【番外編】大阪バーホッピング3選〜児島麻理子の「TOKYO、会いに行きたいバーテンダー」〜

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お酒業界での広報歴12年!児島麻理子が、実力派のバーテンダーをご紹介します。第43回目は番外編の第2弾!旅先でのバーの楽しみをお届けします。訪れたのは、再開発が進む大阪府の北エリア。北新地のバーをホッピングします。

1軒目は…〈CRAFT ROOM(クラフトルーム)〉

バーテンダー・藤井 隆さんバーテンダー歴:19年生年月日:1983年5月15日星座:牡牛座血液型:B型趣味:ビリヤード個人的おすすめ店:〈La Canro(ラ・カンロ)〉のシェフがカクテル好きで、ソース使いはまさにカクテル。見た目も美しいフレンチが味わえます

北新地は、東京でいう銀座のような場所。一方、駅直結の地下街には昔ながらの大衆酒場が並びます。ふるさとビルこと「大阪駅前第一ビル」もそのひとつ。その中にひとつ異彩を放つバーを展開しているのが、世界的なバーテンダーの大会で準優勝などの経歴を持つ、藤井 隆さんです。いざ、ザ・居酒屋の世界からクラシックなアメリカのムード漂うバーの世界へ。

Q.お店のコンセプトはなんですか?

藤井さん「クラフトルームは”針子さんの作業場”という意味で、1920年代頃のアメリカの作業場をイメージした空間です。アメリカはカクテル文化が育った場所としてリスペクトがありますし、自分自身、アメリカが好き。世界大会に出場した地もアメリカだったりと縁があるんです。色々なお酒を置いていますが、ビールはアメリカのもので、料理はパイとかキューバンサンドウィッチなどクラシックなアメリカ料理だけ。かけている音楽も当時のものです。ちょっと〈ディズニーランド〉みたいな雰囲気もありますよね。この地下街の並びからの意外性も楽しんでほしいです」。

Q.どんなカクテルが味わえますか?

藤井さん「クラシックからノンアルコールまで揃えていますが、どのカクテルにも全てうちのエッセンスがなにか入っています。ハイボールでもウイスキーは、数種類を混ぜてハウスブレンドにしていますし、自家製のものもよく使います。ノンアルコールは、苦味や渋味だったりとお酒が入っていると思わせるような要素を入れていて、ラズベリーとエスプレッソ、ピスタチオと煎茶みたいな組み合わせを楽しんでもらえます。お客様が気軽に楽しみながら、お酒の世界が広がっていったらいいなと思って、一般的でないお酒もカクテルにいれたりしてますね」。

Q.大阪の街の魅力はなんですか?

藤井さん「南は大阪らしい食い倒れの街で、北はより多様性がありますね。ここ北は道1本挟むだけで雰囲気が変わりますし、店が大量にある。この地下街は大衆的なんですが、パリッとした北新地に向かう人がいたりと、いろんな方がいらっしゃるのがおもしろいですね。大阪のバーの特徴は、やっぱりよくしゃべること。バーテンダーだけでなく、お客さん同士もよくしゃべるんです。そこで盛り上がることも多いですし、いろいろな出会いが起こりやすいのは大阪ならではですかね」。

ノンアルコールカクテルの「ピスタチオと煎茶」1,200円テーブル席の横にある書棚に置かれたアンティークのスピーカー。昭和感あるフロアマップ。バーがあるのは地下街の一角。

藤井さんのいるバーはここ

20世紀前半のアメリカの作業場をイメージし、石壁の間にシンプルな木のバックバーが設えられたインダストリアルな店内。カウンターの奥には、本やスピーカーが置かれた書斎のようなテーブル席があり、居心地のよい部屋のような雰囲気を作り出している。

大阪府大阪市北区梅田1-3-1 B2-70 大阪駅前第一ビル06-6341-860116:00〜24:00 ※状況に応じて営業時間は変更になります。

2軒目は…〈PENDLUM CLOCK(ペンディウム クロック)〉

バーテンダー・瀬川 亮さんバーテンダー歴:14年生年月日:1987年7月25日星座:獅子座血液型:A型趣味:バイクでツーリング個人的おすすめ店:鶏割烹の〈結鳥〉。カウンター6席のみのバーのような空間で、オーナー竹内さんの繊細な鶏料理を楽しめます

地下街を抜けて、北新地へ。話題のウイスキーとジンのお店があると聞き、ビルのエレベーターを上がると、白く美しい回廊と猫の足跡が。その足跡をたどるとバーの扉が現れます。数々の名店を経験した瀬川バーテンダーの世界観が広がる空間です。

Q.こちらのバーの特徴を教えてください!

瀬川さん「18世紀のイギリスで”ジンクレイズ(狂気のジン時代)”というジンの暗黒時代がありました。それを代表する絵として、”ジンレーン(ジン通り)”というウィリアム・ホガースの作品があるのですが、僕はホガースは実はジンが好きだったんじゃないかと思っていて。ここは彼の邸宅のイメージで、屋敷にあったかもしれないジンやウイスキーのコレクション、そして象徴的なものとして柱時計を置いています。入り口に黒猫の絵を置いていますが、当時はお酒の密売のシンボルが黒猫の看板だったことから。猫はホガースの家に出入りしていたというイメージで足跡も床に描いているんですよ」。

Q.ジンの魅力はなんでしょう?

瀬川さん「マティーニの勉強をしていたころ、ジンとヴェルモットのこのカクテルのジンをもっと追求したいと思ったのがジンに魅了されたきっかけです。ジンの基調であるハーブやスパイスの香りはさまざまな複雑性が出せます。150種類ほどありますが、どのジンとの良い出会いをしていただきたいので、ジントニックはトニックウォーター2種類を混ぜて、ジンが最も美味しくなるように比率を調整していたり、自家製のシロップやクラフトコーラで割る提案もしています。薬草酒であるジンはフードとの相性もいいんですよ。例えばカプレーゼに、バジルの風味をジンで補助して合わせるようなペアリング提案をしています」。

Q.大阪の街の特徴はありますか?

瀬川さん「南エリアと北エリアとでぎゅっとコンパクトに街がまとまっていて、行き来しやすいことは魅力ですね。近いエリアにお店が集まっているので、お店同士の情報が早くて、結束力もあります。バーでおすすめの料理店を聞くようなことってあると思いますが、大阪のバーテンダーが薦めるお店って、直接そのお店の人と繋がっていて、本当に仲がいいようなお店を勧めてくれると思います。街全体でもてなしてくれると思うので、大阪をぜひ楽しんでください」。

ジャケット姿が麗しい瀬川さんにお会いした後は、通りを2本挟んだ先のオーセンティックなバーに向かいます。

自家製クラフトコーラを使った「アロマティック ジンリッキー」1,320円猫の足跡に導かれてエントランスへ揺れる振り子が心地よい。

瀬川さんのいるバーはここ

バックバーの中央には古い邸宅を思わせる振り子時計(PENDULUM CLOCK)が備えられ、クラフトジンやウイスキーを中心に18世紀当時のイギリスで飲まれていたようなお酒のラインアップが揃う。アラカルトでカクテルとフードのペアリングが楽しめるほか、事前予約でフルコースでのペアリングも提供。

大阪府大阪市北区曾根崎新地1-11-4-4F06-6442-713817:00〜翌5:00 ※状況に応じて営業時間は変更になります。

3軒目は…〈BAR BESO〉

バーテンダー・大場 海人さんバーテンダー歴:7年生年月日:1989年12月6日星座:射手座血液型:A型趣味:ゴルフ。ベストスコアは84!個人的おすすめ店:イタリアン〈タヴェルネッタ•ダ・キタヤマ〉。オッソブーコのサフランのリゾットがおすすめです

北新地のオーセンティックバーは、キリッとしていながらも肩肘はらないリラックス感があるのがその魅力。大阪を代表するバーのひとつである〈BAR BESO〉もそんなお店のひとつです。ロンドン留学経験を経て、大阪で腕を振るう大場バーテンダーが、人懐っこい明るい笑顔で出迎えてくれます。

Q.お店の特徴を教えてください。

大場さん「カクテルバーとして、クラシックカクテルやフルーツカクテルまで出しているオーセンティックバーですが、オーナーの言葉を借りると『洋風一杯飲み屋』。カクテルを出してますけど、結局は飲んで食べる居酒屋じゃないかと思っているんです。これは大阪のバーの特徴でもあるかと思うんですが、カクテルもウイスキーも飲みたいし、フードも食べたいというお客様がいて、それに応えたいというバーの気持ちがある。だから大阪のバーはフードが充実してるんです。うちも『ヒレカツサンド』『焼きそば』などの名物がありますよ」。

Q.どんなカクテルを作るのが好きですか?

大場さん「クラシックカクテル作るのが一番好きです。たとえば『ダイキリ』は、飲むのも作るのも好き。過去にラムメーカーのバカルディの大会で2年連続日本ファイナルに進出したこともあり、ラムに親近感があることもあります。その大会のときには、挑み続けたいという思いから、美しい姿の闘牛を表現した『La Corrida』というカクテルを作ったのですが、そのインスピレーションになったのは、お店の壁に長年飾ってあった闘牛のポストカードだったんです。身の回りのものが刺激となってカクテルになることもありますね」。

Q.大阪の良さはなんですか?

大場さん「海外っぽさがあると思います。オープンだし、ラテンっぽい。外国人がきて、ディープな居酒屋さんに行ったとしても、『兄ちゃん、どこからきたんや』みたいに声かけて、その場でみんなで一緒に飲めるみたいなところがあると思います。そういう距離感の近さは魅力ですよね。ぜひお一人でも大阪の街に遊びに来て欲しいです。バーは街のコンシェルジュだと思っているので、訪れたときはぜひバーテンダーにおすすめを聞いてください。ローカルの人がいくような間違いない店を教えてくれると思いますよ」。

ラムベースのクラシックカクテル「ダイキリ」1,600円楽しそうにカクテルを作る大場さん。店内の壁には絵画やデッサンが並ぶ。

大場さんのいるバーはここ

入り口から地下に広がる階段を降りると、重厚な木調のカウンターとその奥にテーブル席が広がる。オーナーは大阪を代表するバーテンダーのひとり、佐藤章喜バーテンダー。旬のフルーツカクテルからウイスキーまで楽しめる。

大阪府大阪市北区堂島1-3-3506-4256-623217:00〜24:00 ※状況に応じて営業時間は変更になります。