さいたま市が埼玉高速鉄道の延伸へ向け、調査を本格化させます。中間駅のまちづくりに関する調査もスタート。鉄道会社側では車両増備の検討に入るなど、実現に向けた動きが加速しています。

埼玉高速鉄道の「未来」 何やら一気に動きだしたぞ

 浦和美園から岩槻へ、埼玉高速鉄道の延伸構想が、2022年度から具体化へ向け一気に加速しそうです。

 さいたま市が2022年度の予算に、「地下鉄7号線延伸促進事業」として計1億6697万円を盛り込みました。うち延伸計画調査費は1億800万円で昨年度から大幅に拡充、さらに「中間駅土地区画整理事業調査業務」として5897万円が新設されています。


埼玉高速鉄道の2000系電車。20年前の開業時に揃えられた(恵 知仁撮影)。

 埼玉高速鉄道も2022年度からの中期経営計画で、「令和5年度(2023年度)中に自治体から岩槻延伸事業の実施を要請される予定」としています。さらに「相互直通運転各社局の8両編成化に伴う新造車両の導入」、そして「岩槻延伸に向けた車両の増備の検討」とも記載。2023年春には東急新横浜線が開通することで、埼玉高速鉄道の相互乗り入れ区間が拡大しますが、すでに「その先」を見据えているようです。

 東京メトロ南北線と相互直通運転を行う埼玉高速鉄道は、赤羽岩淵〜浦和美園間の開業から今年で21年。これをさらに北へ、東武野田線(東武アーバンパークライン)の岩槻駅を経て、JR宇都宮線の蓮田駅まで延伸させる構想は、2016(平成28)年の交通政策審議会においても「必要な検討が進められることを期待する」と答申されていました。

 さいたま市は延伸協議会を発足し、各種調査を進めていましたが、2021年には県の調整のもと、県と市が協働し岩槻までを先行区間として実現に取り組む方針で合意していました。

 ただ答申では、沿線開発や人口の増加に向けた取り組みが求められる、とされていました。そこで立ち上がったのが、さいたま市の新規事業としての「中間駅土地区画整理事業調査業務」です。

焦点となる「目白大学」

 現状、浦和美園〜岩槻間には、中間駅として「埼玉スタジアム駅」と「中間駅」の2駅が構想されています。さいたま市の未来都市推進部によると、今回の調査対象は、ここでいう「中間駅」のほうです。

「地下鉄(埼玉高速鉄道)の調査も同時並行で進めていくので、ルートや駅の場所が具体に決まっているわけではありませんが『目白大学周辺』としています。ある程度見込みを立てて、その周辺の開発を検討し、地下鉄が延びてきた時点で、ある程度まちづくりが進んでいる状況を想定しています」(さいたま市 未来都市推進部)

 この目白大学(さいたま岩槻キャンパス)があるのは、浦和美園と岩槻のちょうど中間。現状では農地が多く、キャンパスは森に囲まれたような形になっています。


目白大学周辺(画像:Google earth)。

 埼玉高速鉄道の延伸事業については、前出の通り2023年度に鉄道事業者(埼玉高速鉄道)へ事業実施申請を行い、翌年に事業者から国へ事業申請、2025年度に都市計画手続きの事前協議というスケジュールが立てられています。

 中間駅周辺のまちづくりについても、2023年度には区画整理事業計画の素案を作成し、2025年度に都市計画手続きに関する事前協議と、鉄道延伸に歩調を合わせる構えです。国への鉄道延伸の事業申請にあたり、開発を踏まえた需要予測も盛り込むことで、求められている沿線人口増などの課題を解決する狙いだといいます。