エアコンには「プロパー商品」と「オリジナル商品」の二つがある

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家電コンサルのお得な話・80】 夏本番に向けて、取り付けがすぐにできる今、余裕を持って備えておきたいのがエアコン。暑い夏に欠かせない家電製品だが、このエアコン選びが結構難しい。そこで、エアコン選びのポイントを整理してみた。

 

●オリジナル商品化が顕著なエアコン



 家電製品には、プロパー商品とオリジナル商品があり、さらにオリジナル商品は「メーカーブランド」と「家電量販企業ブランド」の二つに分けられる。このオリジナル商品の台数比率が高まると、家電量販企業ごとに取扱商品が異なってしまい、特にエアコンは、このオリジナルの流れが顕著に出ているカテゴリーだといえる。

 そのため、昔のように購入したい機種の型番を指定し、家電量販店各社で比較しながら「どこの量販店が安いか?」という価格を中心とした比較がしにくくなっている。

 オリジナル商品は、メーカーのプロパー商品に「何らかの機能を付加する」のが一般的だが、画期的な機能ではなく、「小さな便利機能」を付加するケースが圧倒的に多い。このオリジナルをつくることで、メーカーにとっては契約台数を必ず仕入れてもらえるし、家電量販企業は「他社にない付加価値商品」として値崩れを避けられるので、双方にメリットが生じる。

 こうなると、メーカーと家電量販企業の商談では「オリジナル商品の条件が主となり、その原型であるプロパー商品の条件は悪くなる」ことが考えられる。つまり、メーカーのプロパーのエアコンは値引き率が低くなるということである。

●「購入特典」がさらに複雑に



 このエアコン本体の複雑さに加え、「購入特典」がエアコン選びをさらに難しくしている。購入特典の内容は、各家電量販企業間でそんなに大きな違いはないものの、「当社指定機種」という縛りがあり、ミドル以上の機種が対象となることが多く、安価な商品やプロパー商品の一部は対象外となることが多い。結果として、特典対象外の商品は工事費などが正規料金となるため、どうしても割高になってしまうのだ。

 こうした現状を踏まえると、エアコン選びは、昔のように「同一型番に対して、価格が安い・高い」で購入店を決めることは現実的に困難。アフターサービスや企業の信頼性で購入候補の家電量販企業を絞ることから始めることをおすすめする。

 その上で「必要な機能とオリジナル機能、価格」を比較し、「自分の生活にあったエアコンを選ぶ」のが一番納得のいく買い物になるだろう。十分に時間のある今だからこそ、慎重に検討していただきたいと思う。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)

堀田泰希

1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。