トヨタ ライズ ハイブリッド/ダイハツ ロッキー ハイブリッド試乗記・評価 ちょっと足りない?

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デビュー直後から大ヒットしたコンパクトSUVがライズ&ロッキー


 

トヨタ ライズとダイハツ ロッキーは、両社の共同開発によって生まれたAセグメントのSUVだ。ダイハツが開発の主体となり、生産を担っている。

2019年11月にライズ&ロッキーを初めて試乗した時の第1印象は「よくできたクルマ」だった。小さなボディなのに、広い室内と荷室をもつなど、パッケージングは、まさに軽自動車で鍛えたダイハツのノウハウが凝縮されていた。

しかも、デザインもポイントを押さえていて、全長4m未満の小さな車体なのに1クラス上のモデルのように大きく見える。こうしたSUVは大きく見えるという、見栄えのよさも重要視されるからだ。

その結果、ライズは2020年の販売台数は約12.6万台を売り、登録車販売台数ランキングで、いきなり2位の座を奪取。大ヒットモデルとなった。

ただ、この時に唯一、気になっていたのがパワーユニット。1.0Lターボのみの設定だった。すでに、クルマの電動化の波は押し寄せている中、純ガソリン車だけでよいのか? と思っていた。当時、ダイハツは良品廉価が重要で、電動化によるコストアップは顧客メリットがないとして、マイルドハイブリッドなどの導入もしていない状態だったからだ。

開発者などと懇談しているときも、同様な回答がほとんどで、電動化の話はまったく出てこなかった。ところが、もうその時、今回新しく投入されていたシリーズハイブリッドシステムを着々と開発中だったのだ。

ダイハツ ロッキー

トヨタ ライズ

 

 

新開発1.2L e-SMARTハイブリッドを搭載


 

今回ライズ&ロッキーに投入されたのは、1.2Lエンジンを使ったシリーズハイブリッドシステムだ。エンジンは発電専用。その電力を使いモーターで走行する。ホンダのe:HEVのようにエンジン直結モードなどは持たないシンプルな仕様。日産のe-POWERと仕組みは同じだ。トヨタとダイハツでは、このシリーズハイブリッドシステムをe-SMART(イースマート)ハイブリッドと呼ぶ。

ダイハツは、このe-SMARTハイブリッド用のために、熱効率40%という優れた性能を誇る直3 1.2Lエンジンを新開発。通常のガソリンエンジンと基本部分は共通化されている。

e-SMARTハイブリッドの出力は、106ps&170Nmとなった。170Nmというと、自然吸気ガソリンエンジン換算だと1.7L級。AセグメントのSUVには、かなり力強いパワーユニットだ。

燃費は28.0/L(WLTCモード)と良好。e-SMARTハイブリッドは、シリーズハイブリッドシステムなので、主に低・中速域での燃費に優れる。

トヨタ ライズ

 

 

1.0Lターボより速いe-SMARTハイブリッド


 

98ps&140Nmを発揮する1.0Lターボでも十分パワフルだったが、それを上回るe-SMARTハイブリッドの加速力は、なかなか強烈。モーター駆動なので、アクセルを踏んだ瞬間から170Nmという大トルクをアウトプットする。この大トルクを使いライズ&ロッキーは、グイグイと車速を上げていく。スムースでアクセルレスポンスもよいのは、いかにも電動車らしく気持ちいい。

ライズ&ロッキーは、操縦安定性も高いレベルにある。大きく思いリチウムイオン電池をリヤシート下付近に設置。そのため、前後の重量バランスも少し改善されていて、カーブでの安定感もガソリン車に比べると良好だ。

SUVの高い全高からくる重心の高さもあまり感じさせない。パワフルなパワーユニットと相まって、山道でもスイスイと軽快にハイスピードで駆け抜けていける実力をもつ。ライズ&ロッキーは、単なる燃費を重視したハイブリッド車ではない。

 

 

まだまだ、改良の余地あるe-SMARTハイブリッド


 

ただし、静粛性という面では、まだまだ改良の余地がある。遮音・吸音材などを追加しているため、エンジンが始動していない停車時や低速域での静粛性はとても高い。また、エンジンが始動していても中・高速域なら、高いレベルの静粛性を維持している。

ただし、改良の余地を感じさせるのは、停車時と低速域での充電制御だ。ライズ&ロッキーは、安価な価格設定も重要として、リチウムイオン電池の容量が非常に小さくなっている。そのため、エンジンが停止している状態でのEV走行距離は短く、速度も40km/h程度が限界。すぐにバッテリーが電力を放出してしまうので、頻繁にエンジンが始動する。この発電のためのエンジン始動が、悩みどころ。

一番賑やかに感じるのは、信号待ちなどでの停車時。今時、普通のガソリン車でもアイドリングストップ機能が当たり前なので、停車中の静粛性は高い。しかし、ライズ&ロッキーのe-SMARTハイブリッドは、信号待ちでもアイドリングよりも高いエンジン回転数で「ブオーーーーン」とエンジンを回し続けるのだ。エンジン始動時に振動も少々気になる。

また、中・高速域では風切り音やロードノイズなどが影響しあって、走行中のエンジン始動はそれほど賑やかに感じない。しかし、低速域ではやはりエンジンの音がそれなりに入ってくるので、少々賑やかに感じる。

このパターンは、2代目ノートe-POWERと同じなのだ。2代目ノートは、こうしたエンジン始動制御に関して、多くの専門家やユーザーから指摘されたこともあり、3代目では停止中や低速域ではなるべくエンジンを始動させない制御となっており、静粛性は非常に向上した。e-SMARTハイブリッドは、こうした充電のためのエンジン始動制御が今後の課題と言える。

そして、アクセルオフ時にモーターの回生を使い減速度をコントロールする「スマートペダル」も用意された。これは、慣れればアクセルとブレーキの踏みかえ回数が大幅に減り、ドライバーの疲労軽減にも役立つ機能。完全停止までできないが、街中ではかなり便利な機能。クリープ制御もあるので、従来のATやCVT車からでも、それほど違和感無く乗れるだろう。ただし、アクセル操作に繊細さが必要など、少々慣れが必要だ。

 

 

コスパに優れる新開発の1.2Lエンジン車


 

そして、驚いたのが新開発の1.2L純ガソリンエンジン搭載車だった。エンジンスペックは、87ps&113Nmと平凡なものだ。ところが、ロングストローク化されたエンジンで、低速域から十分なトルクを発揮。e-SMARTハイブリッド車よりも100堋度軽量ということも加わり、街中を軽快に駆け抜けていった。

ライズe-SMARTハイブリッドZグレードの価格は2,328,000円。対する1.2L Zグレードの価格は2,039,000円。価格差は約29万円。この価格差をどう判断するかは、何を優先するかで決まるが、1.2Lエンジン車のコストパフォーマンスはなかなかのものだといえる。

<レポート:大岡智彦

 

 

新型トヨタ ライズ燃費、ボディサイズなどスペック


 

代表グレード:ライズ Z(ハイブリッド)

全長×全幅×全高 3,995×1,695×1,620mm

ホイールベース 2,525mm

最低地上高 185mm

車重:1,070kg

最小回転半径 5.0m

エンジン型式 WA-VEX型

エンジン 1.2L水冷直列3 DOHC 12バルブ DOHC横置

最高出力 82PS(60kW)/5,600rpm

最大トルク:105N・m(10.7kgf・m)/3,200-5,200rpm

モーター型式  E1A

モーター種類  交流同期電動機

モーター最高出力  106PS (78kW)/4,372-6,329rpm

モーター最大トルク 170N・m(17.3kgf・m)/0-4,372rpm

動力用主電池  リチウムイオン電池

容量    4.3Ah

燃費(WLTCモード) 28.0/L

タイヤサイズ 195/60R17

サスペンション形式(前:後)  前: マクファーソン・ストラット式
後:トーションビーム式

 

 

トヨタ ライズ価格


■1.2Lガソリン(FF車のみ)

・X 1,707,000円

・G 1,857,000円

・Z 2,039,000円

■1.0Lターボ(4WDのみ)

・X  1,984,800円

・G  2,133,700円

・Z  2,299,200円

■1.2Lハイブリッド(FFのみ)

・G  2,163,000円

・Z  2,328,000円

 

ダイハツ ロッキー価格


■1.2Lガソリン(FF車のみ)

・L 1,667,000円

・X 1,810,000円

・Premium G 2,058,000円

■1.0Lターボ(4WDのみ)

・L 1,944,800円

・X 2,086,700円

・Premium G 2,318,200円

■1.2Lハイブリッド(FFのみ)

・X HEV 2,116,000円

・Premium G HEV 2,347,000円

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