グロッシ事務局長=(AP通信=聯合ニュース)

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【ワシントン聯合ニュース】国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は21日(現地時間)、米シンクタンクのスティムソン・センターが開催したオンラインセミナーで、北朝鮮の核施設について「(査察が中断した)2009年より高度化し、地理的にも拡張された」との認識を明らかにした。北朝鮮の核施設の処理能力と寧辺以外の地域にも核施設が存在する可能性を問われ、詳しくは言及できないとしながらも、このように答えた。

 グロッシ氏は分析家として推測を好まないと前置きした上で、「そこにあるものはもはや複合物(compound)ではない。それ以上だ」と述べ、懸念を示した。検証などの作業に向けてしっかりとした準備が必要だと強調した。

 IAEAは9月の理事会での報告書で、寧辺の核施設にある5メガワットの原子炉について、7月初旬から冷却水の排出を含め原子炉稼働と一致する兆候がみられたと指摘している。

 北朝鮮の次の段階を問われたグロッシ氏は、「彼らは想像可能なあらゆる領域で、できることを全てやっている」とし、「原子炉は再稼働し、プルトニウム分離(抽出)も進行中だ」と説明した。さらに「ウラン濃縮はたぶん進行中で、ほかの施設にも稼働中と見なせるシグナルがある」とした。

 同氏はまた、ブリンケン米国務長官と北朝鮮側との協議を試みようとバイデン米政権が努力を続けていることを確認したとし、これに触れておきたいと述べた。

 一方、北朝鮮に対する最大の懸念として、「民主的な手順が全くないこと」を挙げた。グロッシ氏は「朝鮮半島に平和が訪れ、緊張が緩和されれば、私たちも朝鮮半島の非核化を目指して進むことができる」と強調した。