1週間で家が建つ!? 医療に食も、3Dプリントの未来が明るい

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目まぐるしい勢いで技術の発展が進む昨今。その発展が一際顕著なのが、3Dプリンター技術です。この技術によって、我々が今まで考えられなかったことが可能になるかもしれません。

3Dプリント住宅街の実現

画像:kittipong kongwatmai/Shutterstock

CNN.co.jpによると、米テキサス州オースティンで、3Dプリンターを使った住宅街を作るプロジェクトが実施予定とのこと。“100棟の平屋の住宅を、先進のロボット建設技術とコンクリートをベースとした建設資材を使って、現地で「印刷」して造り上げていく”(※1)そうです。

家一軒あたりの建築期間は、1週間。この計画が現実になれば、より早くマイホームを手に入れることができます。

加えて、本計画のメリットは「早く家を入手できる」だけではありません。「3Dプリンターを使って、セメントを流し込む型枠工事なく建設できることで、世界の年間CO2排出量の約8%にあたるセメントの使用を大きく削減できる」(※1)とのこと。つまり、昨今その悪化が懸念されている環境汚染問題の対策というメリットもあるのです。

また、住宅建設では、物流の非効率性と人手不足に悩まされています。物流面では搬入スケジュールが複雑になって持ち戻りが発生し、同じ現場に何回も建築資材を運ぶコストがかかっています。3Dプリント技術によってモノの輸送から情報の輸送へとシフトすれば、こうした課題も乗り越えられるはずです。

さらに、住宅建築業では人手不足に悩まされており、少子高齢化でその勢いが増すと考えられています。こうした将来的な労働力不足についても、3Dプリント技術が解決してくれるのではないでしょうか。

3Dプリント住宅へのSNSの反応

本プロジェクトについて、SNS上ではさまざまな意見が上がっていました。

「1週間で家が建つ。労働力も大幅に削減。 安いコストで家が建つのは、消費者からしたらすごいありがたい話」という声が。一軒家の購入を躊躇する要因のひとつとして、価格の高さがあります。新築の場合、1,000万円以上の予算がなければ購入は難しく、それを理由に賃貸住宅に留まる……といった方は少なくないはずです。しかし、本計画が現実になれば、価格設定がより安くなり、結果として購入者の数も増えるのではないでしょうか。

その一方で、「3Dプリンターって無筋だと思うのだけど、そこの強度どうやって確保してるんだろう」という反応も。3Dプリンターによる建築ゆえ、強度が弱まるのでは、と心配になる人も一定数いるでしょう。

食をデータ化する「寿司テレポーテーション」

画像:Nadia Stepaniuk/Shutterstock

2018年に日本のグループが発表した「寿司テレポーテーション」も、3Dプリンター技術の発展事例のひとつです。「寿司をデジタルデータ化、専用の3Dフードプリンタへデータを送り、寿司を作ろう」(※2)というコンセプトで、日本で握った寿司をそのまま世界各国へ出力することで、日本の食文化を直接的に拡大することができるのが特徴です。

海外からの日本食需要、特に寿司に対する需要は大きく、国際移動しなくても手軽に職人が握ったような寿司を食べられるという点で、人気が出るのではないでしょうか。また、技術が普及すれば、他分野にも応用が利くかもしれません。

例えば、宇宙での滞在。宇宙ではこれまで食料を地球から持っていくことが一般的でしたが、3Dプリンターを使えば、食料調達のハードルも下がり、食事の自由度も上がっていくでしょう。

「寿司テレポーテーション」へのSNSの反応

この「寿司テレポーテーション」についても、SNS上ではさまざまな意見がみられました。

「一昨年に展示されてたサンプルと映像見たけど、美しさすらある奇妙さだった」と、食べ物のデータ化という今までにない試みに美しさと奇妙さを感じるという声もありました。データを食べる、と考えると、どこか不思議な感じがします。

また、「介護食とか良いよなぁ〜」と、寿司だけでなく介護食をデータ化して転送すれば……という意見もありました。食のデータ転送は、海外への発信だけでなく、日本国内での需要も高まっていきそうです。

医療現場での3Dプリンティングの利用

画像:Juice Verve/Shutterstock

医療現場においても、3Dプリンター技術は活躍しています。NewsWeekによると、「3Dプリンティングの技術を応用して、細胞の塊や皮膚片などのバイオマテリアルを作製する3Dバイオプリンティング」(※3)の研究が進んでいるそうです。

この研究の目標は「形も機能も本物そっくりの臓器を作って、生体に移植できるようにすること」(※3)。これが実現すれば、ドナーを待たずして臓器移植が実現でき、より多くの命を救うことができるはずです。

Twitterでは、「全部の臓器を3Dプリンターで作ることが出来れば長生きできるのかな」という反応が。現状、臓器移植には、ドナーが見つかるまで時間がかかる、医療費が高額であるなどの課題があります。最悪の場合、ドナーが見つからず亡くなってしまうこともあります。

もし3Dプリンターにより移植可能な臓器が提供できるようになれば、迅速かつ比較的安価に手術が可能になるのではないでしょうか。また、肺の摘出や人工肛門など、やむを得ず一部組織を取り除いて生活に負担がかかってしまう方々が、欠損部位を3Dプリンターで作り出すことで、術後もより快適な生活を送れるようになるかもしれません。

このように、3Dプリンターは多分野に応用が可能です。今後のさらなる技術発展に期待したいですね。