パイレーツ・筒香嘉智【写真:AP】

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当たり損ねが5試合ぶりの安打、芯でとらえた打球は凡打…

■カブス 9ー0 パイレーツ(日本時間17日・シカゴ)

 パイレーツの筒香嘉智内野手が16日(日本時間17日)、敵地・シカゴでのカブス戦に「5番・一塁」で出場。8回の第3打席で5試合ぶりの安打となる遊撃への内野安打を記録した。3打数1安打、打率は.180となった。

 緩急を駆使して小気味いい投球を見せるカブスの先発左腕・マイリーに2打席を封じられたが、8回の第3打席、代わったばかりの救援右腕・ラッカーから遊撃内野安打を記録した。当たり損ねのゴロになった打球を、一二塁間にシフトしていた遊撃手・シモンズが捕り損ね、グラブトスをする間に一塁を駆け抜けた。一方、2打席目の三直は芯で捉えた打球。筒香はこう振り返る。

「3打席目のああいうのがヒットになったり、2打席目のああいう打球がヒットにならなかったりっていう野球の面白さというか。そういう部分というのは非常に感じます」

 結果と内容の違いという響きだが、筒香自身は、捉え損ねた内野安打に好感触を得ている。代わったばかりの救援・ラッカーの“初球”へ無意識に反応したことが大きな収穫だった。

「心が弱っている状態の時だと、どうしてもあれが……。僕の3打席目はそんなに甘い球ではなかったですけど、甘い球でもなかなか手が出ないという状況がありました。あの段階で言いますと、自分でしっかり待てているという感覚があるので。いけると思ったボールに体が反応しているというような感覚です」

 事前情報は得ても、打席に立てば生きたボールはイメージと違うことがほとんどだ。カブスの鈴木誠也外野手は4月のパイレーツ戦で、対峙した左腕・キンタナの直球が打席ではナチュラルにカットしていると話した。この点で、代わり端の投手は球筋の見極めをしたくなるものだが、筒香は心身が合致するタイミングで初球を捉えにいった。

「見え方も変わった」とっさの反応で取り戻したのは“自信”

 9日(同10日)のドジャース戦で2安打して以来の地味な内野安打だったが「今までとちょっと(ボールの)見え方もまた変わったというような感覚がありますので。明日が楽しみですね」と筒香は明るい表情で話す。

 芯で捉えた2打席目の三直についてはこう説明した。

「抜けた時のことを思い、ここを辛抱してと。微調整はもちろんしているんですけど、大きくまた違った方向に(フォームを)変えることなく、辛抱強くやるだけかなと思います」

 相手野手の正面を突く強い打球が続く試合は、日本時代にもシーズン中に必ず訪れたという。強烈な打球が捕られ、打ち損じた打球が安打になるという、パラドクシカルな打席を経た筒香は、自身の打撃で最も大切なポイントに挙げる「しっかり待てる」体重移動になりつつあると実感している。

 4月の打率は.172。5月もここまで.180。数字的な躍進はないが、筒香嘉智は“自分の打撃フォーム”に着実に近づいている。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)