ウィリアム王子は5月10日(現地時間)、妻キャサリン妃とともに、2017年5月にマンチェスターで起きた自爆攻撃の犠牲者を悼む記念碑の除幕式に出席した。

マンチェスター大聖堂の前に設置された追悼記念碑「グレード・オブ・ライト」の前でスピーチを行った王子は、自らも近親者を失う悲しみを経験したひとりとして、遺族に向けて次のように語った。

「キャサリンも私も、残虐な行為が与えた影響は一生涯、さらにそれ以上にわたって続くこと、そして癒しのプロセスがいまも続いていることを理解しています」

「私たちは常に、苦しんでいるすべての皆さんのことを思っています」

「私自身も、悲しみとともに生きるひとりとして、よく知っています。遺族にとっては、失った家族が忘れられていないということが、何より重要なのです」

15歳だった1997年、パリで起きた交通事故で母ダイアナ元妃を亡くした王子は、さらに次のように続けた。

「(亡くした家族を)しのぶことに、慰めがあります。ひどく短い人生にはなってしまったものの、亡くなった家族は生きていたと、確認することに」

「彼らは私たちの人生を変えました。彼らは愛されていました。いまも、愛されています」

「だからこそ、『グレード・オブ・ライト』のような記念碑はとても重要なのです。キャサリンと私が今日、皆さんとともにここに来たいと思ったのは、そのためです」

アリアナ・グランデのコンサートが行われていた会場で起きた自爆攻撃では、数百人が負傷、16歳未満の子ども6人を含む22人が死亡した。実行犯のサルマン・アベディは、終身刑を受け、収監されている。

ウィリアム王子は弟のヘンリー王子とともに、ケンジントン宮殿のサンクン・ガーデンにダイアナ元妃の像の設置。昨年7月には、兄弟そろって除幕式を行っている。

ウィリアム王子はここ数年、自らの悲しみを明かすようになった。今年1月に訪問したランカシャーのバーンリーにある慈善団体、チャーチ・オン・ザ・ストリートでは、昨年28歳の母親を亡くした11歳のディーコン・グローバー君と会い、「気持ちはよくわかるよ。少しずつ、楽になるよ」と語りかけていた。

一方、ウィリアム王子は10日、初めて祖母エリザベス女王の名代として、イギリス議会開会式に出席した。『デイリー・メール』紙によると、歩行に問題があるとして公務への出席を取りやめることが続いている96歳の女王は、この“歴史的”な瞬間をウィンザー城で、テレビで見守っていたとのこと。

バッキンガム宮殿の広報担当者は9日、女王は担当医との相談の上、不本意ながら議会開会式を欠席することを決断したと発表した。70年に及ぶ在位期間のうち、女王が議会開会式への出席を見送ったのは、59年ぶり。前回は末子エドワード王子を妊娠中の1963年のことだった。

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