戦略物資管理院に掲示されている国際社会の輸出規制と制裁対象の国家(資料写真)=(聯合ニュース)

写真拡大

【ソウル聯合ニュース】国際社会がウクライナに侵攻したロシアに対し全方位から制裁を科す中、韓国も遅まきながら米国や欧州連合(EU)の制裁レベルに足並みをそろえようと動いている。韓国政府は当初ロシアへの独自制裁を否定していたが、対応が甘いとの指摘を受け、最近になって戦略物資の輸出中止、ロシア国債への投資停止など実質的に独自制裁に準じる措置を相次いで打ち出している。

 政府は1日、ロシアの主要銀行7行とその子会社との金融取引を停止し、ロシア国債への投資を見合わせるほか、国際決済ネットワークの国際銀行間通信協会(SWIFT)からのロシアの排除を実行することを決めた。

 日本はロシアの銀行3行のみを対象に取引を停止したが、韓国は米国が制裁対象とする7行と子会社を対象に取引を止める。

 これに先立ち、政府は戦略物資の輸出中止も発表した。ロシアへの戦略物資の輸出を承認しない方法で、実質的に輸出を止める。

 加えて、米国が域外規制の外国直接製品規制(FDPR)を適用するとした半導体など非戦略物資の輸出を規制する方策も講じている。

 米政府が先月下旬に発表した対ロシア輸出規制には、半導体や情報通信、センサーなど7分野のハイテク製品に対しFDPRを適用するという内容が含まれた。

 FDPRは、米国外で外国企業が製造した製品であっても、米国が規制対象と定めたソフトウエアや技術を使用している場合は輸出を禁じることができるというもので、これに基づき韓国企業はFDPR適用対象の製品をロシアに輸出する場合に米商務省の許可が必要になる。

 FDPRの適用を免除されるためには米国の制裁に準じる対ロシア制裁を実施する必要があり、韓国政府は輸出規制品目のリストを定める方法を検討しているという。

 これまでに打ち出した輸出規制や金融制裁だけを見ても、韓国は事実上の対ロシア独自措置を実施しているといえる。他国が導入していない制裁を独自に行っているわけではないが、国際社会の制裁の円滑な実施に向け、政府は積極的な措置を取っている。

 青瓦台(大統領府)と政府は当初、ロシアへの独自制裁は考えていないとしていた。だが、EUや英国、日本などが米国の制裁に準じる独自の措置を取り、中立国のスイスやスウェーデンまでもが積極的に動いたことで韓国の制裁意思の弱さが指摘され、方針を転じたとみられる。

 とりわけ、米国がEUや日本などに対してはFDPRの適用を免除した一方、韓国は免除対象に含まれておらず、企業の輸出活動は制約を受けざるを得ない。また、韓米間の信頼関係に疑問を呈する声も出ていることから、政府は取り残されるわけにはいかないと判断したようだ。