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佐々木朗希さん、あなたの夢は何ですか?

令和の野球観を問われるような出来事でした。17日に行なわれたプロ野球の千葉ロッテマリーンズVS北海道日本ハムファイターズの試合で、2試合連続完全試合という可能性を残した状態の佐々木朗希さんが9回のマウンドにあがることなく降板しました。「相手に打たれて終わる」でも「味方が打てずに終わる」でもなく「可能性を残したまま降板して終わる」という形になるのは意外で、個人的には残念でした。





「残念」などと言うと、理性的で賢い人から「愚かな野蛮人」と非難されたりするのかもしれませんが、個人的にはいまだかつて誰も成し遂げたことのない「2試合連続完全試合」や「延長10回完全試合」や「延長12回引き分けで完全試合ならず」といった出来事を現実として見てみたかったという気持ちはあります。結果がどうなるかはわかりませんが、どうなるかわからない挑戦を見届けたかったという気持ちは率直に言ってあります。

もちろん佐々木さんに怪我をさせたいという意図は毛頭ありませんが、野球というのはそもそもが「ゼロではないリスク」と向き合いながら、どこまで攻めてどこで退くかを考えながらやるもの。9回でなくても8回でも7回でも、100球でなくても80球でも1球でも、常にそのリスクはあります。佐々木さんだけでなく全選手にそのリスクはあります。野球で故障をしないためには「野球をやらない」のが唯一の方法であり、リスクのみを考えるのは違うかなと思います。

夢と、リスクと。

そのバランスのなかで考えるべきことだろうと思うのです。

リスクの面はもちろん高まっていました。これまで100球を超えて投げるようなことはさせてこなかった投手で、しかも160キロを連投するような異次元の投手です。160キロ超えの投球動作が、疲労が出てきたところで身体にどういう影響を与えるかは、誰にもわからないところ。投げれば投げるほどより高いリスクと向きあうことになったでしょう。まだ20歳でもあり、一般論として身体が完成するのはもう少し先のこと。まだ育成中の選手であるという姿勢を崩さず、降板を決めた首脳陣はブレない判断をしたと思います。

むしろ、寂しく感じるのは「この夢の思いがけない軽さ」を突きつけられたからかもしれません。「2試合連続完全試合」というのは大した出来事ではないんだという現実に気づいてしまったとでも言えばいいでしょうか。「リスクを負って挑むほどのものではない」と本人も含めてチームが判断した姿を見ると、完全試合で盛り上がっていた自分がスンと鎮まっていくのです。「ついでにできたらラッキー」程度のオマケの記録だったんだなと悟ってしまうようで。夢と思っていたものは、実は夢ではなかったんだと告げられたようで。

続投しても達成できなかったかもしれません。多分できなかったでしょう。ロッテ打線はまったく打ちませんでしたし、1点を絞り取りに行く攻めもできていませんでした。選手を守るという面で賛辞が並ぶ井口采配は、「勝つ」ための攻撃面に関しては無能無策でした。走者を置いてレアードマーティン、走者を置いてレアードマーティン、バントで送ってそのままエチェバリア……。これで記録を狙えば10回、11回、12回とマウンドに引きずり出され、記録も達成できず、リスクだけを負う「見殺し」になった可能性はかったと思います。

ただ、それでも、「9回まで完全に抑えて、サヨナラ勝ちしなかったら、もうやめよう」というワンチャンスへの挑戦まであってくれたら、もう少し違う気持ちにもなれたのかなと思うのです。やる側に夢への心残りがあったことを、見る側も共有できたと思うのです。挑まない・挑ませないことで、そんなに大した夢ではなかったんだなと気づかされずに済んだと思うのです。途中まで盛り上がっていた自分が少し恥ずかしくなります。勝手にコッチだけ盛り上がってしまったな…と。

↓完璧に抑え込まれてる相手方の監督が降板に頭抱えるってのも逆な気がしますけど、それぐらい残念でした!




だからこそ、この機会に佐々木さんの夢を聞いておきたいなと思うのです。佐々木さんはひとつしかないこの生命と身体でどんな夢を目指しているのでしょうか。ロッテを日本一にすることでしょうか。メジャーでの活躍でしょうか。世界一の投手でしょうか。「世界一」を測るモノサシは勝ち星なのか活躍年数なのかお金なのか……どんな理想像を目指しているのでしょうか。

いつか成し遂げたいその夢の話を聞けたなら、今はその通過点として、少々珍しいことが起きそうになっても、ブレずに夢への後押しをできると思うのです。世間の人が思っているように「メジャーで大活躍」が夢であるのならば、たとえば「この試合に勝てばロッテが日本一、負けたら終わり」という試合の途中で、100球を超えたからと交替を告げられるようなことがあったとしても、もっと大きな夢への通過点としてロッテファンにも堪えてもらうことができると思うのです。大船渡高校の仲間たちがそうやって送り出してくれたように。

松坂大輔さん、和田毅さん、藤川球児さん、田中将大さん、ダルビッシュ有さん、大谷翔平さんなどなど行く選手行く選手が次々にヒジを痛めており、行けばかなりの確率で怪我すると思われるメジャーリーグへの挑戦も、それが夢であるならば頑張ってこいと後押しできると思うのです。大切に大切に育てた宝物を、「行けばかなりの確率で怪我する」メジャーリーグに送り出すというのも奇妙な話ですが、夢とはそういうものですから致し方ないと思います。

プロ野球は夢を見せる仕事。

夢がなければ野球などただの「球投げ棒打ち」でしかありません。何の役にも立たないボール遊びです。夢があり、挑戦があるから、その遊びは光輝くのです。僕の寂しさや、SNSでの賛否両論は、たぶんお互いの「夢」が少しズレているのでしょう。甲子園を目指す試合で登板させなかったことが英断と讃えられ、プロ野球史上初の偉業への挑戦を打ち切ったことが英断と讃えられるのも、もっと大きな夢が先に見えていればこそなのだと思います。

だから、もっと大きな夢の話を佐々木さん自身の言葉で聞かせて欲しい。今この少しの寂しさを大きな夢でかき消して欲しい。その夢を応援することは、もしかしたら「日本プロ野球ではその夢は叶わない」ということを静かに追認する格好になってしまうかもしれませんが、すべてはそれぞれの人生です。自分自身の大きな夢に向かって頑張って欲しいと思います。千葉ロッテも、全力でその夢を支えていって欲しいと思います。地球一のピッチャーが地球一と認められるまでに通り過ぎるステップのひとつとして。

↓本人が心から納得しているのなら、それを尊重します!この先のさまざまな決断も!

まぁ、そのうちまた完全試合はできますよ!

ロッテさえちゃんと打てば!

自力でできる「完全イニング」継続を次戦も頑張ってください!



「打たない味方が悪い」の空気が生まれたことは、よい変化だと思います!