塩野義製薬は、開発中の新型コロナウイルスのワクチンについて、3回目の追加接種を想定した臨床試験の中間報告の結果、ファイザー製のワクチンと同等の効果が確認できたと発表しました。このニュースについて高橋先生にお話を伺います。

監修医師:
高橋 公一(医師)

1996年埼玉医科大学医学部卒業、公立昭和病院心臓血管外科、埼玉医科大学病院、米ジョンスホプキンス大学留学、埼玉医科大学病院消化器・一般外科を経て、現在は医療法人社団高栄会みさと中央クリニック院長。日本外科学会認定外科専門医。

塩野義製薬が発表した内容とは?

塩野義製薬が開発中の新型コロナウイルスワクチンについての発表内容を教えてください。

高橋先生

塩野義製薬は3月4日、開発中の新型コロナウイルスのワクチンについて、3回目の追加接種向けの臨床試験の中間報告内容を発表しました。ファイザー製のワクチンを2回接種して6ヶ月以上たったおよそ200人を対象に臨床試験が行われ、追加接種として再びファイザー製のワクチンを接種した場合と開発中のワクチンを接種した場合で比較が行われました。その結果、接種から29日目の時点での中和抗体の値を比べると、塩野義製薬が開発中のワクチンを接種した人は、ファイザー製のワクチンを接種した人の1.17倍となっていて、効果が同じ水準であることが確認できたとしています。副反応については接種した場所の痛みや倦怠感、それに筋肉痛や発熱などが報告されましたが、重篤なものはなく、ファイザー製のワクチンと同等以下だったということです。塩野義製薬が開発中のワクチンは、遺伝子組み換えでつくったウイルスの一部を活用する組み換えタンパクワクチンで、ファイザー製やモデルナ製のmRNA(メッセンジャーRNA)を用いたワクチンとは異なるタイプになります。

組み替えタンパクワクチンとは?

今回、塩野義製薬が開発しているワクチンのタイプ、組み替えタンパクワクチンについて教えてください。

高橋先生

組換えタンパクワクチンは、抗原となる蛋白質を遺伝子組換え技術によって作り出し、主に大腸菌、酵母、動物細胞を利用して製造されるワクチンになります。一般的に免疫原性が低いことが多いので、アジュバントと呼ばれるワクチンと一緒に投与して効果を高めるために使用される物質を添加するなどして、免疫原性を上げる必要があるとされています。帯状疱疹やB型肝炎、破傷風、百日咳、帯状疱疹などのワクチンに実際に使われています。

塩野義製薬製のワクチンに期待することは?

塩野義製薬のワクチンに対して期待するポイントを教えてください。

高橋先生

より副作用の少ないワクチンで、既存のワクチンと同等もしくはそれ以上の効果があることが期待されます。さらに、ワクチンの効果・持続期間が長く、次回の接種までの期間を延長できることが望まれます。

まとめ

塩野義製薬が開発中の新型コロナウイルスのワクチンにファイザー製ワクチンと同等の効果が確認できたことが今回のニュースで明らかになりました。塩野義製薬によると5月以降に商用の供給が始められるよう準備しているということで、国内初の新型コロナウイルスワクチンとして、今後も注目を集めそうです。

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