WindowsでHHKB「ハッピーハッキングキーボード」を使いこなす方法
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Windowsパソコンの操作効率を極めたい
Windowsの操作効率を高める最も効果的な方法は、ショートカットキーやクイックランチャー(コマンドパレット)の活用であり、これらをどれだけ身につけているかが大きく効いてくる。補助的にマウスやタッチパッド、さらに利用するアプリケーションに特化した入力デバイスなども効果を持つ。十分な性能を持つようになった現在のパソコンの操作性能を引き上げる上で大切なことは、プロセッサの速さやメモリの量ではなく、「入力デバイス」だ。
そんな中でも特にこだわりたいのが「キーボード」である。パソコンは数年おきに買い替えるかもしれないが、キーボードはパソコンを超えてずっと使うことができる。手になじんだキーボードは何よりも作業効率に効いてくる。一生付き合っていけるキーボードに出会うことができたなら、それはとても幸せなことだ。使い続けるごとに体はそのキーボードを身体の一部のように扱うようになる。
キーボードはツールであり嗜好品でもある
キーボードはパソコンを使うためのツールであると同時に「嗜好品」でもある。すべてにおいて最強のキーボードというのは存在しない。用途に応じて適切なキーボードは異なるし、そしてユーザーの「好み」は画一的ではないのだ。
ノートパソコンのキーボードのようにストロークが小さくて押す長さが可能な限り短いキーボードを好む方、ガチャガチャと大きな音を出しストロークが長く力強く押す必要があるキーボードを好む方、扱いやすいテンキーがあるかどうかを重視する方、扱いやすいファンクションキーがあるかどうかを重視する方、可能な限りコンパクトであることを重要視する方、キーボードが左右に分割されていることを好む方など、挙げていくとキリがない。キーボードはツールであると同時に嗜好品でもあり、ユーザーのアイデンティティに関わる道具でもあるのだ。
キーボードにはいわゆる「高級キーボード」と呼ばれる高価なキーボードのジャンルがある。しかし、価格が高いこととその人にとって「よい」キーボードであることは必ずしも両立しない。嗜好品の側面を持つ道具であり、その人が扱いやすく気に入っているキーボード、それが最良のキーボードなのだ。
パワーユーザを魅了する「Happy Hacking Keyboard」
さまざまなキーボードが存在するのだが、中でも長年にわたって多くのアドバンスドユーザーを魅了し続けているキーボードに「Happy Hacking Keyboard」がある。Happy Hacking Keyboard (HHKB)はコンパクトだ。キーの数は必要最小限。フラッグシップモデルは無刻印でありキートップに印字すらない。加えてキーボードとしては驚くほど値段が高い。それでも、多くのパワーユーザーがこのキーボードを愛用している。
Happy Hacking Keyboard Professional HYBRID Type-S 無刻印/墨(英語配列)
現在展開されているモデルは次の3つだ。
Happy Hacking Keyboard Professional HYBRID Type-S
Happy Hacking Keyboard Professional HYBRID
Happy Hacking Keyboard Professional Classic
HYBRIDはBluetooth接続とUSB接続に対応、ClassicはUSB接続に対応している。Type-Sは高速性と静音性を意味している。その双方を備えた「HYBRID Type-S」がフラッグシップモデルだ。
英語配列無刻印、英語配列、日本語配列という配列/キートップに、さらに「墨」と「白」というカラーがある。
製品のメトリックスは次のとおり。
どのモデルも無刻印が用意されている。これもHHKBの特徴の一つだ。アドバンスドユーザはキーボードを見ながら入力を行わない。ブラインドタッチは当然ながら、記号の入力や「Fn」キーの利用においてもキーボードを見ない。視線をディスプレイからキーボードに移すとそれだけ効率が下がるからだ。不要なものはつけない、それがHHKB無刻印モデルであり、この高潔さがアドバンスドユーザーを魅了するポイントだ。
繰り返すが、キーボードは嗜好品の側面も持っている。必ずしも特定のキーボードが万人に合うわけではないことをもう一度前置きした上で、今回、Windowsパソコンで「Happy Hacking Keyboard Professional HYBRID Type-S」(以降、HHKB)を活用する方法を紹介しよう。
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HHKBの基本的な操作
HHKBには、キー以外に操作する部品が少なくとも3つある。「電源スイッチ」、「DIPスイッチ」、「チルト」だ。
HHKB HYBRIDはBluetooth接続に対応し「電源スイッチ」を備えている。このスイッチの操作方法は最初に覚えてしまおう。電源スイッチは1秒以上長押しで電源オン、2秒以上長押して電源オフとなる。電源オンの後にはLEDインジケータが数秒青に点灯してから消灯し、電源オフの後には橙に点灯してから消灯する。
HHKB HYBRIDが意思を示すのは「-」キーと「=」間上部にデプロイされたLEDインジケータのみであり、LEDインジケータの内容を理解しておくのが大切になる。長押しした後に青く光ったら電源オン、橙に光ったら電源オフだ。この操作と挙動は最初に覚えよう。
HHKBはデフォルトの「HHKモード」に加え、「Winモード」と「Macモード」のどれかのモードで動作する。一部のキーはHHKB側で変更できるようになっており、モードとキーの設定を変更するのがDIPスイッチとなる。DIPスイッチは背面に設置されている。
チルトはHHKBの角度調整を行う足のことであり、左上背面と右上背面に設置されている。小さい足と大きい足があり、好みに応じて使えるようになっている。足なし、小足、大足の3段階調整が可能だ。最初にチルトを調整して好みの高さを探しておこう。
DIPスイッチを設定
使い出す前にDIPスイッチだ。HHKBの背面には次のような6つのDIPスイッチが用意されている。なお、DIPスイッチは電源を切った状態で変更する必要がある。電源をオンにしてあるのなら、いったんオフにしてから作業を行う。
DIPスイッチは最初は全部OFFになっている。
HHKB Professional HYBRID - DIPスイッチ設定例
DIPスイッチが全部OFFの場合には「HHKモード」として動作する。DIPスイッチの組み合わせでモードの切り替えとキーの入れ替えができる。
主な設定は次のとおり。
Windowsパソコンで使う場合は、「SW1」と「SW2」を「ON」と「OFF」に設定して「Winモード」設定し、SW3からSW6までは好み合わせて設定する。
HHKB HYBRID無刻印は英語配置だ。「Return」キーの上は「Delete」キーになっている。日本で販売されているパソコンはここが「BS」になっていることが多いので、「SW3」を「ON」にして「Delete」キーを「BS」キーにする設定がなじむ方が多いように思う。
ということで、例えばDIPスイッチを次のように設定する。
これで「Winモード」で、かつ、「Return」キーの上は「BS」キーになる。「Delete」は「Fn」+「~」で入力できるので頻繁に使うのでなければこれで問題ない。比較的多くの方がなじむ設定ではないかと思う。無刻印/英語配列ではなく日本語配列を使う場合には「Enter」キーの上は最初から「BS」なので「ON OFF OFF OFF OFF OFF」で同じような設定になる。
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HHKB HYBRIDをペアリングする
DIPスイッチを設定したらWindowsパソコンとペアリングを行う。当然、WindowsパソコンがBluetoothに対応している必要がある。HHKB HYBRIDは4つのペアリング設定が可能だ(1〜4)。最初はペアリング1を設定する。まず、HHKB HYBRIDの電源を入れる。
電池を入れる
電源スイッチを1秒以上長押しする。LEDインジケータ青に点灯してから消灯するのを確認する
まだペアリングが行われていないのであれば、この段階で自動的にペアリング1のペアリング待機状態になる。Windowsパソコンで設定アプリケーションを起動し、「Bluetoothとデバイス」→「デバイスの追加」→「Bluetooth」→「HHKB-Hybrid_1」と選択を進める。
設定アプリケーション:「Bluetoothとデバイス」
デバイスを追加する:「Bluetooth」
デバイスを追加する:「HHKB-Hybrid_1」
PINコードを入力するように求められるので、この段階でHHKB HYBRIDでPINコードを入力してから「Return」キーを押す(日本語配列なら「Enter」キーを押す)。
デバイスを追加する:PINコードをHHKB HYBRIDで入力
デバイスを追加する:「完了」
HHKB HYBRIDのペアリングが完了すると、次のように設定アプリケーションにHHKB HYBRIDが表示される。
設定アプリケーション:HHKB HYBRIDの登録を確認
これですでにHHKB HYBRIDが使える状態になっている。
2台目から4台目を登録する
HHKB HYBRIDは合計4台までペアリング対象を設定できる。ペアリングに使うショートカットキーとLEDインジケータの表示内容を次にまとめておく。
例えば、ペアリング2に別のWindowsパソコンやMac、Bluetoothデバイスを登録するなら、次のように操作を行う。
「Fn」+「Q」を押す。青点滅(2回/秒)を確認する
「Fn」+「Ctrl」+「2」を押す。青点滅(4回/秒)を確認する
OSやデバイスからBluetoothペアリングを行う
HHKB HYBRIDは持ち運びがそれほど苦にならない。複数のパソコンを登録してHHKB HYBRIDを持ち運んで利用するというのも現実的だ。
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ペアリング先を切り替えて使う
複数のデバイスを登録した場合は、次の方法でペアリング先を切り替えることができる。Bluetooth接続が切れた場合も、この方法で一旦別のペアリングに切り替えてから元に戻すことでペアリングを復帰させることもできる。
「Fn」+「Ctrl」+「1」 - ペアリング1へ切り替え
「Fn」+「Ctrl」+「2」 - ペアリング2へ切り替え
「Fn」+「Ctrl」+「3」 - ペアリング3へ切り替え
「Fn」+「Ctrl」+「4」 - ペアリング4へ切り替え
HHKB HYBRIDはUSBケーブルを接続して使うこともできる。この場合には次のショートカットキーでUSB接続へ切り替えることができる。
「Fn」+「Ctrl」+「0」 - USB接続へ切り替え
USB接続で使う場合は、USBケーブルから給電が行われるので電池は消耗しない。「電池を消耗したくない」「電波的にチャタリングが発生する」などの場合は、USBケーブルで使うのも一つの選択肢だ。
ペアリング先を確認する
複数のデバイスを登録してある場合、現在どのペアリング番号を使っているかわからなくなることがある。その場合は、電源スイッチを1クリックすることでどこに接続しているを確認できる。LEDインジケータが次のように光るので、これで確認する。
省電力モード
HHKB HYBRIDは「省電力モード」を持っている。デフォルトではこの機能は有効になっている。DIPスイッチのSW6がこの機能の有効無効を決めており、「OFF」になっていると省電力モードは有効になっている。
省電力モードが有効になっていると、30分間入力がないとHHKB HYBRIDの電源は自動的にオフになる。オフになった後にHHKB HYBRIDを使う場合には、電源スイッチを1秒以上長押しして電源をオンにする必要がある。電池の持ちを伸ばすための動きだ。
毎回電源をオンにするのが面倒という場合は、SW6を「ON」にして省電力モードをオフにするという方法がある。省電力モードをオフにすると自動的に電源がオフになることはなくなる。ただし、その場合には消費電力が増えるため、電池の消耗は激しくなる。
この辺りはトレードオフの関係にあるので、どちらを取るかで運用方法を決める。常に接続されていることを望むなら、電池を十分に用意するか、充電電池を使って繰り返し入れ替えができる状態にするなどの備えをしておく。
電池残量
HHKB HYBRIDは電池の残量が少なくなってくると、LEDインジケータでそれを知らせてくれる。次の表示が現れた場合は、電池を交換する。
日本語配列を英語配列風にカスタマイズするのも一手
キーボードショートカットは、英語キーボードのほうが扱いやすく覚えやすいことが多い。このため多くのアドバンスドユーザーが英語キーボードを好むのだが、日本語キーボードには日本語キーボードならではの利点がある。日本語キーボードはキーが多いのだ。
HHKB HYBRID無刻印/英語配列のキーは60個、日本語配列のキーは69個だ。日本人には日本語入力という入力方法が伴う。日本語入力の切り替えを単一キーに割り当てるのは入力効率化テクニックの一つであり、この方法は英語配列ではなく日本語配列で実現できる。英語配列ではキーが足りないのだ。
日本語配列であればあるキーを「ひらがな入力」、あるキーを「直接入力」、あるキーを「カタカナ入力」といったように入力モードを直接切り替えるキーに割り当てることができる。今どの入力モードにあるかを確認する必要がなく、その分入力が高速になる。
英語配列のショートカットキーとの親和性のよさを取るか、日本語配列のキーの数を取るか、難しいところだが、HHKBは「日本語配列HHKBを、英語配列にちょっとだけ近づけて使う」という手段を取ることもできる。HHKBはDIPスイッチの設定を超えて高度にキーの入れ替えができるためだ。
HHKBは「Happy Hacking Keyboard キーマップ変更ツール」というソフトウェアが提供されており、キーを任意に再割当てできるようになっている。
Happy Hacking Keyboard キーマップ変更ツール
Happy Hacking Keyboard キーマップ変更ツール:キーマップ変更
「Happy Hacking Keyboard キーマップ変更ツール」はキーの入れ替えを行うツールだ。本来のキーとシフトキーを押して入力されるキーは分解できない。そこはまとめての入れ替えとなる。このため、日本語配列を英語配列へ完全に置き換えることはできない。
しかし、「[」キーと「]」キーを上下ではなく左右に配置する、そういったショートカットキーの利用を意識した配置に変更することはできる。英語配列に近づけるという意味ではそれほどカスタマイズできないのだが、日本語配列を使っていて発生するショートカットキーの左右非対称性に疑問を感じているなら、この辺りのカスタマイズは一度挑戦してみる価値はあるかもしれない。
「Happy Hacking Keyboard キーマップ変更ツール」はHHKBのファームウェアをアップデートする用途にも使われる。なお、このソフトウェアはBluetooth接続状態では使えない。USBケーブルで接続して使う必要があるのでケーブルの用意が必要だ。
長く使い続けることで、作業効率が上がり続けるキーボード
繰り返すが、キーボードは道具であると同時に「嗜好品」でもある。自分の好きなキーボードを使い続けるというのが最良だ。大切なのは「使い続けること」だ。使い続けることでより体になじむ。パソコンは世代交代しても、キーボードはそのまま使い続ける。
ノートパソコンのキーボードが好みなら、同じモデルのノートパソコンを使い続けるしかないのだが、HHKBはノートパソコンのキーボードに載せて使うということも日常的に行える。奇妙に見えるかもしれないが、ノートパソコンでも最初からHHKBを使い続けるというのも一つの手なのだ。
入力インタフェースがキーボードである限り、キーボードは同じモデルを使い続けることで効果が徐々に上がってくる。さらに効率アップを目指すなら、自分の一生もののキーボードを探していくのもよい方法だ。
Windowsパソコンの操作効率を極めたい
Windowsの操作効率を高める最も効果的な方法は、ショートカットキーやクイックランチャー(コマンドパレット)の活用であり、これらをどれだけ身につけているかが大きく効いてくる。補助的にマウスやタッチパッド、さらに利用するアプリケーションに特化した入力デバイスなども効果を持つ。十分な性能を持つようになった現在のパソコンの操作性能を引き上げる上で大切なことは、プロセッサの速さやメモリの量ではなく、「入力デバイス」だ。
キーボードはツールであり嗜好品でもある
キーボードはパソコンを使うためのツールであると同時に「嗜好品」でもある。すべてにおいて最強のキーボードというのは存在しない。用途に応じて適切なキーボードは異なるし、そしてユーザーの「好み」は画一的ではないのだ。
ノートパソコンのキーボードのようにストロークが小さくて押す長さが可能な限り短いキーボードを好む方、ガチャガチャと大きな音を出しストロークが長く力強く押す必要があるキーボードを好む方、扱いやすいテンキーがあるかどうかを重視する方、扱いやすいファンクションキーがあるかどうかを重視する方、可能な限りコンパクトであることを重要視する方、キーボードが左右に分割されていることを好む方など、挙げていくとキリがない。キーボードはツールであると同時に嗜好品でもあり、ユーザーのアイデンティティに関わる道具でもあるのだ。
キーボードにはいわゆる「高級キーボード」と呼ばれる高価なキーボードのジャンルがある。しかし、価格が高いこととその人にとって「よい」キーボードであることは必ずしも両立しない。嗜好品の側面を持つ道具であり、その人が扱いやすく気に入っているキーボード、それが最良のキーボードなのだ。
パワーユーザを魅了する「Happy Hacking Keyboard」
さまざまなキーボードが存在するのだが、中でも長年にわたって多くのアドバンスドユーザーを魅了し続けているキーボードに「Happy Hacking Keyboard」がある。Happy Hacking Keyboard (HHKB)はコンパクトだ。キーの数は必要最小限。フラッグシップモデルは無刻印でありキートップに印字すらない。加えてキーボードとしては驚くほど値段が高い。それでも、多くのパワーユーザーがこのキーボードを愛用している。
Happy Hacking Keyboard Professional HYBRID Type-S 無刻印/墨(英語配列)
現在展開されているモデルは次の3つだ。
Happy Hacking Keyboard Professional HYBRID Type-S
Happy Hacking Keyboard Professional HYBRID
Happy Hacking Keyboard Professional Classic
HYBRIDはBluetooth接続とUSB接続に対応、ClassicはUSB接続に対応している。Type-Sは高速性と静音性を意味している。その双方を備えた「HYBRID Type-S」がフラッグシップモデルだ。
英語配列無刻印、英語配列、日本語配列という配列/キートップに、さらに「墨」と「白」というカラーがある。
製品のメトリックスは次のとおり。
どのモデルも無刻印が用意されている。これもHHKBの特徴の一つだ。アドバンスドユーザはキーボードを見ながら入力を行わない。ブラインドタッチは当然ながら、記号の入力や「Fn」キーの利用においてもキーボードを見ない。視線をディスプレイからキーボードに移すとそれだけ効率が下がるからだ。不要なものはつけない、それがHHKB無刻印モデルであり、この高潔さがアドバンスドユーザーを魅了するポイントだ。
繰り返すが、キーボードは嗜好品の側面も持っている。必ずしも特定のキーボードが万人に合うわけではないことをもう一度前置きした上で、今回、Windowsパソコンで「Happy Hacking Keyboard Professional HYBRID Type-S」(以降、HHKB)を活用する方法を紹介しよう。
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HHKBの基本的な操作
HHKBには、キー以外に操作する部品が少なくとも3つある。「電源スイッチ」、「DIPスイッチ」、「チルト」だ。
HHKB HYBRIDはBluetooth接続に対応し「電源スイッチ」を備えている。このスイッチの操作方法は最初に覚えてしまおう。電源スイッチは1秒以上長押しで電源オン、2秒以上長押して電源オフとなる。電源オンの後にはLEDインジケータが数秒青に点灯してから消灯し、電源オフの後には橙に点灯してから消灯する。
HHKB HYBRIDが意思を示すのは「-」キーと「=」間上部にデプロイされたLEDインジケータのみであり、LEDインジケータの内容を理解しておくのが大切になる。長押しした後に青く光ったら電源オン、橙に光ったら電源オフだ。この操作と挙動は最初に覚えよう。
HHKBはデフォルトの「HHKモード」に加え、「Winモード」と「Macモード」のどれかのモードで動作する。一部のキーはHHKB側で変更できるようになっており、モードとキーの設定を変更するのがDIPスイッチとなる。DIPスイッチは背面に設置されている。
チルトはHHKBの角度調整を行う足のことであり、左上背面と右上背面に設置されている。小さい足と大きい足があり、好みに応じて使えるようになっている。足なし、小足、大足の3段階調整が可能だ。最初にチルトを調整して好みの高さを探しておこう。
DIPスイッチを設定
使い出す前にDIPスイッチだ。HHKBの背面には次のような6つのDIPスイッチが用意されている。なお、DIPスイッチは電源を切った状態で変更する必要がある。電源をオンにしてあるのなら、いったんオフにしてから作業を行う。
DIPスイッチは最初は全部OFFになっている。
HHKB Professional HYBRID - DIPスイッチ設定例
DIPスイッチが全部OFFの場合には「HHKモード」として動作する。DIPスイッチの組み合わせでモードの切り替えとキーの入れ替えができる。
主な設定は次のとおり。
Windowsパソコンで使う場合は、「SW1」と「SW2」を「ON」と「OFF」に設定して「Winモード」設定し、SW3からSW6までは好み合わせて設定する。
HHKB HYBRID無刻印は英語配置だ。「Return」キーの上は「Delete」キーになっている。日本で販売されているパソコンはここが「BS」になっていることが多いので、「SW3」を「ON」にして「Delete」キーを「BS」キーにする設定がなじむ方が多いように思う。
ということで、例えばDIPスイッチを次のように設定する。
これで「Winモード」で、かつ、「Return」キーの上は「BS」キーになる。「Delete」は「Fn」+「~」で入力できるので頻繁に使うのでなければこれで問題ない。比較的多くの方がなじむ設定ではないかと思う。無刻印/英語配列ではなく日本語配列を使う場合には「Enter」キーの上は最初から「BS」なので「ON OFF OFF OFF OFF OFF」で同じような設定になる。
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HHKB HYBRIDをペアリングする
DIPスイッチを設定したらWindowsパソコンとペアリングを行う。当然、WindowsパソコンがBluetoothに対応している必要がある。HHKB HYBRIDは4つのペアリング設定が可能だ(1〜4)。最初はペアリング1を設定する。まず、HHKB HYBRIDの電源を入れる。
電池を入れる
電源スイッチを1秒以上長押しする。LEDインジケータ青に点灯してから消灯するのを確認する
まだペアリングが行われていないのであれば、この段階で自動的にペアリング1のペアリング待機状態になる。Windowsパソコンで設定アプリケーションを起動し、「Bluetoothとデバイス」→「デバイスの追加」→「Bluetooth」→「HHKB-Hybrid_1」と選択を進める。
設定アプリケーション:「Bluetoothとデバイス」
デバイスを追加する:「Bluetooth」
デバイスを追加する:「HHKB-Hybrid_1」
PINコードを入力するように求められるので、この段階でHHKB HYBRIDでPINコードを入力してから「Return」キーを押す(日本語配列なら「Enter」キーを押す)。
デバイスを追加する:PINコードをHHKB HYBRIDで入力
デバイスを追加する:「完了」
HHKB HYBRIDのペアリングが完了すると、次のように設定アプリケーションにHHKB HYBRIDが表示される。
設定アプリケーション:HHKB HYBRIDの登録を確認
これですでにHHKB HYBRIDが使える状態になっている。
2台目から4台目を登録する
HHKB HYBRIDは合計4台までペアリング対象を設定できる。ペアリングに使うショートカットキーとLEDインジケータの表示内容を次にまとめておく。
例えば、ペアリング2に別のWindowsパソコンやMac、Bluetoothデバイスを登録するなら、次のように操作を行う。
「Fn」+「Q」を押す。青点滅(2回/秒)を確認する
「Fn」+「Ctrl」+「2」を押す。青点滅(4回/秒)を確認する
OSやデバイスからBluetoothペアリングを行う
HHKB HYBRIDは持ち運びがそれほど苦にならない。複数のパソコンを登録してHHKB HYBRIDを持ち運んで利用するというのも現実的だ。
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ペアリング先を切り替えて使う
複数のデバイスを登録した場合は、次の方法でペアリング先を切り替えることができる。Bluetooth接続が切れた場合も、この方法で一旦別のペアリングに切り替えてから元に戻すことでペアリングを復帰させることもできる。
「Fn」+「Ctrl」+「1」 - ペアリング1へ切り替え
「Fn」+「Ctrl」+「2」 - ペアリング2へ切り替え
「Fn」+「Ctrl」+「3」 - ペアリング3へ切り替え
「Fn」+「Ctrl」+「4」 - ペアリング4へ切り替え
HHKB HYBRIDはUSBケーブルを接続して使うこともできる。この場合には次のショートカットキーでUSB接続へ切り替えることができる。
「Fn」+「Ctrl」+「0」 - USB接続へ切り替え
USB接続で使う場合は、USBケーブルから給電が行われるので電池は消耗しない。「電池を消耗したくない」「電波的にチャタリングが発生する」などの場合は、USBケーブルで使うのも一つの選択肢だ。
ペアリング先を確認する
複数のデバイスを登録してある場合、現在どのペアリング番号を使っているかわからなくなることがある。その場合は、電源スイッチを1クリックすることでどこに接続しているを確認できる。LEDインジケータが次のように光るので、これで確認する。
省電力モード
HHKB HYBRIDは「省電力モード」を持っている。デフォルトではこの機能は有効になっている。DIPスイッチのSW6がこの機能の有効無効を決めており、「OFF」になっていると省電力モードは有効になっている。
省電力モードが有効になっていると、30分間入力がないとHHKB HYBRIDの電源は自動的にオフになる。オフになった後にHHKB HYBRIDを使う場合には、電源スイッチを1秒以上長押しして電源をオンにする必要がある。電池の持ちを伸ばすための動きだ。
毎回電源をオンにするのが面倒という場合は、SW6を「ON」にして省電力モードをオフにするという方法がある。省電力モードをオフにすると自動的に電源がオフになることはなくなる。ただし、その場合には消費電力が増えるため、電池の消耗は激しくなる。
この辺りはトレードオフの関係にあるので、どちらを取るかで運用方法を決める。常に接続されていることを望むなら、電池を十分に用意するか、充電電池を使って繰り返し入れ替えができる状態にするなどの備えをしておく。
電池残量
HHKB HYBRIDは電池の残量が少なくなってくると、LEDインジケータでそれを知らせてくれる。次の表示が現れた場合は、電池を交換する。
日本語配列を英語配列風にカスタマイズするのも一手
キーボードショートカットは、英語キーボードのほうが扱いやすく覚えやすいことが多い。このため多くのアドバンスドユーザーが英語キーボードを好むのだが、日本語キーボードには日本語キーボードならではの利点がある。日本語キーボードはキーが多いのだ。
HHKB HYBRID無刻印/英語配列のキーは60個、日本語配列のキーは69個だ。日本人には日本語入力という入力方法が伴う。日本語入力の切り替えを単一キーに割り当てるのは入力効率化テクニックの一つであり、この方法は英語配列ではなく日本語配列で実現できる。英語配列ではキーが足りないのだ。
日本語配列であればあるキーを「ひらがな入力」、あるキーを「直接入力」、あるキーを「カタカナ入力」といったように入力モードを直接切り替えるキーに割り当てることができる。今どの入力モードにあるかを確認する必要がなく、その分入力が高速になる。
英語配列のショートカットキーとの親和性のよさを取るか、日本語配列のキーの数を取るか、難しいところだが、HHKBは「日本語配列HHKBを、英語配列にちょっとだけ近づけて使う」という手段を取ることもできる。HHKBはDIPスイッチの設定を超えて高度にキーの入れ替えができるためだ。
HHKBは「Happy Hacking Keyboard キーマップ変更ツール」というソフトウェアが提供されており、キーを任意に再割当てできるようになっている。
Happy Hacking Keyboard キーマップ変更ツール
Happy Hacking Keyboard キーマップ変更ツール:キーマップ変更
「Happy Hacking Keyboard キーマップ変更ツール」はキーの入れ替えを行うツールだ。本来のキーとシフトキーを押して入力されるキーは分解できない。そこはまとめての入れ替えとなる。このため、日本語配列を英語配列へ完全に置き換えることはできない。
しかし、「[」キーと「]」キーを上下ではなく左右に配置する、そういったショートカットキーの利用を意識した配置に変更することはできる。英語配列に近づけるという意味ではそれほどカスタマイズできないのだが、日本語配列を使っていて発生するショートカットキーの左右非対称性に疑問を感じているなら、この辺りのカスタマイズは一度挑戦してみる価値はあるかもしれない。
「Happy Hacking Keyboard キーマップ変更ツール」はHHKBのファームウェアをアップデートする用途にも使われる。なお、このソフトウェアはBluetooth接続状態では使えない。USBケーブルで接続して使う必要があるのでケーブルの用意が必要だ。
長く使い続けることで、作業効率が上がり続けるキーボード
繰り返すが、キーボードは道具であると同時に「嗜好品」でもある。自分の好きなキーボードを使い続けるというのが最良だ。大切なのは「使い続けること」だ。使い続けることでより体になじむ。パソコンは世代交代しても、キーボードはそのまま使い続ける。
ノートパソコンのキーボードが好みなら、同じモデルのノートパソコンを使い続けるしかないのだが、HHKBはノートパソコンのキーボードに載せて使うということも日常的に行える。奇妙に見えるかもしれないが、ノートパソコンでも最初からHHKBを使い続けるというのも一つの手なのだ。
入力インタフェースがキーボードである限り、キーボードは同じモデルを使い続けることで効果が徐々に上がってくる。さらに効率アップを目指すなら、自分の一生もののキーボードを探していくのもよい方法だ。