下手したら自分の娘と同年代の女性と結婚したいという50代男性たちの言い分とは(写真:マハロ/PIXTA)

結婚相談所の経営者として婚活現場の第一線に立つ筆者が、急激に変わっている日本の婚活事情について解説する本連載。今回は、20代女性ばかりとお見合いする50代男性の心理に迫ります。若い女性を求める50代男性にとって、女性はどのような存在なのでしょうか。

自分の娘と同じ年齢の女性と結婚したい

今、弊社の結婚相談所に入会している男性のうち、私が「前のめりだな」と感じるのが、50代の男性たちです。女性に対してとにかく積極的。しかも、必ずといっていいほど若い女性を狙います。

お見合い相手の希望年齢に「25歳」と書く人は1人2人ではありません。若い女性を見ると、たとえ弊社のスタッフであっても「あの子とお見合いしたい」と言うので驚かされます。この積極性の背景には何があるのでしょうか。


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こうした男性は自分がかつて一番結婚願望が強かった20代前半の頃の理想の女性像をアップデートできていないのかもしれません。彼らが20代だった1990年代、男性の平均初婚年齢は28.4歳、女性は25.9歳でした。もっと言うと、彼らが生まれた頃にあたる1970年は男性が26.9歳、女性が24.2歳。そこから時が止まっているのではないでしょうか。

実際、「男は年をとると、理想の女性の年齢がどんどん若くなる」と言った男性もいました。25歳で初めて結婚した時は、妻も25歳。30歳になっても25歳の女性と付き合うことができる。40歳になっても同じ。50歳になって再婚したいのも25歳。「自分が魅力的であれば、女性の年は関係ない」という持論でした。2019年の平均初婚年齢は男性31.2歳、女性29.6歳です。それが現実です。

結婚経験があり、自身の子どもはすでに20代半ばになっている男性も多い。それにもかかわらず、娘くらいの年齢の女性と付き合いたいという人も。「25歳の女性の両親は、きっとあなたと同じくらいの世代。結婚は大反対すると思いますよ」とアドバイスしても聞き入れません。これは初婚男性より再婚男性に顕著です。初婚男性は50代でも奥手。再婚男性は女性慣れしているので、婚活アプリも利用するなどして活動的です。

元妻と離婚した理由を聞くと、浮気ということが多い。もしくは家庭を顧みず家事育児を一切手伝わなかったというケースも。これまで妻や子どもに向き合う機会がなかったからこそ、自分の子どもと同じ年齢の女性と結婚したら子どもにどう思われるかなんて考えない。そればかりか、もう一度20代の女性と結婚してお子さんをつくって、同じことを繰り返したいという願望を持っているようです。

「オバサンはメイクをしていない」

そんな彼らにとっては30代半ばをすぎればもう「オバサン」。50代という自分の年齢を棚に上げて、お見合い後に平気で「すごいオバサンだった」と感想を言います。「オバサン」という言葉はあまりに失礼なので撲滅したほうがいいと思いますね。

20代の女性ばかり追う50代男性に、「年齢にこだわりすぎではありませんか?」と聞くと、必ずといっていいほど「いやいや、僕は年齢で女性を見ていませんよ」と答えます。

彼らいわく、「年齢にこだわっているのではなく、写真で検索していくと肌ツヤがいいのは25歳前後なのでそうなってしまう」のだそうです。「年取った女性は夕方になるとメイクが崩れる。それを見たくない」と言う男性もいました。

「オバサンはメイクをしていない」と言った男性もいましたね。もちろん女性はちゃんとメイクをしています。しかし、派手な女性を見慣れているせいか、まつ毛がバサバサしていないとノーメイクに見えてしまうようです。

50代の会社経営者男性・和之さん(仮名)は、以前、30歳、35歳、40歳、45歳の4人の女性と弊社でお見合いをしました。30歳とのお見合いは楽しそうにしゃべっていました。ところが35歳になると、少し声が暗くなり、40歳と45歳はもうほとんどしゃべらない。あまりの変わりぶりに驚きました。

和之さん自身は、婚活市場ではいわゆる「条件がすごくいい男性」。会社経営者ですし、50代でバツイチではありますが、それはそれなりに経験豊富。ですからお見合い前は、女性たちはみな喜んでいました。しかし、実際に会ってみると、年相応の会話ができない。女性側はキャリアウーマンですから、経済の話題などの会話をしようとするのですが反応が薄い。

おそらく、ふだん若い女性とばかり会っているので、何を話していいかわからないのでしょう。40代女性たちに対して「バカにされるのではないか」という怖れもあって小さくなって話せない。お見合い後、女性に「どうでしたか?」と聞いたところ、「会話にならないですよね」「ニコニコされていただけでした」と言っていました。

婚活アプリを使っている人も多い

年相応の会話に不慣れなためか、マナー違反もありました。その1つが、容姿のことをほめること。通常、初対面のお見合いの場では遠慮や礼儀として容姿のことには触れません。しかし、和之さんは会話の糸口がないのと、とりあえずほめれば女性が喜ぶと思っていたようで、「きれいですね」「スタイルいいですね」「その服似合いますね」といったことを連発していました。

婚活アプリを使っている人も多く、パパ活のように取っ替え引っ替え女性にお金を使っては、結婚できずに痛い目にあっている男性もいます。結婚には至りませんが、アプリでは一応「モテた」ので「結婚相談所に入れば結婚してくれる人がいるだろう」「結婚したらもうお金を使わなくていい」「効率よく恋愛ができる」と考えて結婚相談所に入会し、「恋愛したい」と堂々と言う50代男性も少なくありません。結婚相談所はそういうところではないと説明しても、聞き入れてくれません。

デートでは「何も物をねだってこないのはつまらない」そうです。キャバクラ嬢やパパ活女性と付き合ってきたので、女性に物を買うことに慣れているし、そこに喜びを感じるのでしょう。真剣に婚活している堅い女性とは合わない。もっとカジュアルにスキンシップをしながら甘えてきて、おねだりしてくるような女性を求めているのです。

若い女性とデートしてブランド品を買ってあげて、素敵なレストランに行って、人に見せびらかしたい。こうした男性の行動は、女性をアクセサリーとしか考えていないようにも見えます。それなら、デートだけして結婚する必要はないのではないかと思うのですが、それではお金が持たない。やはり気に入ったアクセサリーは永遠に自分の物にしたいのでしょう。

女性は若ければいい、美しければいい、スタイルがよければいい。こうした価値観は男性が優位な昭和の価値観とも言えます。実際、50代男性の多くは「結婚をしたら奥さんは家の中にいるべき」という価値観を根強く持っています。

公務員を辞めても「家庭に入って当然」

50代男性・徹さん(仮名)は、30代半ばの公務員女性・幸恵さん(仮名)とお見合いをしました。徹さんは結婚したら彼女は仕事を辞めるものだと思い込んでいました。

幸恵さんは現在安定した収入を得ていますし、定年退職すれば退職金も年金もしっかりもらえます。仕事内容にも待遇にもなんの不満もない。辞めようなんて一切思っていません。そんな幸恵さんの考えを聞いて、徹さんはまったく想定外だったと驚いていました。

20代、30代男性であれば、女性が結婚・出産後も働くことは当然と受け止めています。女性の転勤ですら「ご自由にどうぞ」と承諾するくらいです。その時は別居婚で構わない。奥さんも働き続けて出世街道をどんどん進んでほしい。「僕は邪魔しません」という意識です。だから、女性を見極めるときも年齢や容姿よりも、人生観、仕事観といった中身重視。女性をアクセサリーとして考えるなんて頭にありません。

ただ、この現象は裏を返せば、自分自身がそれほど稼げていないので、専業主婦は厳しいということの表れでもあります。50代で婚活しようとする男性は、経営者などの高収入を得ている男性がほとんど。経済的な余裕があるからこそ、「妻は仕事を辞めて家に入るのが当たり前」と考えています。50代にギラギラした男性が多いのは、そうした社会背景、経済事情も大きく影響しているようです。