「いつもイラッとしてしまう…」対人関係のストレスを減らす考え方とは

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「あの人の言動にいつもイラっとしてしまう」「どうしても話がかみ合わない人がいる」

会社でのやり取りやご近所付き合いなど、対人コミュニケーションは誰にとっても避けて通れない道でしょう。とかく利害が絡む会社での人とのやり取りは、抱いた感情をそのまま吐き出すことができないことも多く、気が付くと自分にストレスが溜まる人も多いのではないでしょうか。

筆者はマーケティングの部署にいたため、会社員の中でも比較的社内外の多くの人と関わることが多い立場でした。他部署と折衝を行い、顧客にヒアリングを行い、営業先から提案を受ける、などなど。筆者自身も他者とのやり取りでストレスを感じることもありましたが、あるとき、ストレスを感じる人が常に同じタイプであることに気が付きました。

ストレスを与えるのは他者の存在と思っていたものの、実は自分の内側にある“苦手なタイプ”という固定観念が原因なのではないか……。

結局他者に感じるストレスとは何なのだろうかと疑問に思っているときに、国際政治学者の三浦瑠麗さんが対人コミュニケーションに悩む読者の相談に乗る記事を読みました。

「人は自分とは違う」という本質

画像:fizkes/Shutterstock

記事の相談者は同僚の言動に苛立ちを覚える女性です。その悩みに対し三浦氏は、自分が「当たり前」と思っていることと外れた他者の言動がストレスの原因と分析します。

毎月のお金の出入りを把握しておきたいタイプとそうでないタイプなどを例に取り、純粋に性格の違いからイライラが起こると解説は続きます。前述した筆者の「常に同じタイプにイラっとする」という現象を当てはめるとしっくりと来ます。

1968年にアメリカの産業心理学者であるデビッド・メリル氏が提唱したコミュニケーションの「ソーシャルスタイル理論」というものがあります。感情表現と自己主張を主軸として、コミュニケーションスタイル別に4つのタイプに分類をしており、グローバル企業にも研修などで導入されている概念です。自己主張度と感情表現度のニ軸があり、アナリティカル(分析型)、 ドライビング(実行型)、 エミアブル(温和型)、 エクスプレッシブ(直感型)に分類されます(※1)。

このようなフレームを知ったあとは「イラっとする」という感覚の前に「ああ、この人はアナリティカルなのだな。だからこんな細かい点を突っ込むのだな」と解釈ができるようになりました。不思議なことに、その人の特徴が客観的に把握できると、気持ちが冷静になります。つまり、イラっとする言動がその人の「個性」としてフラットに認識できるようになったのです。

他者のタイプを把握するのと同時に、自分のタイプにも自覚的になったことも副産物的なメリットでした。

三浦氏は記事の後半でストレスは自分自身の言動や自覚にも原因があると指摘しています。筆者自身は「ドライビング」というタイプなのですが、「他部署のAさんにモヤモヤするのは、自分の負けず嫌いな性格が起因しているな」と、他者だけでなく自分自身を顧みるきっかけにもなりました。

自分とは違う個性を味合えるかどうか

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筆者が振り返ってみると、過去に成功を収めたプロジェクトは、タイプの異なる人材と組んでいたことが多かったように思います。多少の軋轢やぶつかり合いを経ながら、自分では思いつかないアイデアにプロジェクトが大きく前に進むこともありました。

人と仕事をしている以上、気の合うタイプの人とばかり仕事をしていると安心感はありますが、変化には欠けます。違うタイプの人と組むことで、思わぬ化学変化が生まれる経験は誰しもあるのではないでしょうか。

そもそも現代社会ではストレッサー(ストレスの要因)とは無縁ではいられません。むしろ、適度なストレスは人の成長には不可欠です。無風の大地に立つ樹木より、適度な雨風がある大地に立つ樹木の方が丈夫に育つようなものです。

他者の言動を自分のストレスとして抱え込むのではなく、自分にはない「個性」として味わえるようになれば、人付き合いが楽になるだけでなく、人との化学反応で思わぬ成果が出るかもしれません。