津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金を活用して福島県双葉郡楢葉町に工場を建設していた

 アンフィニ(株)(TDB企業コード:570280469、資本金2億4400万円、大阪府堺市堺区熊野町東1−1−2堺大小路ビル4階、代表親川智行氏ほか1名)は、4月13日付で東京地裁より再生手続き廃止決定を受けた。今後、破産手続きへ移行する見込み。

 保全管理人には、監督委員だった高木裕康弁護士(東京都千代田区丸の内3−3−1新東京ビル225区、東京丸の内法律事務所)が選任されている。

 アンフィニ(株)は、1995年(平成7年)12月に設立。設立当初はリサイクルされたシリコンウエハーの原料・製品を軸にした再生資源の販売を行っていたが、その後、「Japan電力」ブランドでの新電力(PPS)事業を主体に、発電所事業や太陽光発電システムの製造販売(PV)事業を手がけ、ピークとなる2017年3月期には年売上高約165億9700万円を計上。一時は上場も視野に入れていた。

 国内市場の成熟に合わせ、ニーズに対応した発電モジュール製造を手がけるため、「津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金」(約48億円)などを活用して約75億円の投資を行い、2017年7月に福島工場(福島県双葉郡楢葉町)を開設。補助金の条件となっていた60名を超える地元雇用を生み、同年10月に本格稼働していた。

 しかし、2018年以降は中国製の太陽光発電機器の余剰在庫が流入したことで市場価格が急落し、当社の福島工場の製品は価格競争力を失い、大幅な在庫を抱えるなど販売計画に狂いが生じていた。さらに、PPS事業においても2020年12月以降の電力市場価格高騰により電力調達コスト負担が増加したことから、大幅な欠損を計上。その間、取引金融機関に対し返済猶予(リスケジュール)を要請するなどで資金繰り改善に努めていたものの、自主再建を断念し、2021年9月30日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請していた。

「Japan電力」ブランドのPPS事業などは吸収分割により別会社へ承継していたが・・・

 スポンサー支援による事業の再建を模索するなか、2022年2月14日付でPPA事業を、2月15日付で主力のPPS事業を、それぞれ吸収分割によりスポンサー企業へ承継。福島工場におけるPV事業についてもスポンサーを募っていたが、再生計画を策定するにあたって必要な弁済原資を確保できるだけのスポンサーを選定できず、再建計画策定には至らないとの判断から、今回の措置となった。

 負債は、民事再生法の適用を申請した時点で約86億8700万円。

 なお、「Japan電力」ブランドで展開するPPS事業は(株)おトクでんき(現・Japan電力(株)、TDB企業コード:582356391、東京都豊島区)が、また、PPA事業は(株)ファラデー(TDB企業コード:232056674、大阪府大阪市中央区)が、それぞれ吸収分割により事業を承継しており、現在も営業を継続している。

 今後、太陽光発電設備のメンテナンス(O&M)事業に関しても、(株)ジャパンホームズ(TDB企業コード:291059412、大阪府堺市堺区)が事業承継する予定。

※保全管理人の高木裕康弁護士の「高」は、正しくははしご「高」です。