[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

写真拡大 (全3枚)

ビッグボス新庄、これは名将の予感!

よもやよもやの展開になってまいりました。面白いことは確実だけれどチームがどうなるかは未知数…そんな「先行き不透明」という評価で生温かく見守られている北海道日本ハムファイターズ新監督ならぬビッグボス新庄剛志さん。しかし、就任会見などを見聞きしていると、もしかしてこれは名将なのではないかという予感が漂ってきました。

僕はビッグボス新庄さんのことを「落合博満さんの対極にある頂点」と見ているのですが、もしかしたらこの両極はグルリと回って背中合わせのように、ほとんど同じ場所に立っているのではないかという気がしてきました。言い方とやり方が違うだけで、最終的に向かう場所は同じなのではないかと。要するに「強いかもしれないぞ」と。

↓就任会見は新庄イズムの宝庫!新しくて、強そう!




「できるだけデカい襟にしてほしい…」そんな要求で用意したというヤバめのスーツを着込んだビッグボス。いきなり「これからは顔を変えずにチームを変える」と整形ネタをぶっ込んできました。これだけ顔が変わると「本当に新庄なのか?」と指紋採取から始めたいところですが、こんな振る舞いをする人間がふたりといるはずがありません。さすがビッグボス、顔は神無月でも中身は新庄です。

手を振り、笑顔で質問に答えるビッグボスは、早速全メディアの心をつかんでいます。どの質問に対しても見出しになるワードをくれる発信力にはメディアもぞっこんです。そして早くも代表質問の段階でぶっ込まれた見出しキラーフレーズの「優勝なんか一切目指しません!」はいきなりのインパクトです。優勝するためにやっているとさえ思っている大半の選手・ファンを震撼させてきます。

しかし、その発言もよくよく聞けば、遠くの優勝ではなく目の前の一歩ずつをしっかりと踏んで、その結果として優勝に近づいていこうじゃないかという至極まっとうなもの。「優勝を目指す」は優勝の可能性が消えれば終わる「全試合は貫けない」かもしれない目標ですが、ビッグボスの姿勢はどんな状況でもチカラを尽くすんだという高い次元の決意です。

そこらかの質問攻めにビッグボスは面白おかしく答えていきます。発言は全体として悪ふざけのようですが、ひとつ貫かれている姿勢があります。それは「俺がチャンスを与える」という強烈な競争意識への煽りです。常識にも過去にもデータにもほかの誰の意見にも囚われず、「俺がチャンスを与える」とビッグボスは言っている。これは全選手燃えざるを得ないでしょう。

<ビッグボス新庄の質疑応答に見る「チャンスを与える」姿勢>

●就任にあたって誰かに相談したのか?
相談するタイプじゃない。相談しない。
⇒「俺が決める」というリーダーの強い意志

●答えるまでの時間は
1秒。すぐですよ!
⇒「即決する」というリーダーの強い意志

●監督とは?
腕を組んで難しい顔をする固いイメージ。僕が変えていく。
⇒従来の固定観念には囚われないという宣言

●名刺にはビッグボスとあるが
ビッグボスと呼んでほしい。監督と呼ばないで。
⇒従来の固定観念には囚われないという宣言

●引退後野球は見たか?
見ていない。時代をわかっていない。突き進む。
⇒過去のデータにも、従来の固定観念にも囚われないという宣言

●今のプロ野球の印象は
コロナで暗かった。僕が帰ってきたからコロナはなくなり球場は満員になる。そういう運命。
⇒圧倒的な自信、頼り甲斐

●ファイターズをどう変えていく
気持ちの面。レベルはほぼほぼ一緒。メンタル的に伸ばせないだけ。僕はメンタル的に伸ばせる。投手3人、野手4人のタレントを作る。全員今年ドラフトにかかった選手だと思っている。レギュラーなんてひとりもいない。争いをドンドンさせたい。
⇒モチベーションを引き出せば現有戦力を底上げできる。全員横一線。全員に期待しているという宣言

●SNSの発信はつづけるのか
試合中にインスタライブやりたい。
⇒スターを生み出すというリーダーの強い意志

●全国民にメッセージを
あばれまっせー!新しい野球を作っていく。あと、吉村前GMのチカラはものすごく大事。吉村さんがいないと嫌だ。吉村さんに相談して喧嘩しながら、稲葉GMとタッグを組んで、楽しく、厳しくやっていく。
⇒従来の固定観念には囚われず変えていくという宣言、ただし前任者への敬意は欠かさないし大事にしていく

●低迷するチームの再建方法は?
それはヨソの球団に聞かれたくないが、天井から降りたい。
⇒策は言わないが、スターは生み出す

●自分なりのスローガンは
夢はでっかく根は太く。
⇒地に足ついてる

●岩本勉氏をピッチャー監督にするという構想があったようだが
やっぱり僕がひとりでやる。岩ちゃんゴメンね。
⇒「俺が決める」というリーダーの強い意志

●ユニフォームについて
今のユニフォームはあまり……。新しいユニフォームに期待してほしい。
⇒過去に囚われず変えていくという宣言

●背番号は?
1番をつけたいが、主役は選手なのでスター候補に1番をつけてほしいから、その選手が育つまで僕が1番つけまーす!
⇒全選手が横一線、全員に期待しているという宣言

●監督としての夢は?
世界一の球団、世界一のチーム。
⇒圧倒的な自信、頼り甲斐、リーダーシップ

●プロ野球をどこから変えていく
作戦面。ヒットを打たなくても点が取れる野球。新しいやり方を発信する。選手がついてくることが大事。
⇒策は言わないが策はある、野球を変えていく

●選手に目を光らせているか?
もちろん。やっぱり人間性は大事。他人の悪口を言わない。ありがとう、いただきますを言える選手。日々の生活はあとで役立つよと伝えたい。
⇒野球に臨む姿勢

●稲葉GMとの関係性は
監督とGMは仲が悪いと思うだろうがこのチームは違う。GMじゃなく左打者専用コーチ。僕も監督兼外野守備コーチ。(天狗になったら)鼻をへし折る。
⇒現場とフロントの一体感を重視

●選手に言いたいこと
顔と名前を知らない。プレーはインプットしている。キャンプで答え合わせをしていいチームを作る。ラインはみんな一緒。キャンプに入るまで(が勝負)、スタートラインに立ったときはほぼほぼレギュラーは決まっている
⇒全選手横一線からの強烈な競争意識の煽り

●目指すチーム像
自分の頭のなかはまわりと違った。話が合わなかった。まだそこのレベル?という感じ。考えは本にして渡す
⇒本にするぐらい考えはある、本を読んで欲しい



こうした発言を並べていったときに、改めて「落合博満」が浮上してこないでしょうか。落合氏が就任一年目で何をやったかと言うと、まず全選手横一線での強烈な競争意識の煽りをしました。キャンプイン初日から紅白戦をやるというのは、オフシーズンを猛烈な練習漬けにするための手法でしたし、ベテランから若手まで含めて競争させるための手法でした。落合氏は「初日に紅白戦をやる」ことで選手に火を点けましたが、ビッグボス新庄は「誰も知らない。キャンプの初日に見る」とすっとぼけることで同じことを促しています。

落合氏が就任当時にしたことには、選手の背番号変更やユニフォーム変更、大胆な選手起用などがありましたが、ビッグボスもユニフォームを変え、新しい野球をすると言っています。これなどもやはり「変えていく」ということ、すなわち過去には囚われないぞという宣言であり、去年と同じ常識は通用しないぞという通告でもあるのでしょう。全員が横一線だから、全員にチャンスがあり、全員がやる気になる。そういう仕掛けです。

そうした競争意識を煽ると同時に、現有戦力への信頼を強く表明したのも落合氏の特徴でした。「補強はいらない、個々の能力を10%底上げすれば優勝できる」という宣言は「ちゃんとチャンスがあるんだ」という約束でもあります。どれだけ競争意識を煽ろうが、ヨソから選手を獲ってくるのでは、チャンスはないと言われているようなもの。ビッグボスも「チカラはほぼほぼ一緒。メンタルの問題だ」と断言し、自分が伸ばすと言い切っています。今の選手からスターを生み出すと約束しています。これでこそ競争は盛り上がります。

ビッグボス新庄が否定する腕を組んで難しそうな顔をする過去の監督像とは、まさに落合氏そのものですが、実は両者はとても似通っていると感じるのです。落合氏が「言わないよ」と秘密主義を貫く場面で、ビッグボスは満面の笑顔で「わっかりっませーん!天井から降りまーす!」とトボけるのです。落合氏が「全員ヘタ」と横一線を強調する場面で、ビッグボスは「全員スター候補!」と横一線を強調するのです。暗いか明るいかの差だけで同じようなことをやっている。「とにかく明るい落合」だと思って見れば、この就任会見は強そうな予感しかしない内容です。

唯一違うところがあるとすれば、内政面でしょうか。よくも悪くも立場に殉じる落合氏とは異なり、ビッグボスはまさに球団全体に目配せしようという意識があります。就任会見でも歴代の監督たちへの感謝から始まり、会社が求めるファンサービスを固く約束し、稲葉GMとの協調を強く表明し、そして日ハムというチームを形作ってきた前GM・吉村浩氏について「いてくれないと嫌だ」と重視しています。選手たちにも「人間性」「悪口を言わない」というテーマを与えています。喧嘩はしても仲違いは絶対にせず、球団全部を束ねて「協調させるぞ」という明確な意志があります。だからこそ役職も「ビッグボス」なのです。監督だけするわけでは、ない。

そうした協調を重視すべく、あえて撤回したのが「監督4人制」なのかなと思います。昨年YouTube番組などで発言したという、ピッチャー監督、野手監督、メンタル監督と総監督を立てて「監督4人制」を敷くというアイディアは、信頼と協調の体制ではあります。落合氏も各コーチに基本すべて任せていたと言いますが、信頼があってこそ能力は発揮されるという意味で、似たような構想だろうと思います。「俺はわからん、詳しいヤツに任せる。だからしっかりやれよ」という姿勢です。

ただ、それを今すぐにビッグボスがやると、「新庄は本当に野球がわからない説」が出てしまいます。また、ビッグボスは変わり者ではありますが、落合氏ほど「オレ流」というイメージはありません。今のまま「みんな仲良く」ということになれば、監督のリーダーシップが霞んでしまうでしょう。だからこそ、あえて、全員と協調はするが「俺がリーダーだ」を打ち出したのかなと感じます。そうすることで選手は「ビッグボスの目にさえ止まればチャンスはある」と視界がクリアになりますから。

何を見ているのか、何を考えているのかまったくわからないビッグボス。ただ、決定権は持っている。ビッグボスの目にとまればチャンスがある。もしかしたらそれは野球の上手い下手だけではないかもしれない。そう思ったら、それぞれのやり方で頑張り甲斐がわいてくるでしょう。極端な話、大きな声であいさつするだけでも、試合で使ってくれるかもしれないですし。どこにでも競争のチャンスがありそうな気がしてきます。

↓そして、底上げを強烈に促す、ビッグボスの超ド級のニンジンが出た!

「1回は1軍で使う」
「そのチャンスをつかめ」
「スターに育て上げる」

スマホゲーの「必ずもらえる」みたいな報酬!


「あー、こりゃ強い」「今は弱くても、必ず強くなる」「全選手が能力アップしてくる」そう思います。だって、夢の1軍で1回は絶対出られるんですよ。その日、ヒットを打ったり、三振を取れば、プロで成功できるかもしれないんですよ。その1回が最後の1軍でも、親兄弟を呼んで思い出にできるんですよ。2021年はファームで燻っていた若手が、今頃は猛烈に練習している姿が目に浮かびます。

そして、それは同時にレギュラー格の選手にとっては「何回か必ず他人にチャンスを奪われる」という危機でもあります。遊んでいる場合じゃありません。強くならないわけがない。もし来年の優勝チームを当てたらお金がもらえるゲームがあれば、僕は北海道日本ハムファイターズに賭けます。こんなに強くなりそうな気配があるのに、払い戻しは多いでしょうからね。

もしかしたら日本シリーズに進出したビッグボス新庄が「継投での完全試合」とかやってしまう未来もあるのではないかと思います。その采配をしたとき落合氏は非情と叩かれましたが、ビッグボスは試合前日から「明日は完全試合やっちゃいまーす!投手陣全員で!」と宣言済みだったので叩かれないとか、似て非なる同じ結果が出たりするんじゃないかなと思います。暗いか明るいかの違いだけで、同じようなことをしそうなふたりですから。

「とにかく明るい落合」

そういう目でビッグボスを見てみてください。

すごく強くなりそうな気がしてきますよ!


落合氏に欠けていたものをすべて備えた名将が、来季プロ野球を席巻する!