※この記事は2021年10月08日にBLOGOSで公開されたものです

岸田文雄首相は8日午後、衆議院で就任後初となる所信表明演説を行った。

新型コロナウイルス感染拡大や経済環境の格差拡大による社会の分断に触れ、「日本の絆の力を呼び起こす。それが私の使命」と述べた。

緊急事態宣言が全面解除された一方、“第6波”への備えが急がれる新型コロナウイルス対策を巡っては「3回目のワクチン接種の準備を行い、経口治療薬の年内実用化を目指す」などと説明。「同時にこれまでの対応を徹底的に分析する」と話した。

経済政策に関しては「最大の目標であるデフレからの脱却を成し遂げ、大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の推進につとめる」と語り、「成長と分配の好循環と、コロナ後の新しい社会の開拓がコンセプト」とした。

最重要課題として位置付けた北朝鮮による拉致問題については「すべての拉致被害者の1日も早い帰国を実現するべく全力で取り組む。私自身、条件を付けずに金正恩委員長と直接向き合う決意」と述べた。 続けて触れた核軍縮問題に関しては「被爆地、広島出身の総理大臣として私が目指すのは、核兵器のない世界。私が立ち上げた賢人会議も活用し、核兵器国と非核兵器国の橋渡しにつとめ、唯一の戦争被爆国としての責務を果たす」と語った。

所信の最後には「早く行きたければひとりで進め、遠くまで行きたければみんなで進め」ということわざを引き合いに、「ワンチームを作り上げる」と強調。「私は日本人の底力を信じています。コロナの中でもデジタル、グリーン、人工知能、量子、バイオ、宇宙といった、新しい時代の種が芽吹き始めています。この萌芽を大きな木に育て、その果実を国民全員で享受する明るい未来を築こうではありませんか」と呼び掛けた。