ホンダは全方位型安全運転支援システム「Honda SENSING 360」を発表した。2022年に中国で発売する自動車(四輪車)から導入を開始し、2030年までに先進国で発売する全モデルに展開する。新しいシステムは既存の「Honda SENSING」と何が違い、何が可能となるのだろうか。

ホンダが発表した新たな運転支援システムとは?


○全方位でクルマの死角をカバーする新システム

「Honda SENSING 360」は車両周辺の死角をカバーし、交通事故の回避やドライバーの運転負荷軽減をサポートする全方位型の安全運転支援システム。従来のシステム「Honda SENSING」よりセンシングの範囲が拡大し、車両の前後のみならず全方位を捕捉することが可能となった。

従来の「Honda SENSING」はフロントワイドビューカメラ(単眼)に前後で計8個のソナーセンサーという構成だが、「Honda SENSING 360」は従来の単眼カメラに加え、フロントと各コーナー(前後の側方)に計5台のミリ波レーダーを備える。

新たなシステムではクルマの周囲360度のセンシングが可能となる。これにより、従来の運転では目視での確認が難しかった車両周辺の死角をカバーできるようになる。具体的には以下のような新機能や機能向上が見込める。





衝突軽減ブレーキの進化:一般道の交差点などで右左折をする際、車両や歩行者を検知し、接触の危険性がある場合は衝突軽減ブレーキ(CMBS:Collision Mitigation Braking System)が作動するが、Honda SENSING 360のCMBSはさらなる進化を遂げ、検知範囲が前方のみから全方位に拡大。交差点の出合い頭における衝突回避・被害軽減を支援する

前方交差車両警報:一般道の交差点などで低速走行をしているとき、あるいは停車状態から発進するとき、左右前方から接近する交差車両の情報をドライバーへ通知する。自車と交差車両が接触する危険性がある場合は、システムがドライバーに音とメーター表示で危険を警告、衝突回避の運転操作を促す


車線変更時衝突抑制機能:車線変更の際、後方から接近する隣車線の車両との衝突回避を支援。ミラーの死角から近づく後側方車両と接触の危険性がある場合は、システムがドライバーに音とメーター表示で危険を警告し、衝突回避のためのハンドル操作を支援する


車線変更支援機能:高速道路や自動車専用道で渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC:Adaptive Cruise Control)と車線維持支援システム(LKAS:Lane Keeping Assist System)を作動中、一定の条件を満たした状態でドライバーがウインカー操作をすると、システムが車線変更に伴うハンドル操作を支援する


カーブ車速調整機能:ACC作動中にカーブを走行する際、適切に車速を調整する。フロントカメラがカーブ手前で車線の曲率を前もって読み取り、ドライバーにとってスムーズでなめらかなカーブでの走行を支援する


ホンダの安全理念は「Safety for Everyone」。「自由な移動の喜び」と「豊かで持続可能な社会」の実現を目指しつつ、2050年にはホンダの二輪車・四輪車が関与する交通事故者をゼロにするとの目標を掲げている。