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これが民意なら致し方なし…!

予期されていたことではありますが、残念な報せが飛び込んできました。今月9日から大阪で行なわれることになっていた、フィギュアスケートグランプリファイナルが中止となったのです。運営側の発表によれば「11月29日に政府より発表された水際対策強化のため、外国人の新規入国停止に伴う」ものとのこと。世界的にオミクロン株への警戒感が強まるなかでの政治的な判断が、こうした決定へとつながりました。

今大会には日本勢からも男子シングルの宇野昌磨さんと鍵山優真さん、ロシア勢の独占も予想されたなか見事に割って入った女子シングルの坂本花織さん、そして三浦璃来・木原龍一ペアが大快挙でのファイナル進出を決めていました。自国開催を盛り立てる日本勢の活躍が期待されただけに、開催国としても残念ですし、この大会に懸けていた各国選手にも申し訳なく思います。申し訳ない。

↓りくりゅうペアが見出し画像になっているツイートを探したのですが、見つけられませんでした!


↓せっかく世界の6組に入ったのに…!


すまぬ、りくりゅう…!画像すらなくて…!

出てない選手の写真使う新聞はたまにあるのに…!

せめて、「世界」の舞台を逸した無念、五輪で取り返して欲しい…!

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そもそも今大会に限らず日本は新型コロナウイルスの水際対策として外国からの入国を制限しています。入国前の滞在地域がどこであるとかによって多少のバラつきもあったものの、その状況自体は昨年来変わっていません。この間にも出入国をしている人は相当にいるわけですが、それは「特段の事情がある」ことなどを鑑みて特例で許可されているもの。野球の外国人選手なども特段の事情が考慮されて入国を果たし、プレーをしていました。

昨今の日本国内の感染状況の落ち着きや、世界的にワクチンの接種が進んだことなどを背景に、去る11月8日からはこの水際対策が緩和され、事前に審査を受けることを条件として商用・就労目的の新規入国も原則として認められるようになりました。しかし、その矢先に登場したオミクロン株への強い警戒心のもと、改めてもう一度「締め直した」というのが今。

これまでも緊急事態宣言中などに新規入国が厳しく制限され、プロ野球やJリーグで外国人選手が合流できないといったことがありましたが、今またそういう時期……あるいはさらに強い警戒心を抱く時期が来ているということなのでしょう。GPファイナルの場合、所管省庁であるスポーツ庁が審査や承認などをして「特段の事情のもと」で入国できる想定だったのでしょうが、入国にあたっては厚労省などほかの省庁も関わってくるわけですから、いくらスポーツ庁が頑張っても通らない話はあります。東京五輪・パラリンピックのような国家的プロジェクトならばともかく、スポーツ庁だけでは難しい。

↓お国がそう言うのであれば、仕方あるまい…!


もちろん個人的にはスポーツというものを応援していますし、選手たちにこの貴重な機会を得て欲しいとも思います。率直に可哀想だと思います。試合だけでもやらせてあげたい。ただ、同時に「これが民意なのだ」という静かな感情も抱いています。結局、国は「民意」を反映して国を運営しています。

今夏の東京五輪・パラリンピックにおいても、東京都・国・組織委員会は最後まで有観客開催を模索していましたが、7月4日の東京都議選の結果が出るや、急速に無観客開催へと舵を切りました。1000万東京都民の投票行動から何かを「察した」のでしょう。SNS上の議論や報道での論調などとは違う、「投票」という真の民意が示されたとき、国の舵取りは変わるのです。それに従うのは民主主義の仕組みです。「やらせてやりたいが、民意では致し方なし」と静かに思うしかありません。

返す返すも残念なのは、そうではない民意もあると十分に示せなかったこと。

「人殺し」とまで非難された東京五輪・パラリンピックでしたが、国を挙げての取り組みで見事にやり遂げ、国内の感染状況は大会期間中に減少に転じ、9月末には緊急事態宣言がすべて解除されました。世界の選手たちが集った素晴らしいプレーの数々と、感染症の抑制とはしっかりと両立できたのです。「どうにかしてやる」「どうにかすればできる」の実例が確かにそこにはありました。

ただ、五輪・パラリンピックを迎えても、本来そこに集まるべき人たちはバラバラにいがみ合っていました。10月に開催予定だったF1日本GPが中止になったとき、関係者から漏れ聞こえたのは「オリパラはやっているのに、何故」という恨み節でした。秋の音楽フェスが相次いで中止になったとき、関係者から漏れ聞こえたのは「オリパラはやっているのに、何故」という恨み節でした。

そうではなくて、スポーツも音楽も芸能も、直接の衣食住に関わらない「心に活力を与える」ものたちは広く同質のものであるという団結のもと、オリパラを先頭に立てて、これはエッセンシャルなものなのだという民意を形成していかなければいけなかったのです。「オリパラはズルイ」とかではなく、国自体が運営に深く関わっているオリパラすらできずに、自分たちのイベントができるはずがない、と思わなければいけなかった。同じ方向を向くべき人たちが足を引っ張り合えば、民意の形成などできるはずがありません。そうなれば、それぞれが「自力でできることだけをやる」しかなくなる。

その点、「食べ物」は一致団結してますよね。「食べ物は必要だ」で一致団結して、「アボカドはいらなくない?」とか「牛肉ばっかり優遇されてズルイ」とか「鍋なんかやってる連中がいるからコッチまで迷惑する」とか言わないですからね。バラバラに見たら不要なものもありそうですが、八百屋と肉屋が揉めたりしないですもんね。「八百屋が感染を拡大させるから肉が売れねーよ、やめちまえ」的な主張は聞いたことがないですから。そういうとこだぞ、と思います。

↓ちなみに、個人的にもお世話になった自衛隊の大規模接種センターは役目を終えて閉所したとのことです!

頼りにならない弊自治体の代わりに、ワクチンを打たせてもらえてありがたかったです!

お世話になりました!

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民意が求めて、国が締めた。これはもう仕方のないことです。選手たちには申し訳ないですが、東京五輪パラリンピックをやり遂げたということで、志はあるのだということだけはご理解いただければと思います。オミクロン株についての知見が集まってきたら、またお越しいただけるようにもなるでしょう。つい先月まではさまざまな国際大会なども開催させていただいていたわけですし。

こうした状況を踏まえ、世界を渡り歩くものの日本開催については、より一層の体制で臨む必要があるだろうと思います。オミクロン株云々がなくても水際対策をしているという状況のなかで、対策の大原則のひとつにあるのが「入国後14日間の待機期間」です。特段の事情によって緩和されることはありますが、大原則にあるのは「14日間」です。

先日、大谷翔平さんが日本記者クラブで会見をしましたが、10月下旬に帰国後、11月15日の記者会見で姿を見せるまでは自宅で隔離生活をしていたと言います。当時の空気感から言えば、もうちょっと緩くても怒られはしなかったでしょうが、大谷さんはしっかりと大原則に沿って行動していました。

もしも、この大原則にしっかりと沿った運営をする計画であれば、12月9日の14日前…11月25日頃には入国をしておく必要がありました。当然、その数週間前にはビザの申請もしなければいけません。どこに泊まるんだ、どこで練習するんだ、ロステレコム杯に参加中の選手はどうすればいいんだ、ファイナル出場選手が決まってないぞ、そういう課題は山積みですが「25日にすでに入国しているのであれば」大会の開催自体には制止はかからなかったでしょう。

「14日間の隔離を求められたらそもそも無理だよね」という日程を決めたのは国際スケート連盟ですし、そんなに早く入国させるのは現実的に難しいですし、2週間も前に呼んだって来やしないでしょうが、いつ出現するかわからない次なる変異株のリスクを避けるには、そういった意識も必要なのかなと思います。「絶対にそこにいなければならない日があるのなら、行けるときに行っておく」という意識が。まぁ、「どうにかしてやる」「どうにかすればできる」の国を信じてくれていたのかもしれませんが……!

↓大谷さんのように14日間の隔離前提での日程ならできたと思います!


個人的には「最低3年」と思って過ごしていますので、こうした経験もまた糧としつつ、次に向かっていきたいですし、選手たちにも強い心で次の目標に切り替えて欲しいと思います。ギリギリまで尽力して、ダメだったら諦める、その繰り返しです。開発中だという「コロナ飲み薬」とやらで、多少の変異株が出ようがかかってもすぐ治るという話になれば、急にドアが閉まることもなくなるでしょう。志はあるのですが、民意ですから仕方ありません。本当に申し訳ないです。



次、次、次!全日本で会えるように祈って、引きつづき安心安全を追求します!