ついに首都高の上限料金引き上げの日を迎えました。普通車の上限は1320円から、1950円へ一気にアップ。また29か所の入口がETC専用になるなど、首都高は“次のステージ”へ進んだ感があります。

ついにその日が来た「上限料金引き上げ」

 2022年4月1日は、首都高にとって歴史的な日になったといえるでしょう。上限通行料金の大幅な引き上げ、入口のETC専用化、深夜割引の創設など、大きな変更が一気に実施されました。


首都高の上限料金が4月1日から引き上げられた(乗りものニュース編集部撮影)。

●上限料金の引き上げ

 上限料金は普通車で1320円から、1950円まで引き上がりました。今回は、距離料金の体系は変わらず、上限料金のみの引き上げですが、現金車は距離によらず一律で上限料金が適用されるので、実質の値上げです。

 ETC車で影響が出るのは、従来の「1320円分以上の距離」を走った場合になります。これまでは、35.7km以上走っても、上限の1320円より料金が上がらずに済みました。

 しかし引き上げにより、料金加算が打ち止めになる上限料金に達する距離は「55.0km」になります。負担増になる走行パターンの例を挙げてみましょう。

・東名高速(東京IC付近)〜東北道(川口JCT)39.0km:1320円→1430円=110円増

・王子南(C2中央環状線)〜保土ヶ谷バイパス(狩場IC付近)57.1km:1320円→1950円=530円増

・さいたま見沼(S2埼玉新都心線)〜幸浦(湾岸線)87.3km:1320円→1950円=530円増

 55.0kmというのは、おおよそ東京の北部から横浜市内までとイメージできそうです。首都高を長い距離走る人ほど、負担が大きくなりますが、それでもなお、埼玉の末端から横浜の末端までフルで走った場合など、上限料金の適用によりお得感が出るケースも存在します。

 上限料金引き上げの理由は、「より公平な対距離制を実現する」ためとされています。首都高の料金体系は2016年以降、NEXCOの大都市近郊区間料金と同じに揃えられましたが、それでは大幅な値上げになってしまうことから、「激変緩和措置」として上限料金が設定されていました。

 それから5年、今回は「より公平な対距離制を実現する」目的で、国の方針もあり上限料金が引き上げられました。ただ、今回の上限料金も、激変緩和措置としての暫定的なものとされています。

新設の「深夜割引」は

 4月1日からは新たに、首都高でもETC車の「深夜割引」が始まりました。

●深夜割引の導入/大口・多頻度割引の拡充

 適用時間帯は0時から4時、割引率は20%です。ただ、NEXCOの場合はこの時間内に走行、あるいは入口・出口を通過すれば適用されますが、首都高の場合は、この時間内に本線料金所含む「入口料金所を通過した場合のみ」の適用なので注意が必要です。つまり、23時59分に入口を通過した場合などは、適用になりません。

 このほか4月1日からは、運送・交通事業者向けの「大口・多頻度割引」における割引率も、最大35%から45%に拡充。これら割引により物流を支援するとされています。

●入口のETC専用化

 一部入口のETC専用化も一挙29か所で始まり、計35か所になりました。従来の有人の「一般」レーンは、誤進入したクルマの対応窓口として「サポート」レーンに変わりました。


ETC専用になった入口には「サポート」レーンが整備された(乗りものニュース編集部撮影)。

 ETC専用化により、現金車は大きく迂回を強いられるケースも出てきています。現金車が利用できる入口を事前に確認しておくのがよさそうです。

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 ちなみに、首都高速道路によると、上限料金の引き上げによる収入は、深夜割引の新設と大口・多頻度割引の拡充により、ほぼ相殺される計算だといいます。