森保一監督

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24日、途中出場の三笘薫が後半アディショナルタイムに追加点を決めて2-0とし、日本代表は勝利を確実にした。引き分けでもほぼ予選突破が確実になるアウェイのオーストラリア戦で、森保一監督は冷静な判断で勝点3を奪い取り、ワールドカップ本大会出場を決めた。

前半はお互いに攻め合う不安定な展開になったが、吉田麻也は「相手が後半落ちると分かっていた」と事前のデータ分析があった言う。それでも、南野拓実のシュートがクロスバーに2回も当たるなど、日本はじれて冷静さを失ってもおかしくなかった。

オーストラリアは後半早々からプレッシャーを強めてアイディン・フルスティッチがゴールに迫る。だが森保監督は急いで反撃するのではなく、64分まで冷静に状況を見極め、中山雄太と上田綺世を投入して体制を整えると、サイドにボールを運んでは攻め返した。

試合前に吉田が「0-0のまま試合が進めばプレッシャーを感じるのは相手」と語っていたとおり、先に焦ったのはオーストラリアだった。75分を過ぎると次第に前後のバランスを崩し、前に出ていこうとする選手が増えて守備ラインが綻び始めた。

すると森保監督は84分、原口元気と三笘薫を投入。原口がダイナモとして中盤の主導権を奪い返し、三笘は空いたスペースを我が物顔で使って2ゴールを挙げた。

後半慌てて交代策を打ちバランスを崩さなかったこと、相手がバランスを崩すときまで待って切り札を投入したこと、そして最後まで攻撃の選手を投入して勝つ姿勢を選手に示したことの3点が、ワールドカップ予選で初めてアウェイのオーストラリアに勝つ要因になっていた。

この采配について聞かれた森保監督は「状況が刻一刻と変わる中で自分自身が試されることがありましたが、自分らしく、自然体に目の前に起きていることに対処できたのがよかった」と振り返る。

そして「選手たちが自分の判断を引き出してくれています。先発がタフに戦ってくれて、途中から出た選手がいい準備をしてくれて、試合を決める、締める。選手たちがそういう準備をしてくれていたことが自分の判断につながったと思います」と選手に華を持たせて話を締めくくっていた。


【文:森雅史/日本蹴球合同会社@シドニー】