【江端浩人×音部大輔】今注目のマーケティング全体設計図「パーセプションフロー®・モデル」とは?

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今回は、日本コカ・コーラや日本マイクロソフトなどで要職を務めた江端浩人氏と、P&Gに17年在籍した後、ユニリーバや資生堂のブランドマネジメント組織を主導した音部大輔氏との対談をお届けします。世界をリードする企業のマーケターとしても活躍した2人が、これまでの経験に基づき、具体例を交えながらマーケティング論について語っています。

第1回目となる本記事では、マーケティングの全体設計図として注目を集めるパーセプションフロー®・モデルと、従来からカスタマージャーニーの比較に注目です。

江端氏:この度、新しいマーケターとか経営者を呼んだシリーズをYouTubeで始めようということで第一弾はクー・マーケティング・カンパニーの音部さんからお呼びすることに致しました。よろしくお願いします。

音部氏:よろしくお願いします。クー・マーケティングカンパニーの音部です。

江端氏:今日11月8日なんですが、皆さんが見られる頃には音部さんの新しい本が出るということで。

音部氏:本のタイトルは、『The Art of Marketing マーケティングの技法』というタイトルです。“The Art of”なんていうとアートの本のようですが、違います。孫子の兵法という戦略の原典がありますが、英語タイトルを『The Art of war』と言います。普遍と実践の原型と考えているので、“The Art of Marketing”と入れました。日本語のタイトルは『マーケティングの技法』、副題が『パーセプションフロー®・モデル全解説』です。

パーセプションフロー®・モデルというマーケティングの全体設計図の説明を通して、4P全部を含む、マーケティングの全体設計の仕方を紐解いています。

江端氏:ライフワークのパーセプションフロー®・モデルなんですけれども、パーセプションフロー®・モデルとカスタマージャーニー。似ているように聞こえるんですけどもそこは全然違うもんなんですかね。

画像:江端浩人の「スタンフォード式」幸福度が高まるビジネス&キャリアの育て方/YouTube

音部氏:似ているところは、消費者を中心にマーケティング活動全体を描写するところですね。

まずは、消費者が中心に置かれる点。企業が中心とか、取引先が中心とか、商品が中心とかじゃなくて消費者を中心に据えます。

二つ目に、その全体像が、時間軸なり消費者のパーセプションの変化軸なり、消費者の変化全体を俯瞰している点。

三つ目が、各段階ごと、活動ごとの振り返りを可能にする点。「新商品出しました、売れたので成功です。」とか、「新しい施策やっていました、売れなかったので失敗です。」などといった振り返りをすることがあります。

画像:江端浩人の「スタンフォード式」幸福度が高まるビジネス&キャリアの育て方/YouTube

活動の結果を示すというのは大事ですが、なぜ成功し、どうして失敗したのかがわからないと、次がうまくできないんです。そのためには、活動ごとの成功・不成功を知りたいんですけど、そのためには、活動ごとの具体的な目的や役割が分からないと、そうした振り返りはできません。

江端氏:確かにパーセプションフロー®・モデルは何のためにというところが必ずありますよね。

音部氏:必ずありますね。だから一発目外しても、その外れが二発目の命中に貢献することができます。対して、大雑把な振り返りでは、一発目も二発目も命中率が変わりません。当然、こうした振り返りの上手下手は、二発目に現れます。

二発目によりよく当てるためには一発目で何をしたかったのか。最終的には売上なんだけど、途中の段階が分かる仕組みを用意するのは大事なことです。

まとめると、この三つは同じです。

1. 消費者が中心
2. 変化を記述
3. 個々の活動の計測が可能になる

対談動画では、引き続きパーセプションフロー®・モデルとカスタマージャーニーの違いについて解説しています。具体的にどのようなシーンでそれぞれを活用するかについて踏み込んでいるのでぜひチェックしてみてください。