「手のひらに透明のぶつぶつ」ができる原因をご存知ですか?医師が解説!

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手のひらに透明のぶつぶつがある時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が考えられる病気や何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
伊藤 礼司 医師(松江市立病院)

2013年香川大学医学部卒業。
島根大学医学部附属病院初期研修修了後、整形外科勤務、2018年に島根大学医学部附属病院皮膚科入局、2021年から松江市立病院にて一般皮膚科診療に従事。
日本医師会認定産業医。卒後臨床研修指導医。緩和ケア研修修了。

「手のひらに透明のぶつぶつ」の症状で考えられる病気と対処法

手のひらに透明なぶつぶつができる症状で考えられる病気には、接触皮膚炎などによる手湿疹、アレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、手の水虫である手白癬など様々です。これらは見た目が非常に似ており、判別は大変困難なのですが、原因に心当たりがあれば対処もしやすくなります。それぞれの症状とその原因、対処法についてお伝えします。

手のひらに透明のぶつぶつができる症状の原因と治し方

手のひらに透明のぶつぶつができる症状の原因の一つに手湿疹があります。

手湿疹

手湿疹とは手の皮膚への刺激やアレルギー反応などが原因で生じる皮膚炎です。手にできる接触皮膚炎と考えられています。症状としては、痒みを伴う紅斑(赤い発疹)が手のひらに生じ、次第に透明な小さい水ぶくれや膿疱と呼ばれる膿がたまったようなぶつぶつができて、悪化するとびらんになることもしばしばあります。手のひらに発症することが多いです。原因はさまざまですが、水や洗剤を使う家事、調理作業の他、何かしらの作業で手をよく使う職業に伴うものが多いです。家事をする主婦も多くみられることから主婦湿疹とも呼ばれています。
手湿疹の予防にはまずは原因となる刺激やアレルゲンを避けることが最も重要です。職業に伴う場合は、原因を避けることが難しい場合もあり、その場合は日頃のスキンケア(保湿等)が重要となります。
悪化した場合は治療する必要があり、ステロイド外用薬を適量を適度な頻度でしっかりと塗ることが基本です。症状が治らない、長く続く場合はひどくなる前に皮膚科を受診しましょう。

手のひらに痒くないが透明のぶつぶつができる症状の原因と治し方

手のひらに痒くないが透明なぶつぶつができる症状の原因には、手白癬(てはくせん)が考えられます。

手白癬(てはくせん)

手白癬は、白癬菌が手に感染して起こる病気です。白癬は水虫とも呼ばれます。手白癬の人は、足の水虫を合併していることが多いです。ぶつぶつができる、皮膚がかたくなる、カサカサと皮膚がむける、かゆみがないなどが症状の特徴です。手白癬の症状は他の疾患との鑑別が見た目では難しいため、皮膚科で顕微鏡検査をしてもらいましょう。手白癬は他人に感染する病気ですので、タオルの共用はやめましょう。

手のひらに痒くて透明のぶつぶつができる症状の原因と治し方

手のひらに痒くて透明のぶつぶつができる症状の原因には、アレルギー性接触皮膚炎といって、アレルギー反応で引き起こされる接触皮膚炎もあります。皮膚に触れた物質に対して免疫が過剰に反応して皮膚症状を引き起こす病気です。症状は、かゆみを伴うぶつぶつができたり、皮膚が赤くなったりします。
手のひらのアレルギー性接触皮膚炎を引き起こすアレルゲンには、ニッケルやコバルトなどの金属、樹脂、ゴム、除草剤などの農薬、キクやウルシなどの植物、抗菌外用薬などの医薬品などの可能性があります。アレルギーは原因物質の特定と除去が大切です。
アレルゲンに接触してから数日後に症状が出ることもありますので、症状が現れた時の状況を詳しく確認しておきましょう。症状が悪化している場合や生活に支障がある場合は早めに皮膚科を受診しましょう。

手のひらにかたい透明のぶつぶつができる症状の原因と治し方

手のひらにかたい透明のぶつぶつができる症状の原因は、掌蹠膿疱症などの可能性が考えられます。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

掌蹠膿疱症とは手のひらや足の裏に水ぶくれや膿が繰り返しできる病気です。でき始めはかゆみを伴うことが多く、しばらくするとかさぶたとなり剥がれ落ち、赤くなったりカサカサしたりします。膿が溜まったといっても細菌や真菌等が侵入してできる膿と違い、掌蹠膿疱症の場合は、細菌や真菌はいませんので、自分で水ぶくれや膿疱を潰したりしないようにしましょう。二次的に細菌感染などを生じるリスクがあります。
金属アレルギーが掌蹠膿疱症の引き金になった例が報告されており、疑わしい場合はアレルゲンの特定・除去を行います。また扁桃炎や歯周炎、慢性の副鼻腔炎などの自覚症状がないほど軽度の疾患がある場合、それらの治療を行うと掌蹠膿疱症の症状が改善する場合があることが知られていますので、他の疾患がないか調べ治療することも重要です。主な診療科は皮膚科です。掌蹠膿疱症は感染しない病気ですが、見分けにくい疾患として接触皮膚炎や水虫などがありますので、判別のためにも早めに皮膚科に行くことをお勧めします。

すぐに病院へ行くべき「手のひらに透明のぶつぶつ」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

手のひらに透明のぶつぶつがあり全身症状を伴う場合は、救急科へ

手のひらのみでなく全身に発疹が現れたり、皮膚が赤くなる症状、息苦しさなどの呼吸器症状、意識障害などがある場合は重篤なアレルギー反応であるアナフィラキシーの可能性があります。

アナフィラキシー

アナフィラキシーとは、アレルゲンの侵入により全身にアレルギー症状が現れる大変危険な反応で、血圧低下や意識障害を伴う場合はアナフィラキシーショックと言います。通常は食べ物や薬剤、ハチなどの毒で起こりやすいです。特に意識障害が現れる場合は危険ですので、すぐに救急車を呼びましょう。

「手のひらに透明のぶつぶつ」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「手のひらに透明のぶつぶつ」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

汗疱 (かんぽう)

汗疱とは、夏から春にかけて多く見られる、手のひらや足のうら、手足の指の側面に水ぶくれができる病気です。汗を大量にかいて汗腺が詰まり、皮膚内に溜まった汗が炎症を起こすことが原因と考えられています。水疱が破れて炎症を起こすと激しいかゆみや痛みを引き起こすこともあります。
患部をかかないようにし、早めに皮膚科を受診しましょう。ステロイド外用薬などが治療に使用されます。水虫と勘違いして水虫用の市販薬を使用すると症状が悪化することがあるので気を付けましょう。

手白癬(てはくせん)

手白癬とは、手に白癬菌が感染する病気です。白癬菌とは水虫とも呼ばれ、カビの一種です。水ぶくれができる、手のひらの皮膚がガサガサになるなどの症状が現れます。足の水虫や爪の水虫から感染して発症することも多くあります。手白癬が疑われる場合は、足の指や爪が白くなったり、ジュクジュクしていないか、水疱ができていないかなどをチェックしましょう。
対処法は水虫用の抗菌薬の使用ですが、水虫が原因でないのに誤って水虫用の薬を使用すると症状が悪化してしまうことがあるため、疑わしい場合は自力で対処せずまず皮膚科を受診し、白癬かどうかを調べてもらいましょう。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

掌蹠膿疱症とは、手のひらや足の裏に水ぶくれや膿が繰り返しできる病気です。スネや膝などに症状が現れることもあります。水ぶくれはでき始めにかゆみを伴うことが多く、その後茶色っぽいかさぶたになり、剥がれ落ちるという経過をたどります。発症の原因は詳しく分かっていませんが、喫煙や扁桃炎や歯周炎、ストレスと関わりがあるのではないかと考えられています。対処法は、水疱や膿を潰したりしないようにしましょう。また剥がれてくる角層を無理に剥がさないようにしましょう。禁煙をすることも大切です。治療法にはステロイド外用薬などの使用、紫外線療法などがあります。水虫と見た目が似ているため、疑わしい場合は早めに皮膚科を受診しましょう。掌蹠膿疱症であれば感染する可能性はありません。

手湿疹

手湿疹とは手のひらや手の甲、指などに赤みのある腫れや水ぶくれ、かゆみ、ひび割れなどの症状が現れるものです。ブツブツとした発疹ができたり、広範囲に広がることもあります。お湯や洗剤などの刺激により手の油分や水分を保つ機能が失われることや、金属やゴムなどのアレルギーによって発症する場合などがあります。刺激となる物質やアレルギーを引き起こす物質を特定・除去することが大切です。
食器洗いの際には木綿の手袋をしてからゴム手袋を使用するなどの方法があります。治療法としては、ステロイド外用薬の使用やかゆみ止めの内服などがあります。ステロイドは強い薬なので、医師の管理のもと使用しましょう。症状が気になる場合、良くならない場合は皮膚科を受診しましょう。

「手のひらに透明のぶつぶつ」があるときの正しい対処法は?

医療機関を受診する時間がなく、症状を一時的に和らげる目的でなら市販薬の使用は有効でしょう。
繰り返す炊事仕事や洗剤などの刺激による刺激性接触皮膚炎が原因の手湿疹であれば、ステロイドの外用は炎症を抑えるのに効果が高いと考えられます。オイラックスDX軟膏などにはステロイドが配合されており、手湿疹の症状を和らげる可能性があります。
ステロイドは強い薬ですので、あくまで医療機関に行けない間の一時的な処置として使用した方がいいでしょう。
手のひらの症状が、手白癬(手の水虫)が原因である場合はステロイドの使用は症状を悪化させることがありますのでやめましょう。手白癬の症状は非常に手湿疹の症状と似ており、医療機関でも顕微鏡を用いて皮膚片を観察し白癬菌がいるかどうかを確認しなければ皮膚科医師でも判断は困難ですので、一般の方が見た目で手白癬か手湿疹かを判断することは困難です。初めて現れた症状であれば特に医療機関を受診した方がいいでしょう。一度手湿疹と診断されて治療後、再発したものであれば比較的適切な対処が可能でしょう。
絆創膏は湿疹が悪化するので貼らない方がいいでしょう。塗り薬を使用した後はガーゼなどをあて、その上から綿の手袋をして保護するといいでしょう。
湿疹は触らないようにし、水泡や膿疱は自己判断で潰さないようにしてください。細菌が潰した際にできた皮膚の小さな傷から入り、感染を生じるリスクがあります。

「手のひらに透明のぶつぶつ」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「手のひらに透明のぶつぶつ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

掌に透明な水ぶくれがあるとき、何科を受診したら良いですか?

伊藤 礼司 医師

主な診療科は皮膚科です。

手のひらの透明のぶつぶつは皮膚の乾燥と相関関係はありますか?

伊藤 礼司 医師

乾燥は皮膚のバリア機能を低下させ、炎症や皮膚のトラブルを起こしやすくなります。皮膚が乾燥しないよう保湿剤を使用することは大切です。

ストレスが原因で手のひらに透明のぶつぶつができることはありますか?

伊藤 礼司 医師

ストレスは肌の状態と深く関連していると言われています。ストレスを感じると分泌されるホルモンは肌を乾燥させてしまうため、肌の乾燥は肌のバリア機能の低下を招き外部からの刺激に弱くなり、少ない刺激やアレルゲンで症状が現れやすくなります。ストレスを溜めないよう、また肌の保湿を心がけましょう。

指にできた透明なぶつぶつは病院できれいに治療できますか?

伊藤 礼司 医師

指にできた透明なぶつぶつは、どの程度きれいに治療できるかは個人差があり何とも言えません。できるだけ軽症のうちに治療を開始すると予後(経過)も良いので、症状がひどくなる前に受診しましょう。

子供の手のひらに透明のぶつぶつがある場合の原因を教えて下さい。

伊藤 礼司 医師

子供の手のひらに透明のぶつぶつがある場合は、接触皮膚炎、汗疱、イボ、虫さされなどが考えられます。

まとめ

手のひらの症状は非常に再発を繰り返しやすいことが知られています。きちんと治し切ることや、アレルギーが原因の場合はアレルゲンをしっかり除去すること、治った後も手指を清潔に保ち、手洗い後などは保湿をするなどのケアも重要でしょう。
手のひらの透明なぶつぶつは専門家でも原因を特定するのには顕微鏡検査が必要であることが多く、肉眼で見ただけでは非常に判別の難しい症状です。特に水虫かそうでないかは治療方針が大きく異なります。疑わしい場合はまず皮膚科を受診した方が良い症状と言えるでしょう。

「手のひらに透明のぶつぶつ」で考えられる病気と特徴

「手のひらに透明のぶつぶつ」から医師が考えられる病気は16個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

皮膚科の病気

手湿疹汗疱

手白癬

爪白癬

掌蹠膿疱症

疥癬

刺激性接触皮膚炎

アレルギー性接触皮膚炎

皮脂欠乏性湿疹

アトピー性皮膚炎

乾癬

光接触皮膚炎

稽留性肢端皮膚炎

リンパ腫

体部白癬

尋常性乾癬

多くは皮膚科で対応可能な病気ですので、改善しない場合や気になる場合には皮膚科で相談しましょう。

「手のひらに透明のぶつぶつ」と関連のある症状

「手のひらに透明のぶつぶつ」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

手の皮がむける手のひらがかゆい腕 ぶつぶつ

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小さな水ぶくれ・かゆみ湿疹・発疹【参考文献】
・掌蹠膿疱症(日本皮膚科学会)
・手湿疹診療ガイドライン(日本皮膚科学会ガイドライン)