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 「リフィル処方箋」の制度が2022年4月からスタートしている。高血圧などの慢性疾患の場合で、診察なしの投薬を続けることに問題がないと医師によって判断された患者に発行される処方箋だ。その処方箋を使うと、医師が指示している期間内であれば最大3回まで、調剤薬局で薬の受け取りが可能である。

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 患者はこの処方箋を使うことによって、概ね毎月1回の通院を3カ月に1回にできるため、再診料や処方箋代の負担が3カ月で1回に削減できる。通院する煩わしさから解放される上に、医療費の支払いも軽減できるという、患者にとって画期的なシステムだ。

 実際に通院中の患者であれば、次回通院日の設定や長時間の待合時間が空しくなるような、簡単な診察から解放されることの有難味は大きい。要するに薬が欲しいだけなのに、病院を経由しなければならないことに対する疑問でもあるだろう。

 「リフィル処方箋」は、アメリカやイギリスなどの欧米で社会に浸透しているシステムで、10年以上も前から議論が重ねられて来た日本でようやく導入されたものの、ギクシャクしたスタートになった感は否めない。患者の負担が減るということは、医療者の収入が同額減少することに繋がるため、医療者が積極的に勧めないばかりか、利用を制限するような動きが見られるからだ。

 1期で異例の退任となる日本医師会の中川俊男会長は、3月27日の日本医師会代議員会で、「新たな決意で(会員と)共に進みたい」という表現で事実上の再出馬表明をすると共に、「処方から投薬までの責任は医師にある」から、「(リフィル処方箋については)慎重に判断して欲しい」と、後ろ向きと受け取れる発言をしていた。

 大阪府保険医協会では院内掲示用に作成した「当院ではリフィル処方は患者の健康管理上の観点から原則行っておりません」というポスターを、約6000人の会員(医師)に送付している。このポスターはホームページでも確認可能だ。

 医師が個々の患者に対してリフィル処方箋発行の是非を判断するのではない、というところに医療者側のある種の危機感が感じられる。

 リフィル処方箋は、昨年12月に妥結した2022年度の診療報酬改定で導入された。診療報酬の値上げを目論む日本医師会側と、極力負担を軽減したい健康保険組合連合会側の綱引きで、本体部分がプラス0.43%の引上げで決まった。日本医師会の中川会長は組織に対して、「直近4回の診療報酬の改定値が平均0.42%だったから、同等かそれ以上の成果を上げた」と総括していたようだ。

 ところが改定の内訳では、看護師の給与引上げ分と不妊治療の保険適用分が合計で0.4%を占めているため、医療機関の収入増は0.03%だった実態が明らかになったことから、医師の不興を買った。医師会の内部で、中川会長の再選に反対する動きが鮮明になり、出馬断念に追い込まれたとも見える。

 新型コロナウイルス感染症への対応では、民間医療機関の姿勢が大いに問題になり、庶民が医院に向ける眼差しにも厳しさが増している。散々待たされた挙句、「調子どう?」程度の質問で「あっ」という間に終了する診療に毎月付き合わされて、再診料と処方箋代を支払うことの理不尽さは見直す時期だろう。

 患者の立場から「リフィル処方箋」の発行を求めることは、値上げラッシュの負担をいくらかでも軽減させる自衛策だ。