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日弁連は5月17日付で、大阪弁護士会の橋本太地弁護士に対する懲戒処分(戒告)を取り消し、懲戒をしない判断をくだした。

橋本弁護士はツイッターの実名アカウントで、「弁護士費用を踏み倒すやつはタヒね」などと投稿(「タヒ」は「死」を意味するネットスラングで実際の投稿は半角)。元依頼者から懲戒請求され、2021年3月1日付で大阪弁護士会から戒告の処分を受けていた。

ツイートには個人を特定できる表現はなかったが、投稿時期は「依頼者都合による途中解任の場合、着手金は返還しない」という契約条項をめぐり、元依頼者とトラブルになっていた2019年12月〜20年4月頃のものだった。元依頼者は、仮に自分のことを指していなくても、弁護士の品位を害するものだと主張していた。

●日弁連、文脈も検討「茶化した俗語」

日弁連の裁決書によると、「タヒね」を含め計7つの投稿が「弁護士としての品位を失う非行」に該当するかが争われた。

「弁護士報酬の踏み倒しを撲滅するために何ができるだろうか」、「正規の金が払えない言うなら法テラス行きなさい」などの投稿については、「踏み倒しは許されない」という意見自体は妥当とされた。

「タヒね」についても、「軽薄で下品」ではあるものの、ツイッターというプラットフォームの特性や、「死ね」と同義であっても茶化した俗語として認識されていることなどから、懲戒処分が相当とまではいえないと判断された。

過去の懲戒事例において、特定個人に対する名誉毀損や侮辱で懲戒された事例はあっても、個人を特定しない発信で懲戒された事例はなく、処分の公平性も考慮された。

●大阪弁護士会は「本来の意味」を重視

一方、元になった大阪弁護士会の判断は、「タヒね」について、「言葉の本来の意味するところを無視することはできず、弁護士がこのような言葉を軽々に広く社会に発信する行為は許されるべきではない」と批判していた。

そのほかの投稿についても、「弁護士への敷居をより高くしたり、門戸を閉ざしてしまうことにもなりかねない」などの言及があった。

●「反省もしているが…」求めたのは要件該当性

橋本弁護士は取材に対し、「一部投稿には不適切な部分もあったと反省している。一方で、従来の基準などから本当に懲戒の要件に該当するのかという点を争ってきた」と話している。

この懲戒事案は、ネットでも話題になっており、武本夕香子弁護士や高山俊吉弁護士、白井晶子弁護士ら計13人の弁護団が結成されていた。

弁護士は仕事の性質上、権力と対峙することもある。戦後にできた弁護士法では、弁護士の非行に対する懲戒は国ではなく、弁護士会内部で判断することになった(弁護士自治)。