昔は豊富、今では貴重な存在!? 昭和・平成・令和の直4FRスポーツカー3選

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昭和・平成・令和の直4エンジンを搭載したFRスポーツカーを振り返る

 クルマ好きならいつの時代でも憧れるのが、生粋のスポーツカーではないでしょうか。なかでもFRのモデルは独特のドライブフィールから、スポーツカーの代表的な存在です。

昭和・平成・令和にデビューした直列4気筒エンジンのFRスポーツカーたち

 近年はFRのスポーツカーは貴重な存在で、高額なモデルが多い印象があり、エンジンも6気筒ターボが主流となっていて、4気筒エンジン車は数少なくなっていまいました。

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 一方、昭和から平成にかけては直列4気筒エンジンを搭載したFRスポーツカーが数多く存在し、現在もわずかながらラインナップされています。

 そこで、昭和・平成・令和に登場した直列4気筒エンジンのFRスポーツカーを、3車種ピックアップして紹介します。

●三菱「スタリオン」

シャープなボディをまとった三菱最後のFRスポーツカーの「スタリオン」

 三菱は1982年に、次世代型スポーツカー&スペシャリティカーのポジションを担う「スタリオン」を発売しました。

 外観は直線基調のシャープなウェッジシェイプの3ドアハッチバッククーペで、流行の最先端だったリトラクタブルヘッドライトを採用。

 内装では7つのメーターを配置するコクピットに、サポート性が高く調整か所も豊富なスポーツカーシートを装備。トップグレードの「GSR-X」では本革シートを採用するなど、欧州製スポーツカーに負けないスポーティかつゴージャスな装いです。

 エンジンはターボと自然吸気をラインナップし、2リッター直列4気筒SOHCターボでは最高出力145馬力(グロス)を発揮。

 その後、自然吸気エンジンは廃止され、2リッタークラスのパワー競争が激化していた1983年にはインタークーラーを装着して最高出力は175馬力(グロス)まで向上し、さらに1984年には可変バルブシステムを採用した「シリウスDASH 3×2」ターボエンジンを搭載した「GSR-V」グレードが追加ラインナップされ、最高出力は200馬力(グロス)を誇りました。

 そして、1988年に最高出力175馬力(ネット)の2.6リッターターボエンジンを搭載した、輸出用と同じブリスターフェンダーのモデル、GSR-VR(カタログモデル)が登場しましたが、1990年に実質的な後継車の「GTO」の発売をもってスタリオンの歴史は一代限りで幕を下ろしました。

ホンダ「S2000」

究極の2リッター直列4気筒自然吸気エンジンを搭載したFRマシンの「S2000」

 ホンダは1999年に、創立50周年記念事業のひとつとして、オープンFRスポーツカーの「S2000」を発売しました。

 全体のフォルムはFRスポーツカーでは定番のロングノーズ・ショートデッキで、デザインはコンセプトモデルだった「SSM」のエッセンスを取り入れたシャープな印象のフロントフェイスを採用。

 また、S2000専用に開発されたシャシによって、オープンボディながら高い剛性を誇りました。

 エンジンも新開発された2リッター直列4気筒DOHC VTECエンジン「F20C型」で、最高出力250馬力を8300rpmで発揮し、トランスミッションは6速MTのみです。

 レブリミットは9000rpmとされ、排気量1リッターあたりの出力は125馬力と、市販車の自然吸気エンジンとしては驚異的な高出力を発揮しました。

 サスペンションはホンダのスポーツモデルでは定石の前後ダブルウイッシュボーンとし、1.2トンほどの軽量な車体と相まって優れた運動性能は高く評価されました。

 2005年のマイナーチェンジでは2.2リッターにスイッチされ扱いやすさを向上し、S2000はピュアFRスポーツカーとして国内外の走り好きを魅了しましたが、販売台数の低迷から2009年に生産を終了。後継車はなくホンダのFR車はその後登場していません。

●トヨタ「GRスープラ SZ」

令和の幕開けとともに誕生した新時代のFRスポーツカー「GRスープラ」(画像は「RZ」)

 トヨタのFRスポーツカー「A80型 スープラ」は、2002年に排出ガス規制強化への対応が困難なことから生産を終了しました。

 それから17年後の2019年に、5代目となる「GRスープラ」が登場。BMWとトヨタによって共同開発されたモデルで、BMW「Z4」と主要なコンポーネンツを共有し、生産もオーストリアのマグナ・シュタイヤーが担当。

 外観はロングノーズ・ショートデッキの古典的なFRスポーツカーのフォルムですが、デザインは空力特性を重視しつつ複雑な曲面を組み合わせた最新のトレンドが反映されました。

 内装では適度にタイトなコクピットによってスポーツカーらしい包まれ感を演出。インパネまわりは低く見はらしがよい水平基調で、車両姿勢の変化がつかみやすいデザインです。

 また、ホールド性をつきつめたスポーツシートなど、すべての形状はドライバー本位の設計となっています。

 グレードはトップグレードの「RZ」、装備が充実した中間グレードの「SZ-R」、エントリーモデルの「SZ」で、エンジンはRZが最高出力387馬力を誇る3リッター直列6気筒ターボ、SZ-Rは258馬力の2リッター直列4気筒ターボ、SZは同エンジンで197馬力を発揮。

 トランスミッションは全車8速スポーツATのみでデビューしましたが、2022年秋にはRZグレードの6速MTモデルが発売される予定となっています。

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 直近の予定では、2022年夏に日産新型「フェアレディZ」の発売が控え、2022年中にはホンダ新型「シビック タイプR」が発表される予定で、前出のスープラにはMTモデルの追加など、ここにきてスポーツカー市場が活気を帯びています。

 しかし、各メーカーはEVやPHEVへとシフトしている状況で、こうした純粋なガソリンエンジンを搭載したスポーツカーを手に入れられるのに残された時間は、あまり長くはないでしょう。