カブス・鈴木誠也【写真:ロイター】

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左腕・バムガーナーの140キロを引っ張り適時二塁打を放った

■Dバックス 7ー6 カブス(日本時間22日・シカゴ)

 カブスの鈴木誠也外野手は21日(日本時間22日)、本拠地でのダイヤモンドバックス戦に今季初の「3番・右翼」で出場し、2試合ぶりの安打となる適時二塁打を放った。5打数1安打1打点1得点。打率は.246となった。チームは今季3度目の延長戦に6-7で敗れ4連敗を喫し、借金は今季ワーストタイの9に膨らんだ。

 降雨のため予定より1時間35分遅れて始まった同一カード第3戦は、2014年のワールドシリーズMVPに輝き通算129勝を挙げる左腕マディソン・バムガーナーが先発。鈴木は、出場3試合ぶりの打点を3回の第2打席で挙げた。

 場面は2死二塁。カウント2-2から内角高め87マイル(約140キロ)のカットボールをフルスイング。三塁・ヘルナンデスのグラブをかすめる痛烈なゴロは、左翼線に転がり二走が生還。鈴木も次打者の中前打で三塁を蹴り、4点目のホームを踏んだ。

 今季カブス戦初登板のバムガーナーの内角速球を鈴木は狙っていた。この痛打を放つ4球前にも内角のカッターを強振。三塁線に飛びつくヘルナンデスを抜く鋭い打球だったが、ラインをわずかに割るファウルになっていた。内角を突く速球を「詰まらせて落とす」真骨頂の打撃でブルワーズの剛球右腕・ウッドラフを攻略したのは4月9日(同10日)のこと。この日はその技を駆使することなく思いきり引っ張った。

選手に出された「左方向狙い」を忠実に実行した

 試合前の打者ミーティングでは、「左方向狙い」の指示が出ていた。2回に内角速球を左翼スタンドへ運ぶ先制の3号ソロを放った5番のシュウィンデルが、好投手攻略法についての一端を明かした。

「試合前にみんなでデータを確認したんだ。右打者の安打のチャートからは引っ張ったものが多いという傾向がはっきりと出ていた。徹底的にそこに付け込んで最初から飛ばしていこうという指示はあったよ」

 6番のウィズダムも内角速球を迷うことなく振り抜きチームトップの8号ソロで続いた。シュウィンデルが言うように、カブスが3回までに放った2本塁打を含む5安打のうち4本が左方向へのもので、いずれも右打者が放っている。対峙する投手の事前情報はあまり入れないとこれまで話してきた鈴木も、今季8登板で防御率2.29と安定するバムガーナーを崩すデータを無視することなく、1本に結びつけた。

 もっとも、百戦錬磨の左腕が簡単に沈むことはなかった。中盤から配球を変えて4回から降板する7回までを無失点で切り抜けた。鈴木も6回の第3打席では内野ゴロに打ち取られた。

 試合は延長戦に突入。10回に3点のリードを許したチームは、その裏2点を返してなおも2死二塁のチャンス。鈴木に5打席目が回ったが、14日(同15日)の初対決で安打を放った通算252セーブのメランソンに空振り三振を喫して敗戦。チームは4連敗で借金は今季ワーストタイの9となった。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)