誰もが知っているロングセラーと聞いて、みなさんは何が思い浮かぶでしょうか。そんな愛すべき商品を料理家・奥田ここさんがお家で再現するという企画。今回挑むのは、桃屋の「ごはんですよ」。ご飯はもちろん、いろんなものにのせて楽しめますよ。

海苔は旨み成分の三役そろいぶみ、グルタミン酸・イノシン酸・グアニル酸のすべてが含まれている食材です。

グルタミン酸といえば昆布、イノシン酸といえばカツオ節、グアニル酸といえば干椎茸、いわば海苔はお出汁そのものの化身のような、海から届く旨み祭と呼びたいスグレモノ。和食でも、洋食でも、中華でも、如何様な食材とも寄り添ってくれる懐も味わいも深いです。

しおさい感じる風味とパリっとした食感の焼海苔でアツアツのごはんを包んで食べるときの幸福感、お蕎麦の上にたっぷりとひろげられた海原で啜る花巻そば、サラダにハラリとそえて旨みをアップなどなど、料理にそえるだけでぐんと美味しくしてくれる海苔を、主役に押しあげた一品、海苔の佃煮に今回はフォーカスします。

「ごはんですよ!」、とつい呼びたくなるそのネーミングとともに、1973年の販売スタートから約半世紀という長い間、多くの方に愛されてきたごはんのお供の定番、江戸むらさき「ごはんですよ!」が、今回の「素晴らしいロングセラーを作る」のお題です。

御年49歳を迎えるロングセラー「ごはんですよ!」をお家でトライです。

まずは、桃屋の「ごはんですよ!」についておさらい

原料は、海苔の産地として有名な伊勢湾や三河湾の厳選した青さ海苔を使用し、一般的な海苔佃煮よりも、煮込み時間が短いのが特徴。

青さのりの養殖風景

海苔本来の風味ととろりとした食感を味わえる佃煮に、カツオとホタテの濃厚な旨みも加えているそうで、ごはんのお供としてだけでなく調味料としても活躍してほしい、という思いを込められた一品。

桃屋の「ごはんですよ!」

本家本元には及ばずとも、今回はどこのご家庭のキッチンにも静かに出番を待っているであろう焼き海苔を材料に、お鍋ひとつでことことっと炊いて作る自家製「ごはんですよ!」のご紹介です。日々のごはんのお供として、ちょっとした肴として、おうちごはんのひとときをしみじみとさせてくれるひとしなです。

それでは早速作って参りましょう。

ごはんですよ!風海苔の佃煮の作り方

ごはんですよ!風海苔の佃煮

◆材料(作りやすい分量)
海苔…5枚
日本酒…75cc
出汁…200cc
醤油…大さじ2
みりん…大さじ1
はちみつ…大さじ1/2

海苔

◆作り方
1:海苔を2〜3cmほどサイズにちぎり鍋に入れ、日本酒を足し、浸す

海苔を2〜3cmほどサイズにちぎり鍋に入れた状態
日本酒を足して浸した状態

2:海苔がふやけたら、出汁と醤油とみりんを入れ、沸いたら火を弱めの中火にし、時々混ぜながら海苔を煮る
3:しゃもじまたはヘラで、鍋の苔をすーっとして、鍋底に一文字が書けるぐらいの状態になったら、仕上げにはちみつを入れ混ぜ合わせ、さらに1〜2分、火をとめて、出来上がり

ごはんですよ!風海苔の佃煮が完成!

歯ざわりをかき消した海苔も醍醐味

パリパリっとしたテクスチャーを信条とする海苔の、ひと味違った美味しさを堪能できる海苔の佃煮。しっとりとねっとりと口中に広がる海の味わい、歯ざわりの食感をかき消した佃煮も、海苔の楽しみの醍醐味です。

海苔は、味のついていないプレーンのものなら、何でもOK。湿気てしまった海苔でも大丈夫です。また、海苔1枚あたりの重さは約3g、一般的な四方サイズの海苔でなくても、形にとらわれず、お手持ちの海苔の重さを目安に作って頂いてもOKです。

海苔5枚で15g

まずは、ほかほかのごはんにのせてパクリ。またお刺身のツマとしてもグッドマリアージュ。買ってきたお刺身セットにもアドオンしたりなど、ひと味違った風味が楽しめます。

そして茹でたまごのトッピングとして添えたり、溶きたまごと一緒に混ぜた玉子焼きフューチャリング自家製ごはんですよ! というのもおすすめです。そして、海苔が大好きな方にぜひともおすすめしたいのが、海苔の佃煮を海苔のうえにのせて、くるんと巻いて食べる、海苔Wの歓喜、2つのテクスチャーが旨みと香りを一層引き立てます。

刺身のつまにも合う!
茹でたまごのトッピングにもよし

自家製ごはんですよ! は保存容器に入れていただき、冷蔵庫で1週間ほど保存可能です。保存したいときは、食べる際に直箸を避け、スプーンなどを使って取り分けながら頂きましょう。自家製ごはんですよ! ぜひお楽しみください。

文・撮影/奥田ここ

国内外各地の市場を「師」とあおぎ、旬の食材を中心にした和食及びイタリア家庭料理の料理教室を主宰。外国の方の参加や元築地市場や現在の豊洲市場で料理教室も開催、様々な場所とスタイルで開催するほか、各種媒体・広告へのレシピ提供や、食材産地の取材および食に関する話題の企画・執筆に加え、個別の要望に応じた出張料理や料理提案など、国内外問わず活動中。素材の味を大切にし、無駄なく使い切る献立作りを心掛けている。https://www.instagram.com/kokookuda/