非日常は心の癒し。近場で歴史に想いを馳せ、非日常に身を置く東京ひとり旅におすすめの場所が「東京ステーションホテル」です。ランチやアフタヌーンティーで訪れたことがある人も多いと思いますが、その魅力を深く知れるのは、やはり泊まったからこそ!今年リニューアルから10周年を迎える、東京ステーションホテル滞在をレポートします。

リニューアルから10周年!「東京ステーションホテル」

重要文化財に泊まれる「東京ステーションホテル」。

東京ステーションホテルは100年以上の歴史を持ち、「東京駅」の中にあるという類稀なる高級ホテル。好景気を迎えていた1915年に国内外の賓客を迎えるためのホテルとして誕生し、2003年に東京駅丸の内駅舎が国の重要文化財に指定されたことをきっかけに2007年、駅舎の保存・復原工事が行われました。

そして2012年10月、ホテルは駅舎の赤レンガの雰囲気に合わせ、ヨーロピアンクラシックを基調としたデザインでリニューアルオープン。インテリアデザインはイギリスの会社「リッチモンド・インターナショナル」が手がけ、まるでイギリスの高級ホテルのような洗練された空間で滞在を楽しめます。

白の世界が美しい。

慌ただしい東京駅の通路からホテルへ足を一歩踏み入れると、「白の世界」にうっとり。額縁のようなモールディングが施されたホワイトグレーの壁、きらりと光る白大理石の床…。フロント前では西洋の習慣に習い、暖炉の暖かい灯でゲストを迎えています。

ドームサイドがおすすめ。

さまざまな客室がある中で、女性のひとり旅におすすめの客室が「ドームサイドコンフォートキング(1泊1名利用税込53,330円〜)」。広さは30平米ながら天井高が3.9mもあり、開放感のある空間となっています。白を基調としつつ、ブルー×シルバーのインテリアがとても上品。天井にはシャンデリアが飾られ、気分はプリンセスです。

約100年前のデザインに復原されたドームが目の前。

この客室を勧める一番の理由は「眺望」。なんと、東京駅の駅舎ドームが部屋の大きな窓から見ることができるのです。眼下には改札があり、電車を利用する人たちが行き交います。東京駅に泊まるからこそ見える景色です!

ドームのレリーフは白黒写真などから検証し、約100年前のデザインを復原。1945年に空襲によってドームが消失した後、長らく別の姿となっていましたが、2012年の保存・復原工事によってオリジナルに戻したのです。細かく見るとドーム天井に「クレマチス」「大鷲」、壁面には「豊臣秀吉の兜」「剣」「鳳凰」の繊細で美しいレリーフを発見。これらは駅舎を設計した近代建築の巨匠・辰野金吾さんが好んだ和洋折衷の意匠です。

切符デザインに注目。

バスアメニティはフランスの香水ブランド「イストワール・ドゥ・パルファン」の「Est. 1915」。調香師が東京ステーションホテルの歴史をイメージして作ったオリジナルアイテムで、100年前の東京のように活気溢れる柑橘系の香りから、時を経て重厚感のある落ち着いたウッディ・ムスクの芳香へと変化します。石鹸で手を洗うだけで、うっとりしてしまうほど良い香り。ボトルのサイドをよく見ると、ハサミ入れされた切符のデザインが!一般販売していないため、宿泊しないと手に入りません。

メモは「原稿用紙」デザイン。

ステッカー、ポストカード、しおりはホテルから宿泊者へのプレゼント。ステッカーは現在の東京ステーションホテルオリジナルデザインと、1933年に東京鉄道ホテルという名で運営していた頃のデザインを復刻したステッカーの2種類。さらに備品のメモは松本清張や川端康成など文豪に愛されたホテルということにちなんで「原稿用紙」のデザイン。このメモはペンやステッカーと合わせて「文豪セット(税込815円)」として購入可能で、一番人気のお土産です。

チェックイン時にもらえる「館内ツアーガイド」。

客室を楽しんだ後は館内散策へ。ホテルの秘密が詰まった「館内ツアーガイド」を片手に巡ると、ホテルの歴史を学びながら魅力を堪能できます。駅舎は横に長く、全長約335m。東京タワーを横にした以上の長さなのです。そのためホテルもどこまでも続くような廊下がユニークで、端から端まで歩くと軽いウォーキングができます!2Fレストランエリアにある工藤晴也さんのアートワーク「時代抄」は、南ドームにあったオリジナルの石膏レリーフを間近に見られるので一押し。ちなみにドーム側の客室に宿泊しなくとも、南北ドームに面した宿泊者専用スペース「アーカイブバルコニー」でドームを見学することも可能です。

伝説のバーテンダーのカクテル「東京駅」に舌鼓。カメリアでディナー

伝説的バーテンダー杉本壽さん。

ディナーはバー&カフェ「カメリア」。テーブル席のほかカウンター席があり、おひとり様でも気兼ねなく食事が楽しめます。カメリアでぜひとも味わいたいカクテルが「東京駅」。1989年、東京駅開業75周年を記念してマスターバーテンダー・杉本壽さんが創った名作です。杉本さんは20歳より東京ステーションホテルでバーテンダーとして働き、御年81歳。2021年には「フォーブス・トラベルガイド」の「Hotel Employee of the Year 2021」を日本国内で初めて受賞し、世界中に知れ渡る伝説的なバーテンダーなのです。

「東京駅」1,600円(消費税・サービス料込)。

「東京駅」はジンをベースにハーブリキュールとライムジュースを合わせ、ザクロのグレナデン・シロップで赤レンガ色を表現したカクテルです。フルーティーな爽やかさとともに、大人な苦味も隠された唯一無二の味わい。「半分飲んだらライムを絞って。(列車の)上りと下りみたいに味わってね」と、東京駅にかけたおしゃれな言い回しで提供してくれました。杉本さんの魔法がかかっているのか、これを飲むためにホテルにまた来たい…と思わせます。通常杉本さんはバー「オーク」で勤務していますが、現在オークが休業中のため、再開までカメリアで腕をふるっています。

「OKAWARI(オカワリ)」オンラインでの事前予約:6,100円、当日もしくは電話予約:6,800円(消費税・サービス料込)

食事はアラカルトも選べますが、今回はお得な「OKAWARI(オカワリ)」をチョイス。前菜、デザート、メインディッシュ、食後のドリンクというコースで、贅沢にもメインディッシュがオカワリ自由なのです!メインディッシュは2022年3月31日(木)まで「トリュフ四重奏」と題して「フグの網焼き トリュフビネグレット」「トリュフとフォアグラ入りメンチカツカツレツ コールスロー添え」「フグのムニエル トリュフ風味」「フグ出汁とマスカルポーネチーズ入りトリュフリゾット」の4つのメニューが食べ放題。どれもトリュフの芳醇な香りが幸福感を増長させ、オリジナルのトリュフバターでコクを加えたフグのムニエルはふわふわで柔らかく、カクテル「東京駅」との相性もぴったり。

フグ出汁とマスカルポーネチーズ入りトリュフリゾット。

4品の中で、みんなのオカワリ頻度が高い人気メニューが「フグ出汁とマスカルポーネチーズ入りトリュフリゾット」。フグの骨からとった出汁で炊いた和風なリゾットにマスカルポーネ・トリュフを合わせ、フグの白子のフリットをトッピング。フグの白子はまるでチーズのように濃厚でとろけ、至福のおいしさでした。

約100種類の朝食ブッフェ!屋根裏に入れるのは宿泊者だけ

東京駅舎の屋根裏を利用した朝食会場。

東京駅にいるとは思えないほど静かな朝。朝食はゲストラウンジ「アトリウム」でいただきます。ここは駅舎の中央最上階、屋根裏にあたる空間で、泊まった人だけが入ることができる宿泊者専用のエリアです。

中央には創業当時の赤レンガが。

ここでの見どころは創業当時のままの赤レンガ。関東大震災でも崩れなかった強固なレンガや、イギリスから輸入した鉄骨を間近に見ることができます。約100年前、人の手で積まれたレンガかと想うと感慨深い…!

「朝食」5,250円(消費税・サービス料込)

ブッフェスタイルの朝食で選べるアイテムは約100種類。サラダ、冷製料理、温製料理、フルーツ、デザート、パン、和食、ドリンクなど選びきれないほどのメニューが並んでいます。すべて小鉢になっているので、トングを使う必要はなく衛生的。

和食も洋食も好きなだけ。

特にライブキッチンでシェフが作る出来立てオムレツが人気!珍しい「本ズワイガニとのりのオムレツ」は、カニの旨味と海の風味豊かな和のオムレツです。パティシエ特製のケーキや果汁あふれる手搾りのフレッシュオレンジジュースもおいしく、「泊まってよかったなぁ」としみじみ感じながら、幸せな1日をスタートできます。

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東京の中心で100年以上の歴史を感じ、おひとり様にも優しい「東京ステーションホテル」。東京駅の内側には、宿泊者しか体験でき得ない秘密が詰まっていますよ。

・東京ステーションホテル
https://www.tokyostationhotel.jp/

取材・文/小浜みゆ