W杯出場決定の瞬間を地上波放映し損ねたサッカー日本代表が「61年ぶりにベトナムに勝てず」の歴史的試合をリベンジ放映した件。
前の試合はよかったんですよ!
いやー、ビックリしましたよね…。弱くて…。2022年カタールワールドカップ出場を決めたサッカー日本代表が、ホーム・埼玉スタジアムでアジア最終予選の最後の試合ベトナム戦に臨みました。勝てばグループ1位は確定、究極に上手く運べば本大会の組み分けでポット2という二番手グループに入れるのではないかという一戦でした。相手はグループ最下位でしたので、まず問題なく勝てるだろうという下馬評でした。ところが結果はよもやの引き分け。ベトナム相手に勝てなかったのは61年ぶりとのことで、ある意味で歴史的な試合となりました。
↓「ワールドカップ出場決定」は映せず、「61年ぶりにベトナムに勝てなかった」をテレビで生中継!
【アジア最終予選】日本代表、ホームで勝ち切れず ベトナム戦の引き分けは“国際Aマッチ”史上初https://t.co/D4SxzRbQok
- ライブドアニュース (@livedoornews) March 29, 2022
24日のオーストラリア戦でW杯出場を決めた影響もあり、大幅に先発メンバーを変更するなか、ホームで勝ち切ることが出来なかった。 pic.twitter.com/vC7IHFIYAr
↓まぁ、率直に言えば「どの道ポット2はナイ」とは思いますが!
森保J、ベトナム戦勝利でカタールW杯抽選「ポット2」入りの可能性…その条件は?#W杯アジア最終予選 #サッカー日本代表https://t.co/AWSILHtb1D
- スポーツナビ サッカー編集部 (@sn_soccer) March 28, 2022
グループ1位だのポット2だのという実利の部分は抜きにしても、勝たねばならない試合だったとは思います。ワールドカップ出場決定の瞬間を世間にお披露目する機会を逃し、消化試合のような一戦を地上波で生中継するというこのシチュエーション。ホームに帰ってきてたくさんのお客さんの前で試合をするという大切な機会に、面白くて景気がよくて「本大会が楽しみになる」ような試合をしないでどうするものか。
ジブリの新作映画の公開前に「来週の金曜ロードショーは新作映画公開を記念してゲト戦記をお届けします」とはならないと思うのです。ラピュタなのかもののけなのか千と千尋なのか、期待感を高めるような名作を流してこそ「予告」でしょう。グループ最下位のベトナムを相手にしていることなど世間は把握していないのですから(※逆に知れ渡っていなくて幸いだったかもしれないが)、新ヒーロー三笘薫がドリブルシュートをズドーンと決めて3発快勝、森保監督感動のスピーチ、キャプテン吉田が今大会に代表での進退をかけることを電撃的に宣言、吉田さんのために今度こそベスト8より上に行こうとサポーターが号泣……と話題の連打でドーンと盛り上げていかないと。
テレビ朝日さんだって「消化試合を中継するのめんどくさいなぁ」とは思いつつも、今日はサッカーの盛り上げのために「徹子の部屋」にラモス瑠偉さんを呼んでいたりしましたからね。解説席にも松木安太郎さんと内田篤人さんを並べて、「お祭りの屋台で教科書売る」みたいな無茶もしてくれていましたからね。ここで頑張らないでどうするのかと思います。消化試合であるぶん、それでもこの場に来てくれた人、時間を割いてくれた人の心に何かを残す。ワールドカップ出場の瞬間を世間にお届けできなかったぶん、頑張らねばならない試合だったと思います。実際に心に残ったのは「面白い外し方」でしたが……。
↓東京タワーも「いい意味」で真っ青です!
🗼た だ い ま 点 灯 中🗼#東京タワー が、青と白の #SAMURAIBLUE 色に🔹
- サッカー日本代表🇯🇵3.29【SB】vsベトナム🇻🇳【U21】vsサウジアラビア🇸🇦 (@jfa_samuraiblue) March 29, 2022
点灯時間は24時まで🕛
ぜひご覧ください✨
⏬詳細はこちらhttps://t.co/XBaDPIV7fP #jfa #daihyo #サッカー日本代表#ともに戦おう #新しい景色を2022 pic.twitter.com/yOLQrWkKNL
迎えた試合。日本代表はお久しぶりの川島永嗣さんスタメン起用をはじめ、直近の試合からはガラッとメンバーを入れ替えて臨みます。本大会に直接つながるわけではないかもしれませんが、こういう機会にしっかりと選手を試していきたいという構え。ホームで待つファンにとっては、噂の三笘薫さんがスタメン起用ということもあり、華麗なゴールラッシュに期待を寄せたいところ。
観客数の制限が撤廃され、スタンドには大観衆が集いました。ベトナム側のサポーターは遠慮なく発声もしており、これぞサッカースタジアムという雰囲気が漂っています。試合後にはワールドカップ出場を決めたことの報告などもするとのことですので、観衆をしんみりさせるわけにはいきません。ドーンと盛り上げて、ドーンとスピーチして、オッオッオッオッしないと。
そんな意気込みで始まった試合は、開始5分で三笘薫さんが長い距離をスプリントで突破して味方のシュートまでつなぐという見せ場を作ります。「あぁ、これがミトマさん」「こないだのラジオの試合で頑張ってた子やわぁ」「へー、こんな顔してたんやねぇ」と、ラジオでワールドカップ出場を見守った国民も大興奮です。
一方、ベトナムは9人が引いてしっかりと守ってくる構え。そのぶん日本は敵陣半ばまではほぼ自由にボールを持つことができ、大体攻めているという状態。ただ、最後は人が密集しており、パスをまわせば引っ掛かり、単独突破はゴチャゴチャして詰まるということで、どうやってこじ開けていくか、日本の攻撃がカギとなりそうな試合でした。ところが…
↓あ、先制された!前半20分コーナーキックから頭でズドン!ベトナム先制!
#テレビ朝日 で生中継中📺】
- テレ朝サッカー【3月29日(火)ベトナム戦 W杯アジア最終予選】 (@tvasahi_soccer) March 29, 2022
前半終了
🇯🇵日本0-1ベトナム🇻🇳#W杯 #アジア最終予選 #絶対に負けられない #daihyo #サッカー日本代表 #テレ朝 pic.twitter.com/y3PH8tDWu9
解説の内田さんは「仮にワールドカップ本番だったらコレで終わりです」とバッサリ!
終わりなのか!じゃ、野球に移動するか!
さぁ、これで試合としては面白くなりました。3-0で勝つ消化試合ではなく、逆転を目指して攻めダルマとなる熱い試合です。しかし、日本は相手の守備にかかる人数の多さと、自分たちの慣れない連携、その結果として攻撃が単独突破頼みになるという悪循環。サイドえぐってクロスを送る、サイドえぐってドリブルシュート、だけではない中央でのアクセントが欲しいところ。攻めてはいるものの得点の匂いはしないという試合です。
取り立てて何も起きずに前半を0-1で折り返すと、たまりかねたか日本は新戦力として期待を懸けた旗手怜央さんを前半だけで引っ込め、本大会でもレギュラー確定的であろう伊東純也さんを投入します。フォーメーションも4-3-3から慣れ親しんだ4-2-3-1に戻し、「いつもの」日本代表に。この交代には「もう日本代表は追い詰められているぞ!」と日本が大嫌いらしいベトナム代表パク監督(※松井大輔さん情報)もほくそ笑んだことでしょう。
すると早速の後半9分、久保⇒原口とつないで放ったシュートを相手GKがこぼし、そこに詰めていたキャプテン吉田が同点弾を蹴り込むことに成功!(※前振りですが、失敗もあるかもしれないという言い方をあえてしています)。「吉田が入れたのどっちのゴール!?」「ベトナムのゴールなの!?オウンゴールじゃなくて!?」「じゃ、日本が同点だ!」とサポーターも大興奮。スポーツ新聞も「吉田、魂のゴール」で1面制作に着手したに違いありません。
↓日本のピンチを吉田が救っちゃうの…?そんな時代になったんですね…!
【#テレビ朝日 で生中継中📺】
- テレ朝サッカー【3月29日(火)ベトナム戦 W杯アジア最終予選】 (@tvasahi_soccer) March 29, 2022
▶️後半9分 🇯🇵日本1-1ベトナム🇻🇳#吉田麻也 キャプテンが魂の同点ゴール👏#W杯 #アジア最終予選 #絶対に負けられない #daihyo #サッカー日本代表 #テレ朝 pic.twitter.com/iluIX0sGmV
ところが、ここから勝ち越しが遠い。何度となくチャンスは作りますが、いろんなパターンのノーゴールを演じて得点が入りません。後半25分、一度は田中碧さん(※鈴木愛理さん案件の選手です)がネットを揺らすものの、直前にハンドがあったとのことでVARの末にノーゴールに。後半33分、コーナーキックからヘッドで狙った場面、GKに当たってさらにポストに当たった跳ね返りがゴールすぐそばド正面にいた吉田麻也さんの足元に転がりますが「急にボールが来たのでビックリしました」的な外し方でノーゴールに。さらに後半43分には「ネットを揺らすもオフサイド」パターンでのノーゴールも披露しました。
「入れたけどVARで取り消し」「入れたけどオフサイド」「入れやがらない」という黄金パターンを1試合でまとめて見られるという、まるでノーゴール博覧会のような試合。改めて前半に内田さんが言い放った「仮にワールドカップ本番だったらコレで終わりです」が胸に突き刺さります。先制点の重みを感じます。ワールドカップ本番で先制を許せば、あまつさえ先に2失点などすれば、そこから逆転させてくれるようなポンコツチームは本大会にはいないのです。そのことを肝に銘じよと、サッカーの神様(※ジーコの顔をしている)が諭してくれたのだ……そう思いたくなる試合でした!
↓日本のピンチを吉田が救っちゃうわけなかった!なんか安心した!
変わらないモノがある幸せ!
これでこそ日本代表って感じがします!
結局試合は1-1で終了。グループ1位も確定させられず、ポット2は夢と霞み、「負けなくてよかった」「よくはないけど」「でも予選突破できてよかった」という、しんみりした最終予選の終わりに。試合終了後の内田篤人さんによる「公開詰め」ではキャプテン吉田が、6月にある国際Aマッチデー期間の4試合を最後のチャレンジの場として、そこでいい状態に持って行きたいと誓いました。
しかし、場内向けの挨拶では「6月に4試合ある」という前提を吹っ飛ばしてしまったため、「(ワールドカップに向けて)6月にみなさんの前でいいプレーを出せるよう頑張ります!」の印象だけが残り、「ワールドカップは6月開催なんだな」という誤解(※11月開催です)が広まる格好に。最後まで本大会の盛り上がりにつながらない感じの試合でした。
これまでは最終予選を通じて期待と認知を高めてきた結果としての「国民的」盛り上がりでしたが、今回の本大会に向けてはゼロからの再始動が必要かなという印象。「2022年11月にカタールでサッカーワールドカップがあるんです!」「ワールドカップとは?」「日本代表の歴史〜悲願のベスト8へ〜」あたりから順番に始めていきたいところ。
特に前回大会での悔しさ、惜しさ、取りこぼした栄光のことを反芻して、「今度こそ」という気持ちをまずチーム自身が高めていくことが必要だなと思います。何となく目指すのではなく、目標を持ち、何に挑戦するのかをしっかりと設定して臨む、そういう姿勢を自ら打ち出していく必要があるなと思います。それが「ほほう、そんなチャレンジをするのか」「どうなるか結果が気になるな」「見てみるか」という流れを生み出すと思うのです。なんとなく「いけるところまでいきたい」ではなく「ここまで絶対にいきたい」という姿勢が、期待と注目をかきたてるのです。
夢を見る者を、他人は見たくなる。
叶う叶わないではなく、まず夢を見ることから始まる。
そんな日本代表に期待したいもの。
夢のベスト8へ(※ベスト8が目標ってことでよかったんでしたっけ?)、頑張っていきましょう!
次のワールドカップは11月開催です!11月ですのでお間違えなく!
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