ドラマ『DCU』の第1話が1月16日に放送された。本作は“DCU(Deep Crime Unit)”というスペシャリスト集団が水中事件や事故の捜査を行うオリジナルドラマ。ハリウッド大手制作プロダクションと共同制作しているだけあり、海外ドラマのような構成だ。主演の阿部寛が演じるDCUの隊長、新名正義のワンマンっぷり、DCUメンバーの反発、そして水中における最新機器の登場。ここに骨太なサスペンスがからみ、言うことない。さすが日曜劇場ともいえる作品である。

最近ではバディものの刑事ドラマが多いが、この作品も新名と横浜流星演じる瀬能陽生がバディを組んでおり、刑事ドラマの王道も踏まえている。とはいえ、中盤まで横浜流星の出番がイマイチ少なかったことに、がっかりした方もいるかもしれない。が、最後の急展開に息をのんだ人も多かっただろう。


瀬能は15年前、海難事故で新名に助けられたことがある優秀なダイバー。救助当時の記憶は失っているということは、記憶がないイケメン。これ、かなりそそる設定である。DCUに配属された瀬能は、みんなにはつらつとご挨拶。前髪を分け、横は刈り上げ、まさに好青年。


『着飾る恋には理由があって』のふんわり前髪も良かったけど、今回の髪型もめちゃめちゃ似合ってる。慕っている隊長の新名へ向けられる笑顔も爽やか。ラブキュンドラマの“横浜きゅん”は、シリアス系ドラマでも変わらずカッコイイのである。ダイバースーツ姿もたまらん。


事件はダム湖から遺体の一部が発見されたところから始まる。新名とバディを組み、水中へ潜る瀬能。水中メガネごしに見る横浜の顔はとっても新鮮。“水中メガネ男子”というのが流行ってもいいんではなかろうか。新名が警察へもケンカ腰で強引に捜査を進めても、瀬能の新名に対する信頼は揺るぐことはない。


終盤、国内逃亡しようとする犯人を逮捕するため、台風の中、ダム湖の水中120メートルを潜らなければいけないとき、瀬能は「俺が行きます!」ときっぱり。アツい、アツ過ぎるよ。でもまぁ、真っすぐな瀬能が自ら立候補することは、誰もが予想していたはず。タイムリミットが迫る中、120メートルの水中で5年前の殺されたままの姿で発見された遺体にはびっくり。ちょっと猟奇的だが、それが犯人を追い詰める決定的な証拠となった。


それにしても殺された男を宮野真守が演じていたことに驚いた。そして阿部の肉体美も見事である。とても57歳の体つきではない。SNSでは「水から顔を出すと例のローマ人みたいになるからやめてwww」や「そこは銭湯じゃなかった」など映画『テルマエ・ロマエ』を思い出した人も多かったようだ。

ラスト間際、湖に潜り、少しだけ記憶を取り戻した瀬能は、新名への不信感を爆発させる。幼いころ、自分を助けてくれたはずの瀬能が、実は父を殺したのではないか…。信じていた新名に突き飛ばされ、前髪を乱した瀬能は「目的のためには手段を選ばない…その意味がようやくわかったよ」と、今までの爽やか青年の姿は、もうそこにはなかった。言葉使いもいきなりワイルド。自嘲気味に笑う瀬能に新名は冷静に「悔しかったら思い出せ。記憶、思い出してみろよ」と挑発する。この1話の結末にSNSでは「ワンコキャラから復讐キャラになっちゃった」「復讐ドラマ!?」「何何〜どういう事」など驚いた人も多かった様子。



序盤は強引な新名とは正反対に、瀬能が誠実な人柄で事件に関わる人たちと触れ合っていく、そう期待していた人も多かっただろう。だが、いきなり復讐の鬼と化し、目をぎらつかせた横浜に鳥肌が立ってしまった。優しいヒーローを演じる横浜を予想していただけに、うれしい誤算である。というか、新名が瀬能にしっかり説明するばいいんじゃないか。といっても、新名の性格的に、そんなことはしないのだろう。そんなひねくれた性格の新名を演じる阿部はぴったりな役柄としかいうほかない。一方で、新名に裏切られたと思い、爽やか青年から一変し、自分の感情をあらわにする瀬能。次回の新名と瀬能の関係から、目が離せそうもない。



文:今 泉


第2話あらすじ

新名(阿部寛)と瀬能(横浜流星)のわだかまりが解けぬまま、新たな事件が発生した。変死体が発見された北能登の港へ向かうDCUのメンバー。殺害されたのは密漁者と戦う地元漁師のリーダーだった。漁師たちが「犯人は密漁グループの連中に違いない」と騒ぎ立てるのを余所に、新名は地元刑事の坂東(梶原善)と共に捜査に乗り出す。


現場となった場所には水産物の研究所を建てる計画があり、ロシアから政府高官が視察に来る予定が5日後に迫っていた。5日以内に事件を解決するよう命じられた新名は早速、西野(高橋光臣)たちに日本海に沈む遺留品を探すよう指示を出す。そこへ地元の市議会議員・岡部(古田敦也)が現れ・・・。


一方で坂東と共に陸を捜査する新名と瀬能は、被害者の下で技能実習生として働いていた外国人に聞き込みをすることに。やがて排他的な地元民と外国人技能実習生の実態が浮き彫りになり、事件は思いもよらない方向へと進んでいく。


日曜劇場『DCU』

毎週日曜よる9:00

(C)TBS