カブス・鈴木誠也【写真:Getty Images】

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選球眼抜群の鈴木誠也が…好機でまさかの「悪球スイング」

 カブスの鈴木誠也外野手は4日(日本時間5日)、本拠地で行われたホワイトソックス戦に「2番・右翼」で先発出場。好機で迎えた終盤の第4打席で一邪飛に倒れるなど4打数無安打。打率は2割5分へと落ち込んだ。カブスは本拠をシカゴとするライバルとの2連戦に連敗し、今季最多の借金「6」を背負った。

 デビッド・ロス監督は試合前の会見で「タイミングがちょっと合っていないだけ」と鈴木の打撃を見据えた。実際、6回の第3打席では、シャープな振りを見せた。好投する先発ジオリトの直球を真芯で捉えセンター返しを狙ったが、ベース寄りにシフトしていた二塁手ガルシアのグラブに収まる不運な一打だった。しかし、期待が膨らんだ8回の第4打席で、鈴木は自制を欠いた“らしからぬ”悪球打ちで、反撃の勢いを失速させてしまう。

 1点を追う8回裏、この試合初めての連打で1死一、三塁の好機を作り、鈴木に打席が回った。対峙したのは、代わったばかりの救援右腕フォスター。高めの直球に2球連続してバットが空を切る。ファンのため息が収まった直後の3球目、高めのゾーンを外れる外角直球を打ちに出たが、押された打球が敵軍ベンチ前に上がり一塁手シーツが捕球。塁を詰めるためスタートを切っていた一塁走者の俊足マドリガルは、スライディング体勢から切り返し慌てて帰塁した。

 見逃せば明らかなボールだった。鈴木は会見を行わず、ロス監督がその場面を振り返った。

「追い込まれたカウントだった。(2球連続の空振りで)相手投手の高めのストレートがいいことは分かっていたはず。なので、セイヤはその球にやられないようにということで捉えにいったんだと思う」

 野球センスにあふれる鈴木だけに、指揮官の言葉もすんなりとは腑に落ちなかった。

「何とか早く打ちたい」不振脱出への思いが状況判断を鈍らせた?

 スタートを切る一塁走者を二塁で刺そうとすれば、三塁走者の本塁突入も考えなければならないケース。この状況と一塁走者の好スタートからすれば、二盗成功の確率はかなり高かった。本来の鈴木であれば、肩の高さに来るボール球には自重できたはず――。

 拙攻が、試合前に発した鈴木本人の言葉と重なってくる。

 2日(同3日)に発表された、4月のナ・リーグ月間最優秀新人に選出されたことについて、鈴木はこう答えている。

「うれしいですけど、今の状態が良くなさ過ぎるので、そこよりも早く何とか打ちたいなという気持ちの方が強いです」

 打ち気と鈍った状況判断とはまったくの無関係ではあるまい。窮地でボール球を有効に使いアウトを稼いだフォスターに、次打者のハップは見逃し三振に仕留められ、傾きかけた流れを断ち切られた。

 今季最多の借金「6」を背負い、ナ・リーグ中地区4位に沈んだカブス。5日(同6日)は試合がなく、翌日からは強敵ドジャースを迎え撃つ。真価が問われる好カードで、鈴木はどう立て直してくるだろうか。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)