クレジットカードの国際ブランドであるMastercardが、カメラに向かってほほ笑んだり手をかざしたりすることで決済が可能な新しい生体認証プログラムを発表しました。

With a smile or a wave, paying in store just got personal | Mastercard Newsroom

https://www.mastercard.com/news/press/2022/may/with-a-smile-or-a-wave-paying-in-store-just-got-personal/

Mastercard's pay-with-a-smile test is bound to rile privacy advocates (updated) | Engadget

https://www.engadget.com/mastrercard-biometric-checkout-pay-by-smiling-153808508.html

Mastercardは2022年5月17日に、公式サイトで「お買い物で両手がふさがっている時に携帯電話を取り出したり、財布を探したりする必要はもうありません。次世代の対面決済では、笑顔で手を振るだけでいいのです。顔や指紋を使って携帯電話のロックを解除する信頼性の高い技術が、レジでのスムーズな支払いに使えるようになりました」と発表し、同社の決済システムに新しく顔や手での生体認証プログラムを導入することを明かしました。



Mastercardによると、この新しい決済システムはMastercard加盟店などのアプリを使うことで、店頭や自宅の両方で利用可能とのこと。リーダーに向けて笑顔を作ったり、手をかざしたりするだけで支払いを済ませることができる新技術により、消費者は衛生的でシームレスな決済が可能とされています。



Mastercardは、提携企業としてNEC、Payface、Aurus、PaybyFace、PopID、Fujitsuを挙げています。最初のテストは、ブラジルの生体認証企業であるPayfaceとの協力により、サンパウロにある5つのスーパーマーケットで行い、将来的には中東やアジアにも展開していく予定です。

Mastercardのサイバー&インテリジェンス担当プレジデントであるAjay Bhalla氏は、「この新しいプログラムの目標は、ショッピングを消費者と店舗の両方にとって素晴らしい体験にし、セキュリティと利便性の両方を最大化することです」とコメントしました。

Mastercardは、60%のユーザーがPINより生体認証の方が安全だと考えているとして、消費者の間で生体認証での支払いが受け入れられつつあることを強調しています。



しかし、海外メディアのEngadgetによると、Amazonの手のひらスキャン技術を活用しようとした音楽会場が反対により導入を取りやめる事例があるなど、消費者の中には生体認証での支払いに抵抗感のある人も少なくないとのこと。

こうした点からEngadgetは、「Mastercardはデータがデジタルテンプレートに変換され、暗号化された上でデバイスにとどまることを強調しています。これは、すべての人を安心させるものではないかもしれませんが、誰かが顔写真にアクセスすることを懸念している人にとっては留意しておくべき点です」と述べました。