フィアット500e試乗記・評価 ビリビリ痺れる魅力満載

写真拡大 (全13枚)


日本でも大ヒットしたフィアット500


 

ファンから「チンク」の愛称で親しまれているコンパクトカーが、フィアット500だ。チンクエチェントはイタリア語で500を意味している。

戦前に誕生して大ヒットしたフィアットを代表するコンパクトカーだが、1957年に登場したヌォーヴァ(新型)500こそが今につながるフィアット500のルーツと言えるだろう。

ヌォーヴァ500は、誕生から50年を迎えた2007年春、駆動方式をフロントエンジンに変え、愛らしいデザインで登場した。第3世代のフィアット500は、2008年春に日本に上陸。幅広い層のファンの獲得に成功する。

 

 

ひと目でフィアット500と分かるスタイルをもったEVが500e


 

この3代目の好イメージを引き継ぎながら、エンジンに換えてモーターと電池を搭載したバッテリー式の電気自動車(BEV)、それが新型フィアット500eだ。

ヨーロッパでは、2021年に発売されていたが、ついに日本のファンの前にも姿を現した。すべて新設計だが、エクステリアは誰が見てもフィアット500と分かる明快なデザインで上手にまとめている。チンクマニアでなければ、ガソリン車と同じに見えてしまうだろう。

だが、5ナンバー枠を死守しながら、ボディはひと回り大きくなった。全長と全幅は60弌▲曠ぁ璽襯戞璽垢20弌∩換發15丱汽ぅ坤▲奪廚気譴討い襦

よく見るとヘッドライトまわりのデザインは違うし、フロント中央のエンブレムは見慣れたFIATマークではなく「500」のロゴだ。リアコンビネーションランプや、バンパーなどのデザインも微妙に異なっている。

日本で発売されるのは、粋なカブリオレの「オープン」、充実装備の「アイコン」、そしてベーシックな「ポップ」の3グレードだ。

 

 

パワーは控えめだが・・・


 

フィアット500eはホンダeと同じように、街中ベストを狙ったBEVである。前輪を駆動するモーターは、最高出力118ps(87kW)/4000rpm、最大トルク220N・m(22.4kg-m/2000rpm)のスペックだ。

車両重量は1330kgだから、パワーウエイトレシオは11.3kg/psになる。リーフやホンダeと比べると高性能じゃないし、控えめな数値だ。

だが、馴染みやすいノーマルモードでは、ガソリン車以上に軽快な加速を見せた。発進直後の瞬発力は今一歩だが、そこから先はシームレスで滑らかな加速フィールだ。

内燃機関と違いモーターはダイレクト感が強く、アクセルを踏み込むと瞬時にパワーとトルクが盛り上がる。だから、非力と感じないのである。

ホンダeのようにスポーツモードはないが、それに近いフィーリングなのが回生ブレーキの利きを強くしたレンジモードだ。ワンペダル制御になっており、アクセルを緩めると回生ブレーキが強く利き、停止まで持っていくことができる。慣れてしまえば、このモードは便利だ。速い流れをリードすることも難しくない。

 

航続距離335劼防塰はない


 

走行モードのひとつ「シェルパ」は、耳慣れないが、登山で荷物を運ぶ人の意味で、航続距離を延ばすモードになる。

ちなみに、リチウムイオンバッテリーは42kw hの容量で、WLTCモードでの航続可能距離は最大で335kmだ。ホンダeよりは、長い距離を走れる。実際に安心して走れるのは200kmくらいだろうが、これまでの経験から日常の使い方で大きな不満はないだろうと思う。

ちなみにシェルパモードにすると、エアコンがオフになり、最高速度を80km/hにとどめられる。250kmくらいの実走行距離になりそうだ。

静粛性はガソリン車を相手にしない。さすがに、ソフトトップ装着のオープンは風切り音が耳につくし、フロアまわりからの音の侵入も大きめと感じた。アイコンでもBEVで比較すると傑出した静粛性ではない。だが、クルージング時は静かで、会話も弾む。

キャビンは2+2レイアウトだが、センスがよくリサイクル材を使ったレザーシートなど、環境に配慮した姿勢を好ましく感じる。

 

 

オープンボディは、やや剛性不足?


 

サスペンションは、オーソドックスな組み合わせだ。フロントがストラット、リアはトーションビームで、アイコンとオープンは205/45R17サイズのタイヤを履く。

イタリア車らしい軽快なハンドリングは、このフィアット500eにも受け継がれている。気持ちよく向きが変わる操舵フィール、俊敏な身のこなしによって狙ったラインに乗せやすかった。路面にかかわらず、乗り心地も悪くない。

ただし、オープンは構造的なものなのか、剛性が物足りない印象を受けた。また、アイコンは路面からのショックを上手に受け流し、快適だったが、オープンは路面によってはショックの吸収が甘く感じられる。だが、クローズドボディでは得られない爽快感は大きな武器だ。

 

 

サブスクとリースで買いやすさをアピール


 

フィアット500eは200Vの普通充電と日本の充電規格である急速充電のCHAdeMOに対応しており、急速充電器を使うときは付属のアダプターをつないで利用する。

車両価格は450万円からだが、販売方法はサブスクリプションとリースを設定した。5年の契約期間が過ぎるとクルマは販売店に戻るようになっている。

BEVのリセールを気にしている人や買い替えを前提としている人には、とっつきやすいだろう。デザインだけで選べる魅力的なBEVがまた登場した。

<レポート:片岡英明

 

 

フィアット500e価格


 

・500e Pop ハッチバック  4,500,000円

・500e Icon ハッチバック  4,850,000円

・500e Open カブリオレ  4,950,000円

 

フィアット500e電費、ボディサイズなどスペック


 

代表グレード:500e Icon ハッチバック

ボディサイズ(mm) 全長 3,630×全幅1,685×全高1,530

ホイールベース(mm)  2,320

トレッド 前/後(mm)  1,470 / 1,460

車両重量(kg)  1,330

乗車定員(名) 4

モーター最高出力 <kw(ps)/rpm> [ECE]  87(118)/4,000

モーター最大トルク<Nm/rpm> [ECE]  220/2,000

動力用主電池種類  リチウムイオン

総電力量<kWh>  42

航続距離<km>WLTCモード 335

駆動方式  FF

サスペンション  前:マクファーソンストラット 後:トーションビーム

タイヤサイズ  205/45 R17

最小回転半径(m) 5.1

電気自動車新車情報・試乗評価一覧

フィアット新車情報・試乗評価一覧

イタリア車新車情報・試乗評価一覧コンパクトカー新車情報・試乗評価一覧