秋の日暮れが早いことを「秋の日は釣瓶落とし」などと言いますが、日が暮れるとアッという間に暗くなってしまいます。夜が長くなって星を見られる時間も延びました。眠れない夜はカーディガンを羽織って、星空を眺めましょう。

スター1★月が14日に土星、15日に木星に接近

10月13日〜16日の19時ごろの南の空。(画像:国立天文台)

お月様がきれいな秋の空です。13日は上弦の月。14日には、月齢8の月が土星に、15日には月齢9の月が木星に接近します。毎晩見ていると、月が少しずつ太っていくのがわかります。

この季節は日が暮れるとすぐ南の空に木星と土星が並んでいるのが見えます。東側にあるのが木星です。明るいからすぐわかります。土星も明るいのですが、木星と比べるとひかえめです。

光度は、木星はマイナス2.5等くらいで、土星は0.5等くらい。いずれも1等星級の明るさですが、木星の方がずいぶん黄色く光って見えるでしょう。ちなみに16日の月の下のほうに白っぽい星があります。みなみのうお座の1等星フォーマルハウトです。土星の明るさと比べてみてください。

スター2★18日は「後の月」、十三夜って知ってる?

新月から数えて13番目の「十三夜の月」。

みなさんは「十三夜」をご存知ですか? 

先月9月21日は中秋の名月でした。そして、10月18日は「十三夜」です。「後の月」ともいいます。

私たちは地球が太陽のまわりを一周する時間を基準にした太陽暦(新暦)で暮らしていますが、江戸時代までは旧暦で暮らしていました。旧暦とは月の満ち欠けを基準にした暦です。新月の日を1日目として、15番目の日が十五夜です。13番目が十三夜です。

中秋の名月とは旧暦8月15日の月のこと。そして十三夜とは、特に旧暦9月13日の月のことを言います。今は新暦なので、中秋の名月と同じく、十三夜も毎年、日が変わります。ちなみに昨年の十三夜は10月29日でした。

古来、秋は豊穣を願って、また収穫に感謝して月にお供えしたり、愛でたりする風習がありました。中秋の名月では収穫した芋をお供えするので「芋名月」という名も。一方、十三夜の時期は栗や豆の収穫期なので「栗名月」「豆名月」とも呼ばれます。ほんとにそろそろ栗がおいしい季節ですね。また、十三夜は中秋の名月から約1ヶ月後に来るので、「後の月」と呼ばれるのです。

十三夜の月は、まだ左側が少し欠けているのが見どころです。満月とは違った味わいがありますね。栗ごはんでもいただきながら過ごしたい夜です。

スター3★秋の夜長のアンドロメダ座大星雲の旅

肉眼で見えるいちばん遠い天体、アンドロメダ座大星雲。(画像:T.Rector and B Wolpa(NOAO/AURA/NSF)

無限に広がる大宇宙…を感じたいなら大銀河です。望遠鏡がなくても見える銀河があります。私たちの住んでいる地球がある天の川銀河からいちばん近い銀河系、アンドロメダ座大星雲です。星雲と名前がついていますが、雲ではなく、無数の星が集まった銀河です。

いちばん近いといっても地球から250万光年も離れています。気が遠くなる遠さです。それでも大星雲ですから4〜5等星と同じくらいの明るさがあります。つまり、とっても暗い場所で、4等星や5等星が見えるような場所なら、アンドロメダ座大星雲も肉眼で見えるのです。

山へキャンプに行ったり、キャンプでなくても暗くて空気のきれいな場所に行く機会があったらトライ! まずはアンドロメダ座を見つけましょう。

アンドロメダ座の腰のあたりにアンドロメダ座大星雲(黄色の枠)。西側にペガスス座、北東にカシオペヤ座があります。(画像:アストロガイドブラウザ2021/アストロアーツ)

そんな暗い所に出かける予定がなくても、眠れない夜はペガスス座とカシオペヤ座の間にあるアンドロメダ座のあたりにちょっと目をやってください。目に見えなくても、そこには250万年も前に飛び出し、長い時間をかけて地球にたどり着いた光がひっそり光っています。 おやすみなさいアンドロメダ姫。おやすみなさい無限に広がる大宇宙Zzz....

*文中の時間や星図は東京の国立天文台を基準にしたものです。

文/佐藤恵菜