桜木町駅前で演説する麻生太郎前財務相(自民党副総裁)。ロシアについて「東に攻めてこないという保証はありませんよ?」などと述べた

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麻生太郎前財務相(自民党副総裁)が2022年6月26日に桜木町駅前(横浜市中区)で行った参院選(7月10日投開票)の応援演説で、ロシアが日本に侵攻する可能性に言及した。ロシアの西側に面するウクライナが侵攻されていることを引き合いに、「東に攻めてこないという保証はありませんよ?」と述べた。

麻生氏は、「自分の国は自分たちで守る、それが基本」だとする中で、脅威となりうる対象には「向こうが打ったら打ち返す」構えを示すことが必要だと主張。「いじめられたらいじめられっぱなしですか。違うでしょうが。戦う意思がある、それが結果的に抑止力になる。戦う意思がなければ抑止力にはならんのです」などと持論を展開した。6月22日の参院選公示以降、麻生氏が首都圏で応援演説するのは、この日が初めて。

「戦う意思がなければ抑止力にはならんのです。武器なんかたくさん持ってたってダメ」

麻生氏の主張は、野党の反対を受けながら安保法制を成立させたことをアピールする中で出た。具体的には、次のように述べた。

「(ロシアの)西はウクライナがあって、東は北海道。これが、地図を見てもらったら分かる現実。西に攻めてきたけど、東に攻めてこないという保証はありませんよ?少なくとも、つい80年前までは戦争してたんだから。そして21世紀の初頭(編注:「20世紀の初頭」の言い間違いだとみられる)、1905年には間違いなく日露戦争をやっている。色々な意味で『我々は隣国だ』という意味を忘れてもらっては困る」

さらに、アフガニスタンの首都・カブール陥落と、ウクライナの戦況を対比しながら、

「従って、『自分の国は自分たちで守る』ということをきちっとしていた、していない、それが大きな差だったでしょうが!」

と主張。「少なくとも、自分の国は自分たちで守る、それが基本」だとして、抑止力について次のように持論を展開した。

「『向こうが打ったら打ち返す』『これはもう、ウクライナのように殴り返される』、そういう意識が相手になければ、いいように殴られるだけでしょうが。自分たちの周りでも見てごらんなさいよ。いじめられたらいじめられっぱなしですか?違うでしょうが!戦う意思がある、それが結果的に抑止力になる。戦う意思がなければ抑止力にはならんのです。武器なんかたくさん持ってたってダメ。それを使って戦う、自分の国を守るために戦う。そういう意識、それこそが抑止力になる。大前提です。ぜひともそう言った意味で、この横浜の若い人たちには頭に入れておいてもらいたい。我々はそういったことを正しく理解している、そういった国会議員を多く持たねばならん」

水道橋博士氏も「乱入」、麻生氏は「おー!まだ生きてんのか!」

朝日新聞を皮肉り、聴衆から笑いが起きる場面もあった。「防衛装備移転三原則」に抵触せず、各国と足並みをそろえる形でウクライナに支援物資を送ったことをアピールする中で、次のように述べた。

「日本では、我々は間違いなく武器は送らなかった。鉄かぶと(編注:外務省の表現は「鉄帽(ヘルメット)」)を送った、そして防弾チョッキも2万7000着送った。それぐらい。明らかに武器輸出じゃない。朝日新聞でも(「武器輸出にあたる」という批判を)書かなかった。間違いないだろ?書いてあったか?」

麻生氏が指摘するように、朝日新聞の社説では、ヘルメットや防弾チョッキの供与は批判していない。ただ、4月30日の社説では、支援物資にドローンが含まれていたことを念頭に、

「今回の支援の内容が国民に理解されたとしても、今後、指針の変更という同様の手段で(編注:「防衛装備移転三原則」で輸出を認める事例を列挙した運用指針にウクライナ支援が含まれていないため、指針を変更した上で支援を行った)、なし崩しに対象が拡大することにならないか」

と主張している。

麻生氏は演説後に聴衆とハイタッチ。そこに、れいわ新選組が比例区に擁立した、新顔でタレントの水道橋博士氏が「乱入」する一幕があった。水道橋氏が「麻生さん、お久しぶりです!れいわから立候補しております!」と声をかけると、麻生氏は驚いた様子で「おー!まだ生きてんのか!」。水道橋氏は「生きてます!60歳ですけど!(編注:8月18日に60歳の誕生日を迎える)頑張ります!」と応じていた。

麻生氏は総務相在任時の04年、水道橋氏が所属していた「浅草キッド」の番組「名門!アサ秘ジャーナル」(TBS)に出演したことがある。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)