「(騒動後に)岡村さんと一度話したいと思ったのですが、連絡先を知らなくて。関係者の方に連絡先を教えていただいて、電話させてもらいました……」

【画像】デビュー当時とはこんなに変わったアンガールズの田中

「文春オンライン」の取材に神妙な面持ちでそう語るのは、アンガールズの田中卓志(46)だ。4月24日にスタートした田中にとってゴールデン帯初MCとなる新番組『呼び出し先生タナカ』(フジテレビ系)がピンチを迎えている。

 初回放送後、同番組の内容が『めちゃ×2 イケてるッ!』(フジテレビ系)の『抜き打ちテスト企画』と酷似しているとの声がネット上に広がり、ナインティナインの岡村隆史(51)も自身のラジオで「オレ、クビになったんやな。オレらがやったらあかんかったのか」と苦言を呈すなど、“パクリ疑惑”が波紋を広げているのだ。


アンガールズの田中(左)とナインティナインの岡村 フジテレビ公式HPより/©共同通信社

アンガ田中がナイナイ岡村に「謝罪」電話をかけていた

 そんな騒動について文春オンラインが取材を進めると、渦中の田中が憤る岡村に「謝罪電話」をかけていたことがわかった。両者の間でどんな会話が交わされたのか、電話は約15分間に及んだという。

 問題となっている『呼び出し先生タナカ』は毎週日曜日の夜9時からフジテレビ系列で放送されている番組だ。

《“勉強”と“笑い”を融合したお笑い教育“一斉テスト”バラエティー》をテーマに掲げ、人気芸能人が学力や実技の試験に挑戦する。その後、ゲストの珍解答に担任役の田中と副担任役のシソンヌ・長谷川忍(43)がツッコミを入れながらテスト結果を順位ごとに発表していく。

めちゃイケ』の人気企画と酷似している……?

 この番組内容が酷似していると指摘されているのが、1996年から2018年まで同局で放送された『めちゃイケ』の名物企画の「抜き打ちテスト」だ。担任役の岡村と副担任役の佐野瑞樹フジテレビアナウンサー(50)がゲストのおバカ解答をイジり、視聴率20%台を記録するなどした人気企画で、後にシリーズ化された。

「『呼び出し先生タナカ』は、めちゃイケの『抜き打ちテスト』シリーズに似ているというよりそのまんま」と厳しく指摘するのは、フジテレビの制作スタッフだ。

「いきなりレギュラー放送の初回が3時間のスペシャル枠だったのは、局の肝煎りの番組であることの表れです。しかし、事前に旧『めちゃイケ』スタッフにも番組内容の連絡や相談はなかったようで、旧『めちゃイケ』スタッフはオンエアを見て当時と全く同じ企画だったと驚いたそうです。『呼び出し先生タナカ』の総合演出の担当者は、もともと『めちゃイケ』のADで、他にも多くの元『めちゃイケ』スタッフらが『呼び出し先生タナカ』にも携わっている。当時のような人気企画をやりたいのはわかるが、それにしてもあまりにそのまんま過ぎて、安易だなと思いました」

 この制作スタッフ曰く、「今回の問題の背景には長く低迷するフジテレビの内部事情が大きく影響している」という。

フジ若手社員も悩む「焼き直し企画」蔓延の現状

「今回の“パクリ疑惑”については番組の担当者が悪いというよりは、局の体制の問題が大きいと思います。現社長の金光(修)さんは経営企画局などビジネス畑を長く歩み、シビアに数字を見るタイプの人です。制作側の理屈はあまり通じず、局員に対しても『ヒットした作品のフォーマットで番組を作れ』ということを臆面もなく発言する。

 今回の『呼び出し先生タナカ』は、昨今では珍しく特番を経ずにいきなりレギュラーに抜擢されていますが、そこには“過去のヒット企画でもう一花咲かせたい”という今の社の意向も大きく影響したと思います。若手局員たちの中には今回の企画を見て、『自分たちが必死に考えても、結局通るのは焼き直し企画かよ……』と意気消沈している人もいます」

 5月5日に配信された『オールナイトニッポンPODCAST アンガールズのジャンピン』(ニッポン放送)で田中は「新番組が『めちゃイケ』と酷似していて残念だった」というリスナーからの感想を受けて、「同じスタッフさんがやっていて、スタッフさん内で発案した人たちと『これは使っていいよね』っていう話は裏でもちろん済んでいての話」と発言。『呼び出し先生』が『めちゃイケ』の企画が前提となっていることを把握していたと明かした。

『めちゃイケ』と酷似した番組のMCを引き受けた理由については「まず、オレが新人じゃん、MCとして。新人にまったくやったことない企画で初回3時間やるほどフジテレビもバカじゃないっていうかさ。そこにまず、ある程度見えるものがあるから。そこで田中が新人でもなんとかなるだろうっていう、いろんな計算をしているの」と語り、さらに「似てるっていうか、そのフォーマットを使っているのは間違いないから」と、半ば『呼び出し先生』が“パクリ企画”であることを認めた。

『オールナイトニッポン』で苦言を呈したナイナイ岡村

 ところが騒動はこれで収まらなかった。『めちゃイケ』の“抜き打ちテスト企画”で担任役だった岡村が5月12日深夜放送の『ナインティナインのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)でスタッフへの収まらない憤りを約15分に渡って語ったのだ。

《別に田中くんは何も悪くないよ。(元めちゃイケのスタッフは)どう思って番組作ってるのか。オレとか、(よゐこ)濱口とかの顔は全く浮かばへんかったのかなと思ってさ。こんな悲しいことある? 他のメンバーもどう思ってるのかな》

 前出とは別のフジテレビ局員が語る。

「通常であれば『これは社内の話だから……』で済む話でしたが、問題がここまで大きくなってしまったのは岡村さんや吉本サイドを怒らせてしまったためです。12日のラジオでの岡村さんの発言を受けて、翌週19日のラジオの本番前にフジテレビのスタッフが直接、岡村さんや矢部さんに謝罪したいと吉本に問い合わせましたが、『その必要はない』と吉本サイドに止められたそうです」

フジ側は田中の事務所に「すべて大丈夫です」と説明

 今回の騒動は田中やアンガールズが所属するワタナベエンターテインメントにとっても寝耳に水だったという。

「そもそもワタナベエンターテインメント側は、この企画を受ける前に“これはほぼ『めちゃイケ』の焼き直しですが、ちゃんとナイナイと『めちゃイケ』スタッフにも許可を取っているんですか?”と聞いたそうです。フジ側はこの時、“そこはすべて大丈夫です”と説明したそうです。ところが、ふたを開けてみたらなんの根回しもできていない状態で、こんな大騒動になってしまった」(同前)

 初MCを引き受けた田中にとってはとんだ災難だった。田中はフジテレビの対応が後手に回る騒動の裏で、先輩芸人である岡村に直接、「謝罪の電話」を入れたという。

「岡村さんのラジオの発言を聞いて、すぐに動いたのが当事者の田中さんでした。田中さんが岡村さんに直接電話して、謝ったみたいです。翌週やそれ以降、岡村さんがラジオ番組内で『呼び出し先生タナカ』の話題を取り上げなかったのは、岡村さんの優しさだと思いますよ」(前出の制作スタッフ)

芸人2人が話した電話の中身は……?

 5月27日、ラジオの生放送を終えた岡村本人を直撃した。

――田中さんから謝罪の電話があったそうですが?

「別にしゃべっただけですよ」

――田中さんに謝罪させてしまう形になったフジテレビの対応については?

「あまり詳しいことわからないので、すんません」

 一方の田中に話を聞くと、一連の騒動を受けて岡村に電話を入れていたことを認め、冒頭のように言葉を選びながら現在の心境を語った。

「謝罪電話というか……今の現状を伝えたということですね。そんなすごいトラブルみたいな感じじゃないです」

――岡村さんがラジオで『呼び出し先生タナカ』について苦言を呈していました。フジテレビが説明を怠っていたということですか?

「まあ、そういうこともあったのかもしれないですが、僕が今、聞いている部分はちょっと……。僕も岡村さんのラジオを聞いて、芸人同士でしゃべっておいたほうがいいなという気持ちで、岡村さんが忙しい中で15分ほど話させてもらったんです。

 岡村さんも『怒っているみたいな感じになっちゃったんだけど、そういう感じに伝わってしまって申し訳ない。ごめん、ごめん』って仰ってくれて、そんな感じの話になりました」

岡村は「田中くんが番組やりやすいようにしようと思って……」

――電話ではどんなお話を?

「僕も『怒っていたらどうしよう』と思って、芸人同士の気持ちもあるから。そこで電話で話したら、岡村さんもラジオで『似てるとかパクってるとか話題になっちゃったから、田中くんが番組やりやすいようにしようと思ってラジオでイジってやろうと思っただけだよ』と、仰ってたんで。

 僕がやりやすいようにしてくれたという話なんですよ。険悪な関係だとかは一切なくて、岡村さんも番組に関しては、『田中くんは気にせんで全力でやって』って最後に言ってくれているので、初めてこういう時間帯でやらせてもらうことになったので、僕は全力でやるだけですね」

――結果的に演者である田中さんにそういった電話を入れさせてしまったフジテレビの対応についてはどう思われますか?

「(笑)。まあ、その辺は会社も含めてその話はしているところなので、僕がどうこう言える話ではないので」

 ある意味でフジテレビの「尻拭い」をさせられたとも言える田中。フジテレビに一連の騒動への見解や、事前に関係者への説明を行ったかどうかについて問い合わせると、文書で以下のように回答があった。

「制作の詳細に関してはお答えしておりませんが、特に問題が起きているとは考えておりません」

 田中の所属するワタナベエンターテインメント、岡村の所属する吉本興業にも一連の騒動への見解を問い合わせたが、期日までに回答はなかった。

タレントと二人三脚で番組を作るフジテレビの“伝統”は……?

 フジテレビにはこれまで、とんねるずやナイナイなど、他局と比べてタレントとスタッフの距離感が近く、共にヒット番組を作ってきた歴史がある。

「“癒着”と揶揄されることもありましたが、それがフジらしいバラエティー作りの根幹だったはず。だからこそタレントもスタッフを信頼してイジってくれたり、表舞台に出したりしてくれた。今回、一番怒りを感じるのが、田中さん本人に直接、岡村さんに謝らせてしまったこと。最も大事にしなきゃいけないタレントに自分たちのミスの尻拭いをさせたわけですから、最近のウチの凋落ぶりを顕著に現していると思います。 

 景気が悪い時だから数字(視聴率)を追うのはもちろん大事です。でも、やっぱり会社の築いてきた根底にある“魂”みたいなものをないがしろにすると、こういうことになる……といういい例だったと思います」(前出の制作スタッフ)

(「文春オンライン」特集班/Webオリジナル(特集班))