町田樹解説「プリンスアイスワールド2022 横浜公演」宇野昌磨&鍵山優真が競演!紀平梨花、復活の舞!!町田樹が独自目線で解説する伝統や既成概念を超えたアイスショー30名超のスケーターによる圧巻の群舞も必見です!!

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BSテレ東では、5月29日(日)午後2時から「プリンスアイスワールド2022」を放送します。

「プリンスアイスワールド」は、1978年に日本初のアイスショーとしてスタートし、今回で43回目となる歴史あるアイスショーで、今年のゴールデンウィークに開催された横浜公演の模様を放送します。

総勢24名が織りなすプリンスアイスワールドチームの群舞・シンクロナイズドスケーティングは超圧巻!国内トップスケーターからレジェンドスケーターも豪華競演。さらに町田樹による珠玉の解説と共に、フィギュアスケートの魅力を存分にお楽しみください。今回の見どころは「Brand New Story」と題した三部作シリーズの最終章となり、日本トップクラスの技だけでなく、30名以上のスケーター達が一体となってパフォーマンスする群舞や、氷上と空間を最大限生かしたアクロバティックなパフォーマンスなど、プリンスアイスワールドならではの演出で、今作シリーズを華やかに締めくくります。

解説は町田樹、実況は板垣龍佑(テレビ東京アナウンサー)。

番組の解説を務める町田樹さんに番組の見どころなどを聞きました。

■解説・町田樹 コメント

Q 全体の印象について

3年間の「Brand New Story」がここで集大成を迎えることになりました。2019年から「Brand New Story」という作品が始まり、コロナ禍で1年の休止をはさんで波瀾のあった4年間でしたが、「Brand New Story」をよくぞここまで育て上げたというリスペクトと最大の賛辞をモモ ナガシマさんやキャストの皆さんたちに贈りたいです。

前回までのシリーズと違うのは、エンターテインメント性やスペクタクルショー的な要素が色濃く反映されていて、フライングだったり、炎を使ったりという新しい演出というものがたくさん盛り込まれていたので、プリンスアイスワールドという組織にとっても新しい未知の体験がたくさんできて、そういう経験はさらに今後盛り上がるために貴重な財産になったのではないかと思います。

1部に登場する男性チーム、女性チームの群舞はこの公演でもハイライトだと思います。男性だけ、女性だけのチームを作って磨いてきたいい所を全て集約した珠玉のナンバーになっています。照明の使い方も非常に巧みでした。男女抜粋チームの「さくら(独唱)」、「Say Something」から始まり、女性チームの「My Angel」、そして男性チームの「Centuries」に至るまでのパートというのは、非常にスキルも高いものがありますし、振り付けなども工夫が凝らされていて見ごたえがありました。

また、1部の最後の「Japanesque」は、これまでの作品では別々にやっていた「ジャパネスク」と「アイスタップ」を今回は融合して、1部のトリにふさわしい豪華なナンバーになっています。さながらネオジャパネスクといった感じです。また氷上の殺陣の部分は、北野武監督の「座頭市」を全体としてオマージュしています。悪人を成敗するという所からタップダンスで締めていくというのは、まさに北野武監督の「座頭市」の流れを汲んでいるわけですし、そのタップダンスは北野武監督の作品も手掛けられたHideboHさんが振り付けられています。最後のフィニッシュポーズに至る一連の流れは劇中の動きのままだったので、まさに北野武オマージュ作品になっています。ものすごく豪華に1部が締めくくられているので、そこも見どころだと思います。

Q 印象に残ったゲストスケーターは?

<宇野昌磨>

©BSテレ東

新プログラム「Gravity」を初披露しましたが、第一印象はチルでメロウなロックミュージックなんですけれども、とてもこういう雰囲気が似合うんだな、という気付きが得られました。

もともと宇野選手の相貌のよさというのはアンニュイなところでそれが十分に生かされています。かつ宇野選手の特徴的なメリハリがついた動きというものが曲調にピタリとハマっているという意味で、“ハマりプロ”になるんではないかなという予感がしています。

「ボレロ」の時には、振付師のステファン・ランビエールさんが宇野さんに新しい独創的な動きを開発したと思います。そうした動きというのが、その後の彼のプログラムで生きています。「ボレロ」という作品が、ランビエールさんと宇野さんのタッグの中ではターニングポイントになっていて、プログラムの振り付けのスタイルみたいなものがそこでできあがったのだと感じています。「ボレロ」の最後の一番激しいステップの一部分を今回も組み込んでおり、「ボレロ」からの自己引用のようなものが今の宇野さんのプログラムに頻繁に見られます。

<鍵山優真>

©BSテレ東

2019年に演じた「宿命」(映画「砂の器」ピアノ協奏曲「宿命」第1楽章)をリバイバルしたものをもってきたのですが、2つの点で成長していると思いました。

1つ目は、緩急のつけ方が的確にメリハリがついていたなという印象を持ちました。

2つ目は、身体の位置取り、ライン取りがうまくなっている、腕や足をどの角度でどの位置に置けば身体が美しく見えるのか、ということがわかり始めているのではないか、と思います。プログラムの要所要所で大事な振り付けがあるのですが、それがしっかり決まっているというのが2年前にはなかったよさかなと思います。

<紀平梨花>

©BSテレ東

(今回の演技は)まだちょっとジャンプが辛そうだなという印象ですが、「You Raise Me Up」という演目を選ばれて、彼女も今の心境にとても合っているとインタビューで答えていたとおり、この満員のお客さんの中で演じられたことは彼女にとってインスピレーショナルだったと思います。次の一歩を踏み出すエネルギーをいただけた、そういう舞台になったのではないかと拝察しています。

ケガでこのオリンピックシーズンにドロップアウトせざるを得なかった。これは計り知れないくらい悔しい思いをしたと思います。自分が滑れない中で、ライバルたちが自分が長年めざしていたところで輝いているというのは、私もかつては一選手でしたし、目標としてきたところに手が届かないということをたくさん経験してきたので、痛いほど紀平さんの気持ちというのがわかるつもりなんです。けれどもそういう複雑な心境というものが自分にいろんな気づきというものをもたらしてくれると思うんです。一足先にいろんな経験をした先輩から言わせていただくと、本当に悔しい思いをしたと思うのですが、この期間に悩み考えてきたその思考する時間というのは絶対次につながります。ですから、それを強く信じて、また次なる一歩を歩みだしていってほしいと、心からエールの気持ちをお伝えしたいですし、彼女の再起を心から待っています。

<田中刑事>

©BSテレ東

(町田樹さんが振り付けした演目を、実際に公演で見た時は)

よくぞ、あの難解なプログラムを滑りこなしてくれた、滑り切ってくれたという、感謝の気持ちでいっぱいです。

あのプログラムは田中さんのために創った演目ですので、田中さんだったらこんな動きが素敵なのではないかという振り付けをたくさん取り入れています。田中さんにとっては、難しい動きや振りを多用していてなじみのない動きの連続だったと思いますので、演じるのは大変だったと思います。

3月初旬に合宿しましたが、振り付けの作業だけでいっぱいいっぱいでした。「ショパンの夜に」という演目ですが、本当に真夜中に振り付けをやっていました。

ショパンは、華やかで優雅な面がある一方で、計り知れない闇や苦悩を感じるような音楽を作曲しています。私たちアトリエ・ターム(Atelier t.e.r.m)は、ショパンの音楽の中の゛陰り“を表現したかったのです。そういう意味で24の前奏曲の中から4番と24番を使っています。どちらも少し暗い曲調です。

このコロナ禍で舞台芸術が当たり前のように公演できない時代では、一回一回の貴重な舞台で、見る人に何を伝えるかということが大切です。

今回の演目では、ただ絶望に浸るような悲劇を演じるだけではなく、たとえ自分が乗り越えることができない絶望だとわかっていても、自分の信念や信条を曲げずに最後まで力強く生き抜く凛とした人間の精神を描いていきたいと思いました。それをどのように解釈するかは見る人に委ねたいと思っていますが、私はこの時勢における舞台芸術というのは、コロナ禍以前よりも制作者側が何を伝えるのかをより深く考えるべきだと思っていたので、このタイミングでこの「ショパンの夜に」という演目を制作して良かったと実感しています。

Q 公演のみどころなど

今回の公演は、2019年からの3年間(1年は公演休止)の積み重ねの上の集大成です。このコロナ禍で、プリンスアイスワールドというエンターテインメント集団がこれまでどう活動してきて、今どのように頑張っているかということが、映像から全部見て取れると思いますので、ぜひご堪能いただきたいなと思います。

今年は2年ぶりに満員のお客さんが入った中で多くの人に見ていただけたというのは本当にうれしかったです。作品の創造と(お客様の)享受の循環を一創作者として経験してしまうと、またこういう光景を見たいという思いがふつふつと湧き上がってきます。私はそういう創作する活力を、今回のPIWからいただきました。

この映像を通じて、このプリンスアイスワールドに興味を持った方がいれば、次はぜひ会場にお越しいただき、ライブの大迫力も味わっていただきたいと思っております。

 

倉地啓太プロデューサー(テレビ東京スポーツ局)コメント

今年の冬を熱くした北京五輪が終わり、フィギュアスケートは新たな時代を予感させるシーズンに突入します。新ルールの導入、ジャンプの進化、新しい選手たちの台頭など見どころが満載です。

そんな中、日本で最も歴史のあるアイスショーがプリンスアイスワールド。現役のトップスケーターの演技はもちろん、一糸乱れることのない抜群の結束力で表現するプリンスアイスワールドチームの群舞(グループナンバー)は必見です。

解説はテレビ東京ではお馴染みの町田樹さんに今回もお願いしました。

かつて私がディレクターを務めていた際に、ご自分の演技について中継車で映像のカット割を隈なくチェックし深夜まで一緒に突き詰めながら作品を作り上げた思い出があります。クレバーながら非常に熱い思いをお持ちの方なので、的確な解説に加え、独自な世界観を駆使した映像との化学反応も是非期待してください。

©BSテレ東

番組概要

【番組名】 プリンスアイスワールド2022 横浜公演

【放送局】 BSテレ東(BS⑦ch)/BSテレ東4K(4K⑦ch)※全国無料放送

【放送日時】 5月29日(日) 午後2:00~4:00

【内容】 

日本で最も歴史あるアイスショー・プリンスアイスワールド。総勢24名が織りなす群舞・シンクロナイズドスケーティングは超圧巻!国内トップスケーターからレジェンドスケーターも豪華競演。さらに町田樹さんの珠玉の解説と共に、フィギュアスケートの魅力を存分にお楽しみください。

今回の見どころは「Brand New Story」と題した三部作シリーズの最終章となり、日本トップクラスの技だけでなく、30名以上のスケーター達が一体となってパフォーマンスする群舞や、氷上と空間を最大限生かしたアクロバティックなパフォーマンスなど、プリンスアイスワールドならではの演出で、今作シリーズを華やかに締めくくります。

【出演スケーター】

<ゲストスケーター>

荒川静香、宇野昌磨、鍵山優真、田中刑事、友野一希、紀平梨花、三原舞依、本田真凜、本田望結、三浦佳生、住吉りをん

<プリンスアイスワールドチーム>

松永幸貴恵、佐々木優衣、松本玲佳、五戸桃代、浅見琴葉、河野有香、坪田佳子、中西樹希、

西村桂、小川真理恵、神林陽南乃、白神伶菜、三澤日向子、松原茜、望月美玖、小林宏一、小沼祐太、松村成、中島将貴、吉野晃平、小平渓介、本田宏樹、中野耀司、唐川常人

【出演者】

解説:町田樹

実況:板垣龍佑(テレビ東京アナウンサー)

※副音声では会場音のみでお楽しみいただけます

【番組HP】

https://www.bs-tvtokyo.co.jp/princeiceworld2022/