。ファンドを介在して「(自社株売却益を還流させる)スキームを提示された」と明らかにした。

 ファンドの分配金を売り上げ計上したことについて、小坂裁判長は「分配金にLD株の売却益以外が入ってくることはあったのか。本来、資本勘定にしか入れちゃいけないことは、公認会計士の勉強をしていたら『いろはの“い”』の問題でしょ」と質問。大学時代に公認会計士を目指していたという中村被告は、野口氏を信用していたため疑わなかったと証言する一方、弁護側が「分配金の原資が何なのかを考えて会計処理をしなければいけないのか」と助け舟を出す場面もあった。

 また、LD元取締役でライブドアマーケティング(LDM、元バリュークリックジャパン)元社長、岡本文人被告(38)も証言台に立った。出版社「マネーライフ」の買収に関して、LDMとの事業シナジー(相乗効果)を見込んでいたと強調したが、買収額は第3者機関が算出したとする点は虚偽で、両社が協議して決めたことを認めた。自社株の売り上げ計上については、逮捕後に検察官から指摘されて初めて違法性を認識したといい、「本当ですか、と何度も聞いた」と述べた。【了】

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