国産「プリンセスサリー」を使ったスリランカ料理(東京都内で)

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 世界の米流通で主流の長粒米の国産化を探るプロジェクトが進む。取り組むのは農水省の若手職員。国内栽培に適した長粒品種「プリンセスサリー」の強みや課題を分析し、2年目の本年度は、海外で販売実証に臨む計画だ。日本で一般的な短粒種にはない香りや食感を生かし、新しい国産米の需要を生み出そうとしている。

 同省の若手職員が政策立案する「政策オープンラボ」で、入省10年前後の職員が昨年度から取り組む。米の輸出拡大が課題となる中、世界の米流通の多くを占める長粒種に可能性を見いだした。

 1年目に東京とシンガポールで米卸やレストラン業者を対象に試食を行ったところ、高評価を得たのは香りだ。「プリンセスサリー」はインドの高級香り米「バスマティ」の流れをくむ品種でポップコーンのような香りがする。試食会の評価は、米飯の香りはバスマティと同等以上で、パックご飯もタイ産ジャスミン米と比べ高かった。一方、食感は粘りが多少ありインド産と比べてパラパラ感が少ない。香り米初心者にはなじみやすいが、カレーなどの調理にはインド産が向くとの評価が多かった。

 2年目は生産と販売の実証をさらに進める。協力農家を増やし、生産面の課題を探る。販売面では、世界の米販売に詳しい海外の専門家の協力も得る構想だ。麺加工にも挑戦したい考え。プロジェクトを束ねる入省11年目の伊藤直樹さん(就農・女性課)は「香りという従来の日本米にはない強みがある。日本産香り米としてブランド化できるか、海外で日本産長粒米がどう評価されるかを探りたい」と力を込める。

<ことば> 長粒米

 世界の米生産量(精米換算)は約5億トン。長粒米は生産量の8割、貿易量の9割を占める。香り米としては、タイのジャスミン米やインドのバスマティ米が有名だ。日本では短粒種がほとんどで、長粒種の生産量はわずか。近年、スパイス料理やアジア料理の人気で長粒米を使う料理店も多いが、大半が海外産を使っている。