トロフィーを手に笑顔を見せる渡邉彩香と夫で柔道家の小林悠輔さん【写真:Getty Images】

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ほけんの窓口レディース最終日

 女子ゴルフの国内ツアー・ほけんの窓口レディース最終日が15日、福岡CC和白C(6299ヤード、パー72)で行われた。2打差の単独首位で出た28歳の渡邉彩香(大東建託)が6バーディー、3ボギー、1ダブルボギーの71。通算11アンダーで並んだ高橋彩華(東芝)とのプレーオフを制した。2020年6月以来、約2年ぶりのツアー通算5勝目。昨年2月に柔道家の小林悠輔さんと結婚し、“ミセス初V”となった。観衆は4942人。

 渡邉は夫のもとに駆け寄った。18番グリーンの脇。胸に飛び込み、笑顔で熱いハグを交わした。「いやぁ、凄かったよ」と労いの言葉。これまで優勝争いをすれば、最終日に駆け付けてくれたこともあったが、全て優勝を逃した。初めて輝く姿を届けた。

「グリーンサイドで待っていてくれた姿を見た時はより嬉しさを感じたので、心強い存在だなと思いました。海外選手が優勝したらグリーン上で写真を一緒に撮るのを見ていたので、それが秘かな夢でもありました。まだ一回も目の前で優勝を見せていなかったので、目の前で勝ちたいと思っていました。大きな存在です」

 今季は出場9戦でトップ10に3度入るなど好調だったが、前週は初めて予選落ち。「予選落ちした後も珍しくいろんな話をして、開幕から抱えていたもどかしい気持ちを伝えました」。思い切ってぶつけた悩み。優しく受け止めてくれた夫からこんな言葉が返ってきた。

「やっている本人は大変だと思うけど、俺からすれば、そうやって上を目指しながらアスリートとしてそんなに悩めるのは幸せなことだと思うよ」

夫の言葉で悩みを解消「同じアスリートとして気持ちをわかってくれる」

 同じアスリート。渡邉は思い悩み過ぎずに戦うことを決めた。「その言葉が印象に残っているし、大きい一言だった。同じアスリートとして気持ちをわかってくれるのは大きいです」。心に決めたのはシンプルなスタイル。「守るのはできないタイプ。最初からガンガン攻めていこう」と持ち前の思い切りの良さを発揮した。

 5番まで4バーディーで独走モードに入ったと思われたが、8番第1打を右にOB。10、11番、15、16番の2度、ボギー、バーディーを繰り返した。17番でも落とし、高橋とプレーオフ。ショットは荒れたが、最後は15メートルのロングパットで勝負を決めた。

「勝っても負けても、終わった時に一つも後悔のないプレーをしようと思っていた。最後まで攻める気持ちでいられたと思います。もうベテランの感じがあるけど、日本のツアーで頑張っている以上は一番になりたい。まだ試合はあるのでそこを目指して頑張りたい」

 28歳。今年24歳になる黄金世代を筆頭に、若手が次々と台頭する女子ツアー。攻める飛ばし屋が立ちはだかる。

(THE ANSWER編集部)