同姓同名の容疑者と人違いで逮捕された女性(画像は『New York Post 2022年2月23日付「California woman jailed 13 days in case of mistaken identity: lawsuit」(KTTV)』のスクリーンショット)

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昨年4月、米カリフォルニア州在住の女性がテキサス州で起きた事件の容疑者として誤認逮捕された。その女性と容疑者の女は同姓同名で、警察は運転免許証や生年月日などの個人情報を確認することなく逮捕に踏み切ったという。身に覚えのない罪で13日間収監された女性は極度のストレスと精神的苦痛を受けたと主張し、ロサンゼルス市と警察を訴えると発表した。『Los Angeles Times』『New York Post』などが伝えている。

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米カリフォルニア州アグーラヒルズ出身のベサニー・K・ファーバーさん(Bethany K. Farber、30)は2021年4月、ロサンゼルス国際空港でメキシコ行きの便の搭乗を待っていたところ人違いで警察に逮捕され、13日間収監された。

テキサス州で指名手配中の容疑者と同姓同名だったというベサニーさんは今年の2月22日、誤認逮捕により精神的苦痛を受けたとしてロサンゼルス市と警察を訴えた。

ベサニーさんは空港で拘束された時のことをこう振り返っている。

「昨年4月16日、空港でメキシコのプエルト・エスコンディード行きのフライトを待っていたところ、運輸保安局職員に拘束されました。捜査官からテキサス州での個人情報窃盗の罪で私の逮捕状が出ているから飛行機には乗れないと言われて…。私は前科もないし、テキサス州にも行ったことがないと言いました。それなのに捜査官は私の運転免許証や生年月日、社会保障番号などの個人情報を確認せず、水も置いていない部屋に2時間以上監禁しました。」

空港警察に逮捕されたベサニーさんはリンウッドにある留置施設「Century Regional Detention Facility」に連行され、ロサンゼルス市警察により13日間拘束されたという。

訴状によると2人は名前以外に共通点がなく、ベサニーさんは長いブロンドの髪をしているが、容疑者はベサニーさんより年上で髪は短くダークな髪色だった。もし捜査官が逮捕状と一緒に写真を確認していたら、ベサニーさんが逮捕されることはなかっただろう。

その後、テキサス州の裁判所から人違いだと連絡があったにもかかわらず、さらに3日間拘束が続き、弁護士が事件当日のベサニーさんがカリフォルニア州にいたことを示す携帯電話のデータを提出したことでようやく釈放された。

「収監中はプライバシーを奪われ、トイレットペーパーや石鹸を共有させられ、食べ物で冷えた体を温めていました。それに人糞が壁に投げつけられ、塗りつぶされるのを見たりもしました。仲が良かった祖母は私が収監されたと知り、ストレスから脳卒中になってしまって…。そして私が釈放された直後に他界しました。それまでは健康で生き生きとしていたのに、本当に悲しいです。」

そのように明かしたベサニーさんは今回の誤認逮捕および監禁で極度のストレスや精神的苦痛を受けたと主張しており、訴訟についての記者会見で以下のような声明を発表した。

「これは誰にでも起こり得る悪夢のような出来事です。法律を守って生活している他の市民には私が経験したようなことはしてほしくありません。私たちを守るために憲法改正があるはずですし、法執行機関を恐れてはいけないのです。」

また彼女の弁護士であるロドニー・ビッグス氏(Rodney Biggs)は、今回の誤認逮捕が起きた経緯について次のように語っている。

「ベサニーさんがメキシコに向かっていたことから逃亡の可能性があると見なされたと思いますが、当局はほんの少しチェックするだけで彼女の身柄を確保せずに済んだはずです。でも誰も彼女のミドルネームや生年月日を確認しなかったのです。基本的なことすら確認されていないため、彼女が誰であるかという情報は一切ありませんでした。それが一番の問題です。」

なおロサンゼルス市警察の広報担当ヘクター・グズマン巡査部長(Hector Guzman)は「係争中の訴訟についてのコメントはしない」と述べているそうだ。

画像は『New York Post 2022年2月23日付「California woman jailed 13 days in case of mistaken identity: lawsuit」(KTTV)(IVIE MCNEILL WYATT PURCELL & DIG)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 上川華子)