「半熟英雄対3D」（2003）特装版の7大ふろくに隠された8番目：うえけんの「今そのゲーム!?」Vol.23
「半熟英雄対3D」（PS2）のジャンルはシミュレーションRPGだが、主人公側は2Dで、敵側は3Dで描画されるという、テクノロジーが融合した作品となっている。技術はギャグのために惜しげもなく使われており、最新技術の正しい使い方と言えるのではないだろうか。
それら表現方法も含め、ギャグ、ゲームの内容、ダジャレやシュールな要素一杯なエッグモンスターを始めとして、音楽や物語も全編ギャグなのだが、ゲームの外側の部分、つまりパッケージや付録もギャグになっているのでご紹介したいと思う。
ゲームが発売される際、通常版とは別に特装版が販売されることがある。設定資料集や、フイギュア、折込みポスター、イラストハガキ、マウスパッド、シールなど、ファンが喜ぶアイテムが同梱されているものだが、本作の特装版は題して
「7大ふろくつき！ 半熟英雄対3D 特大号」
お若い方々にはピンと来ないかもしれないが、ある年齢層には響く、昭和30年代から40年代頃の付録付き雑誌のような仕様になっているのだった。
パッケージ全体は大きさも厚みもプレイステーション2のソフトの2倍以上の大きさで、かなりのボリューム感である。
ふろくの内容は、
ウエマツ博士のエッグモンスター ひみつソノシート
とびだす！3D軍団立体スコープ
半熟カルタ
紙ずもう半熟場所
あ・た・し♡超立体お面
エンディング用ひみつぶくろ
別冊鉄拳ミニスケッチブック
なんと豪華で、ある年齢層の方々には郷愁をそそられるアイテムの数々なのだろうか？ これに日光写真や蛍光塗料でガイコツが浮かび上がるイラストシートが加わった日には涙がちょちょぎれる（ある年齢層にしか通じないであろう古い表現）こと必至だ。
だが「7大ふろく」と銘打たれてはいるが、実は8番目のふろくが存在していることをご存知だろうか？ 1番の「ウエマツ博士のエッグモンスター ひみつソノシート」の写真を見ていただきたい。
これは組み立て前の物だが、発売当時でも音楽再生の主流はCDやMDに取って変わられ、レコードプレーヤーがない家庭も当たり前になっていたので、本作のふろくは、組み立て式のレコードプレーヤーが付属するという親切設計だったのであるが、構造の都合上、長方形の紙の下部に空白が生ずる。
その空いてしまう余白部分がもったいない、折角だからもうひとネタ盛り込めないか……イラストを依頼された人物が考えたのが、これまたある年齢層の方々（すみません、ある年齢層、ある年齢層としつこくて）にしかわからないようなアイテム「ペナント」だった。
「ペナント」の形状は余白の長細い三角形にピッタリ！ ゲーム内にゆかりの単語「オクニッチ」をまるで日本のどこかに存在している観光地のような「奥日地」と表記することでより完璧にゲームの世界観に寄り添うことができたのだった。
担当者のOKが出ているとはいえ、ふとした思い付きが8番目のふろくを生み出すことになってしまい、ひやひやしたが、発売された特大号で「ペナント」が8番目のふろくとしてカウントされることはなく、ほっと胸をなでおろすイラスト担当だったのだが、それも束の間、その「ウエマツ博士」と「ペナント」を描いた人物が、私（上野）自身だという衝撃の事実には驚きを禁じ得ない！！
うえけんWiki
上野 顕太郎（うえの けんたろう、1963年4月18日 - ）は、かなりアナログな漫画家である。デジタルなEngadgetとの接点は編集長が20年前、ゲーム誌編集者であったとき連載を担当したからと言われる。よく使うフレーズは「暇だからな！」......というわけで、かつてプレイした方もいるだろうマニアックなゲームを掘り起こし、あの当時を偲んでいただきます。
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