夫と死別、55歳の派遣社員。60歳で仕事を辞めても老後資金はたりる?
予測がつくようで、なにが起こるかわからないこれからの暮らし。50代、60代になると、先々の暮らしやお金のことが気がかりに…。そこで今回は、ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんに、「これから」世代のリアルな家計相談を依頼。老後に備えるための家計管理術を教えてもらいました。
夫と死別。老後にいくらあればよいかわからず心配…
夫と死別し、27歳の長男と暮らす古森紀子さん(仮名)。60歳で退職したら仕事は辞めたいのですが、今後は築30年の家の補修も必要で、老後資金がたりるのか心配です。
現在の貯蓄は3000万円。ほかに個人年金を3本準備しています。派遣なので退職金はありません。長男から毎月4万円を受け取っていますが、貯めておき、独立時にまとめて手渡すつもりです。
【相談者】古森紀子さん(仮名・55歳)
派遣の会社員。夫と死別し、長男(27歳)と分譲一戸建てで2人暮らし。住宅ローンは完済したものの、築30年で今後の改修費が心配
【世帯年収360万円の古森さんの家計表】
手取り月収 200,000円(1)
遺族年金 100,000円(1)
収入合計 300,000円
住居費 0円
食費 50,000円
外食費 0円
水道光熱費 30,000円
通信費 10,000円
日用雑費 10,000円
レジャー費 5,000円
こづかい 30,000円
保険料 150,000円(2)
その他出費 15,000円
支出合計 300,000円
収支 ±0円
総貯蓄額 30,000,000円
(1) 65歳からは年金16万円で生活
年金は、65歳まで遺族年金+個人年金で14万円、65歳から自分の年金が加わり16万円に
(2) 老後に備え、年金型保険に加入
60歳から年48万円が10年出る個人年金など、3つの年金タイプの保険に加入
この家計について、FPの畠中さんに診断してもらいました。
FPの回答:特別支出をきちんと管理すれば、問題なし!
預貯金と保険で、しっかり老後に備えている古森さん。貯蓄目的の保険料を払い終えれば、月の生活費は15万円とムダがなく、60歳で退職しても、貯蓄3000万円と65歳以降の公的年金12万円+個人年金で乗りきれそうです。
●特別支出の管理はしっかりと
ひとつだけ気をつけたいのは、特別支出の管理。貯蓄がなし崩しにならないように、年間に必要な特別支出を書き出して、仮に年30万円必要なら30万円×30年(90歳−60歳)=900万円は貯蓄から確保しておきましょう。
家のリフォームは、必要なときに少しずつ行う方がムダが出ません。トイレ○万円、キッチン○万円…など直したい場所の予算をひとつずつ見積もって、まとめて貯蓄からとりおきを。手すりなどの介護リフォームは、要介護になれば介護保険で一部の助成があるのであわてなくて大丈夫です。
いずれ高齢者施設に移るつもりなら、リフォームは最低限に抑え、入居費用をとりおく方が効率的。60代になったら施設見学に行って、方針を決めましょう。
●老後、必要になりそうなリフォーム
出典:今後も現在の住まいに住み続けるために必要な改修(平成30年度「高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果(全体版)」)より作成
老後を快適に過ごすためのバリアフリー、間取り変更などを先に行い、手すりや車イス用のドアなどは、要介護になったときの状態に合わせて介護保険で行うとよいでしょう。
今回のお悩みのケースもそうですが、老後資金で不安なのが、万が一の多額の出費。予測できることは、前もって備えておくことを心がけましょう。