激しい眠気は身体の病気が原因?考えられる病気や対処法を医師が解説

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激しい眠気に襲われるとき、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?ここではMedicalDoc監修医が睡眠不足以外でも激しい眠気を起こす症状で考えられる病気や何科を受診すべきかなどを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
別府 拓紀 医師(精神科医)

2012年産業医科大学医学部卒業。
大学病院や市中病院で精神科の経験を積み、現在精神科医として市中病院勤務。大手企業の専属産業医経験あり。
病院や企業の嘱託産業医経験多数。
公認心理師、精神保健指定医、認知症サポート医、日本精神神経学会精神科専門医・指導医、日本老年精神医学会専門医、日本臨床精神神経薬理学会専門医、メンタルヘルス運動指導士、日本医師会健康スポーツ医、産業医、日本DPAT先遣隊隊員。

「激しい眠気」で考えられる病気と対処法

日中の激しい眠気には、さまざまな原因があります。例えば、昼食後に眠くなり、昼すぎに行われる学校の講義や、職場での会議が大変きついものになる経験は誰もがされていることでしょう。そういった生活の中での激しい眠気は、多くの場合気にする必要はありませんが、なかには、治療が必要な病気が隠れている場合があります。
ここでは、激しい眠気がある場合の対処法や、病院を受診するべきポイントなどについて説明していきます。

激しい眠気と倦怠感がある症状の原因と治し方

激しい眠気に伴い、「何もしたくない」「何をするにも億劫だ」と倦怠感を伴う症状を指します。
このような場合は、一度ゆっくり休養をとることが症状の改善にとって大事です。
しかし、充分な休養をとっても、億劫な気持ちが持続する場合には、うつ病などの精神疾患が隠れている可能性があるので、精神科へご相談することをお勧め致します。

激しい眠気と頭痛がある症状の原因と治し方

激しい眠気と頭痛が、同時に起きる場合には、単純な不眠によるものから脳血管障害によるものまでさまざまな原因が考えられます。
不眠が続くことで頭痛をきたすことがあります。多くの場合、睡眠を十分にとることで症状は落ち着くでしょう。頭痛のなかでも、片頭痛という病気は眠気を伴うことがあります。
女性の方では、月経前症候群、更年期障害といったホルモンバランスによる影響で、頭痛と眠気を同時に感じることがあります。
最も注意すべきは、脳梗塞や脳出血による症状です。頭痛、眠気と同時に、けいれん、麻痺、嘔気、意識がもうろうとする、などの症状を認めた場合には、緊急での治療を要するため、すぐに救急車を呼んで脳神経内科や脳神経外科を受診してください。

激しい眠気と吐き気がある症状の原因と治し方

激しい眠気に吐き気を伴うこともあります。多くの場合、ストレスによる自律神経の乱れが原因です。基本的にはリラックスできる環境に身を置くことである程度改善するでしょう。しかし、激しい吐き気や意識を失いそうなレベルでの眠気は、脳血管障害の可能性もあるため、脳神経内科や脳神経外科を受診する必要があります。

食後に激しい眠気がある症状の原因と治し方

食後は血液が胃などの消化器官へ多く流れることで、眠気を来しやすくなります。そのため、食後の激しい眠気は生理的な反応なので気にする必要はありません。
しかし、糖尿病にかかっている場合には、食後の激しい眠気は低血糖症状の一つとして現れる可能性もあるため、注意が必要です。食後に眠気以外にも倦怠感、不安感、焦燥感などを認めることが続く場合は、内科への相談をお勧めいたします。

生理前や生理後に激しい眠気がある症状の原因と治し方

生理の前後に眠気を来すことがあります。眠気とともに、イライラ、不安感、抑うつといった精神的な症状を来すこともあります。このような場合、女性ホルモンのバランスの乱れが原因として考えられます。症状が強く日常生活に支障がある場合は、精神科や産婦人科に相談されることをお勧め致します。

妊娠中・妊娠初期に激しい眠気がある症状の原因と治し方

妊娠中・妊娠初期に眠気を来す場合には、女性ホルモンバランスによる影響が原因として考えられます。妊娠の可能性があり、夜しっかり眠れていても、日中なんとなく眠い、だるいといった症状があれば、一度妊娠検査薬を試してみるとよいかもしれません。

すぐに病院へ行くべき「激しい眠気」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

麻痺、けいれん、激しい吐き気、意識障害を認めた場合は、脳神経内科・脳神経外科へ

眠気と同時に、麻痺やけいれんといった神経症状、吐き気、意識障害などを認めた場合は、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害を来している可能性があります。治療を速やかに進める必要があるので、すぐに救急車を呼んで、脳神経内科や脳神経外科を受診してください。

「激しい眠気」が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「激しい眠気」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

不眠症

生活リズムの乱れやストレスから、夜眠れない、といった症状をきたすことがあります。夜は暗くして日中は光が入るようにし、生活リズムを整えることで多くの場合は改善します。しかし、症状が続く場合は精神科へご相談することをお勧め致します。

睡眠時無呼吸症候群

夜眠れている自覚はあるのに、日中激しい眠気を来します。激しいいびきをかいている場合が多く、特に肥満体型の方に多い疾患です。思い当たる症状があれば、呼吸器内科、循環器内科、精神科へご相談ください。

うつ病

うつ病といえば不眠をイメージしやすいかもしれませんが、倦怠感、強い眠気といった症状を来すこともあります。生活リズムを整えても倦怠感等が改善せず、食欲に波がある場合には、精神科への受診をお勧め致します。

ナルコレプシー

日中突然激しい眠気に襲われ、倒れるように睡眠状態になってしまう睡眠発作をきたす疾患です。自覚症状があれば、精神科や脳神経内科への相談をお勧め致します。

月経前症候群

月経前1-2週間に症状が出現します。強い眠気、頭痛、吐き気、不安感などの症状を認めることが特徴的です。症状が続いて、社会生活に支障をきたす場合は治療が必要です。精神科あるいは産婦人科を受診されることをお勧めします。

更年期障害

ホルモンバランスの乱れから、強い眠気、頭痛、イライラ、抑うつなどの症状をきたすことがあります。症状があることで生活に支障をきたしている状態であれば、精神科あるいは産婦人科の受診をお勧めいたします。

脳梗塞、脳出血

突然、強い眠気とともに麻痺、けいれん、激しい吐き気、意識障害等の症状を認めた場合は脳血管障害の可能性があります。緊急性が高いため、すぐに脳神経内科や脳神経外科を受診してください。

「激しい眠気」があるときに気をつけたい生活習慣

生活習慣で気をつけたいことは、生活リズムを整える環境をつくることです。具体的には、日中昼寝をせずにしっかりと覚醒し、夜間は部屋を暗くする、夜中に携帯電話パソコンをみないことなどです。
喫煙は不眠を助長するともいわれることから、生活リズムの乱れが起きているなら禁煙が必要です。また、夜間の飲酒も睡眠を浅くするといわれることから、控えた方が得策といえるでしょう。
生活リズムを整える努力をしてもなお激しい眠気を来している場合は、何らかの疾患が隠れている可能性も考えられるので、精神科などの専門家へご相談ください。

「激しい眠気」があるときに飲んでも良い市販薬は?

激しい眠気の原因は、気にしなくてよいものから緊急を要するものまでさまざまです。
基本的には、市販薬やサプリを使用することは安全面などの観点からおすすめできません。もし、使用するのであれば用法用量をしっかりと守りましょう。眼を覚ます物質としてカフェインが有名ですが、最近、コーヒーやエナジードリンク、またサプリによるカフェイン依存が注目されています。カフェインは習慣的にとっている場合、摂取しないと頭痛等の身体症状が出てくる身体依存を形成しうる物質です。また、過剰摂取により中毒症状を来す場合もあり、注意が必要です。

「激しい眠気」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「激しい眠気」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

車の運転中に激しい眠気に襲われることがあります。対処法はありますか?

別府 拓紀 医師

運転中の眠気に対するすぐできる対処法は、一度休憩をとって外の空気を吸うことです。
もし眠気が続くようなら、一度仮眠をとってから運転することを考慮しましょう。無理な運転は事故の原因となりますので絶対にやめましょう。

睡眠不足ではないのに仕事中に激しい眠気があります。何科を受診すべきでしょうか?

別府 拓紀 医師

睡眠不足ではないのに日中に激しい眠気がある場合、睡眠時無呼吸趣向群、ナルコレプシー、低血糖などさまざまな原因が考えられます。症状が続くようであれば、精神科や内科の受診をお勧め致します。

薬の副作用で激しい眠気が起きることはありますか?

別府 拓紀 医師

薬の副作用により眠気を来すことはあります。
身近なものとすれば、花粉症やアレルギーなどで使用する薬の中に、抗ヒスタミン作用という眠気を誘発するものがあります。処方してもらう際、医師や薬剤師に眠気の副作用の有無などをあらかじめ尋ねるとよいでしょう。

まとめ

一見、ありふれた症状でもある「激しい眠気」も、場合によっては緊急の治療を要する場合もあります。一番大事なのは、何事も無理をしないこと。上記症状だけでなく、気になることがあれば専門家へ相談することをお勧め致します。

「激しい眠気」で考えられる病気と特徴

「激しい眠気」から医師が考えられる病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

精神科の病気

過眠症

不眠症

睡眠時無呼吸症候群

ナルコレプシー

うつ病

婦人科、脳神経系の病気

月経前症候群

更年期障害

妊娠症状

低血糖症状

脳梗塞

脳出血

激しい眠気を来す病気として、上記等が挙げられます。なかには緊急で処置が必要な場合もあり、急な症状や持続する症状の際は病院受診をお勧め致します。

「激しい眠気」と関連のある症状

「激しい眠気」と関連している、似ている症状は2個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

意識が朦朧としている

無関心

激しい眠気という表現で上記のような状態が挙げられます。意識障害は脳の病気が隠れている場合もありますので、早急な病院受診をお勧め致します。

【参考文献】
睡眠障害の概要と治療ガイドライン