赤い丸の中に白の横線――奇しくも同じ特徴を持つ人気ラーメンチェーン「天下一品」のロゴと「進入禁止」の標識。その2つが同じ場所にあるというツイートが話題を呼んでいる。

こちらは2022年1月29日にツイッターユーザーの長沢めい(@nagasawa_may)さんが投稿した写真。長沢さんによると、埼玉県・大宮駅東口のロータリーで撮影したものだという。

写真上部に進入禁止の標識、そして下部にはロゴも描かれている天下一品の大宮東口店の看板がある。

「天下一品あるじゃん...って、よく見たら道路標識でコレ食べれないなぁ...って思ったんだけど、近寄ってみたら根元にちゃんと天下一品があった...なにこの奇跡の共演...」

と呟く長沢さん。この「奇跡の共演」は5000件以上のリツイート、1万5000件以上のいいね (2月1日夕時点)を集めるなど、反響を呼んだ。

そして、どういうわけか心配の声もあがっている。

「車の自動運転システムが天一ロゴを通行禁止マークに誤認したことがあったけど、こういう状況だとさらに混乱しそうだ」
「日本の自動運転のハードル高そう」
「自動運転の難問。天一問題」

天下一品と進入禁止が同じ場所にあるだけで、なぜこうした話が出てくるのか。それには、理由がある。

「標識認識機能」で天一ロゴを「進入禁止」と誤認識

Jタウンネットの姉妹サイトであるJ-CASTニュースは2021年2月3日、ホンダが15年1月の発売車から導入している「Honda SENSING」(ホンダセンシング)という安全運転支援システムが、路上にある天下一品のロゴを進入禁止と認識してしまった、という話題を取り上げている。

ホンダセンシングは、走行中に歩行者や対向車を検知して衝突を回避する「衝突軽減ブレーキ」(CMBS)や誤発進抑制機能などを搭載しており、その中の1つに走行中にカメラが読み取った標識情報をディスプレイに表示する「標識認識機能」がある。

そんなホンダセンシングを搭載した車が、「天下一品」の看板を「進入禁止」と誤認識したと報告するツイートが21年1月に投稿されていたのだ。

J-CASTニュースの取材に対し、ホンダの広報担当者は天下一品ロゴと進入禁止標識の誤認識が起こることは「把握している」とし、利用者から誤認識の指摘が寄せられたことがあると回答している。

そこで気になるのは、今回長沢さんが投稿したように天下一品のロゴと進入禁止の標識が同じ場所にあった場合、ホンダセンシングを搭載した車が天下一品のロゴ、進入禁止の標識のどちらを認識してくれるのかだ。

Jタウンネット記者は22年2月1日、本田技研工業(東京都港区)に長沢さんが投稿した写真を見てもらい、ホンダセンシングでは天下一品のロゴ、進入禁止の標識のどちらを認識するのか聞いた。

ただ、同社からの返答「回答はできない」というもの。

こうなったら、別の角度から可能性を探っていくしかない。まず記者は大宮駅東口のロータリーの状況を確認した。

車から「天下一品」は見えない?

天下一品の大宮駅東口店と進入禁止の標識があるのは、大宮の南銀座と呼ばれる通り。

その手前に大宮駅東口のロータリーがあるのだが、ここである事実に気が付いた。このロータリーは、画像の手前方向から天下一品と進入禁止の標識の方向に向かい、その後右方向に回る一方通行になっているのだ。

天下一品と進入禁止の標識があるあたりで一方通行は右に曲がる。そうなると、標識の左下にあり、標識とはほぼ90度の角度になっている天下一品の看板は車の正面に入ることはない。

Googleストリートビューで天下一品と標識がある位置に近づくと、天下一品の看板はかなり見えづらいことがわかる。

こうした状況を踏まえると、ホンダセンシング搭載の車で大宮駅東口のロータリーに入ったとしても、ちゃんと進入禁止の標識の方だけを認識してくれるのではないか。

ただ、仮に天下一品のロゴを「進入禁止」と誤認識したとしてもこの場所では何ら問題はないだろう。天下一品の前の道は、確かに進入禁止なのだから。