運命の彼と結婚を脅かす「元カノ」…彼の浮気現場に乗り込むのはアリ?

横浜の探偵・山村佳子が調査した男と女の浮気事情。そこからわかる恋愛の表と裏を読み解いていく連載です。

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飲み会の帰りにファミレスで相席した彼

今回の依頼者は、コロナ禍でリストラされたばかりだという由美乃さん(仮名・28歳)。観光PR活動をする団体に勤務していたそうです。

「いわゆる天下り的な組織の職員だから、リストラをされないと思ってのんきにリモートワークをしていたら、肩を叩かれていました」と笑顔で語ります。

由美乃さんは少々、自虐的な方で、「1日12歩しか歩かない生活をしていたら、5キロ太りました。ギャグみたいじゃないですか?」とか「リモートでずっと映像オフとミュートにしていたら“幽霊”ってあだ名がついたんです」などと、笑っていいのかどうか少々困惑するネタを話します。

最初は困惑したのですが、話すうちに温かく誠実な人だということがだんだんわかってきました。

「相談というのは、一緒に住んでいる彼のことです。ハートマークだらけのLINE画面を見てしまい、なんかある…と思ってこちらに来ました」

由美乃さんの家は、もともと家族(両親、由美乃さん、父方の祖母)で住んでいたそうです。しかし、10年前に祖母がなくなると、お母さんが「嫁終了!これで私は自由だ!もうあんたたちなんか知らないからね〜」とパスポートとお金を持って出て行ってしまったとか。

「私は一人っ子なので、父と2人で残されました。それまでも母はネグレクト気味で、私は祖母に育ててもらったようなもので、母は自由にしていたのですが、私たちの存在が母を縛っていたと思い、すごく傷つきました」

当時18歳だった由美乃さんは、会社員の父と暮らします。

「1年くらいすると、父も“俺もやりたいことをやる。家はお前にやる”と言い、会社を辞めて北海道で漁業を始めてしまったんです。今は現地で女性と巡り合い、家も買って幸せに生活しているようです。私は大学を出るまで祖母の遺産で生活し、固定資産税や維持費をボチボチ払いながら、たった一人で住んでいました」

今から3年前、そこに転がり込んできたのが、今回の調査対象の彼。

「彼は15歳年上で会社員をしています。うちに来たのは、前の奥さんと離婚したばかりの頃です。私が会社の飲み会で終電を逃したときに、24時間営業のファミレスに行ったら満席だったんです。落胆する私に“僕の席でよかったら相席しませんか?”と声をかけてもらったのが彼。超イケメンだったので二つ返事で座らせてもらいました(笑)」

由美乃さんから誘って、男女の関係に

その日のうちに「お持ち帰り」する

当時はまだコロナ禍前。世の中はインバウンドに湧いており、由美乃さんは多忙を極めていたそう。

「全然出会いもなくて、寂しかったんです。そんなところに、私のドンピシャ好みのタイプと同席できた。なんとなく話すうちに、すごく優しい人だとわかりました。彼は千葉の実家に住んでいて、“ここで5時半まで時間を潰して、早朝からやっている銭湯に行って、会社で仮眠するんです”と言っていたので、断れるかなとは思いつつ、うちに誘ってみました」

すると彼は2つ返事で「いいんですか!?伺います!」と返事。それと同時に名刺を差し出したそう。そこには誰もが知る企業名が印刷されていました。

「驚く私に“なりすましじゃないですよ”と名刺入れと、自分の会社のサイトに掲載されている彼のインタビューを見せてくれました。彼の名前と企業名で検索するといくつかの記事がヒット。タクシーで家に行き、そのまま恋人関係になりました」

一緒に朝を迎えて、食事を整えていると「今夜も帰ってきていい?」と言われて、そのまま居ついてしまったのだそうです。

「彼はちょっと前に離婚をしており、慰謝料と養育費をむしり取られてスッカラカンだったんです。いいところにお勤めしていても手元にお金が無くなったので、実家から通勤していたんです。うちは部屋も余っているので、“住んでもいいですよ”と言ったら、その日の夜にスポーツバック1個だけ持って来たんです」

彼は住んでいたマンションも家電もすべて元妻と子供に譲っていました。

「元奥さんがエキセントリックな人だったそうです。それで、一緒に住み始めたんですが、これがすごく楽だったんです。干渉をしてこないし、基本的に優しいし、家事は何も言わなくてもやってくれます。15歳年上ですが、こんないい人はいない。いずれ結婚するつもりで3年間ずっと一緒にいたんです」

ベタベタするのではなく、いい感じの距離感を保っていました。優しく寄り添ってくれていたのだそうです。

「ずっと安心して生活していたのに、ある時彼のスマホに、ハートマーク付きのLINEが来たのを見てしまったんです。その少し前から、“元妻から子供の面倒を見てほしいと言われるんだけれど、怒られるのはイヤだな”などと語っていたんです。彼はここ最近、グッと淡泊になってしまったこともあるので、心配はないと思うんですけれど…。最近土日は1日中外出することもあって、心配なんです。3年間、家賃をもらわずに生活を支えてきただから、私が無職になった今こそ、結婚してほしいと思っています」

祖母の代からの家に住んでいるけれど、両親はすでに家を出てしまった。※写真はイメージです。

【ハートマークだらけのLINEを送っていた相手は? 後編に続きます】