「男はATMだから」根強い“性別役割分業”の意識に違和感、どうすれば?

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筆者は一度離婚を経験しております。今や、日本の離婚率は約35%前後になっており、2019年度の厚生労働省の調査によると離婚件数は約20万9,000件にものぼり、3組に1組が離婚しているので別に珍しい話でもないのですが。

その際に感じた違和感……「性別」による役割分担が当時20代後半の我々世代でも色濃く残っていた、というお話です。

根強く残る、性別による役割分担の意識

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26歳という、現在37歳の筆者の周りの世代としては若いうちに結婚しました。筆者はどうしても雑誌の編集者になりたいという夢があり、結婚を機に経済的にも安定するためチャレンジをすることに決めました。もちろん当時は元夫も応援してくれました。

しかし、思った以上に仕事が忙しく、午前様になることもしばしば。2人で暮らすのはその時点で4年目くらいを迎えていましたが、家が今まで見たこともないくらいの荒れ具合。それもそのはず、今まで家事はほとんど筆者がやっていたのです。

ある日、洗濯物を庭に干してから家を出て、帰宅する時間には雨が降っていました。家に着いてみると庭には干しっぱなしの洗濯物が……。「雨降ってるよ?」「知ってる」「洗濯物干してあるよ?」「知ってる」。筆者は絶句。自分の服だけ取り込みました。

いつからこんなに家事への意識が低くなったのだろう、筆者が全てやってくれると思っているんだろうなと感じました。それを話すと「気づいた方がやればいい」と言われ、かつ「そんなに一生懸命仕事しなくてもいいんじゃないの? 家のことがちゃんとできるくらいでいいじゃないか」と言われました。そのとき、まだ日本には家事は女性がやるものであるという性別による役割分担の意識が根強く残っていると認識し、自分には結婚という制度は向いていないと感じました。

「彼らの常識」に合わせるのは無理がある

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そんなことを経て、政治学者の三浦瑠麗さんが“「男はATMだから」と言ってしまう年上男性が苦手”という相談に答えたニュースレターを読みました。そこには“性別役割分業が色濃く社会の慣習として残っている以上、「彼らの常識」に基づいたかたちで働きつづけることには相当な困難がある、それを分かっていれば発言自体が変わってくる”とありました。

筆者は早いうちから「彼らの常識」を理解し、どこか諦めつつ一歩引いて生きていたのだなと思いました。しかし、それは“服従”ではなく、“相手を尊重する”ことなのです。

「相手の持つ偏見が気になるのは、あなたと感覚を共有できない上の年代があなたに対して支配力を持っているからでしょう」という言葉は本当にそうで、相手の認識を正すのではなく、「人の話を聞く」「相手を観察する力を養う」こと、「言葉をそのまま受け止めないこと」が大事だというメッセージが。“あなたのこの何年間かの生き方は間違っていなかったんだよ”と言われたようで、肩の荷が下りた気分になり、自分はこのまま強く生きていこうと襟を正しました。